2018.10.29 06:36/ Jun
フィードバックは、独力では「学びにくい宿命」にあります。
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フィードバックとは
1.たとえ「耳の痛いこと」であっても、部下の成長のために「鏡」のように「現状を通知」し、
2.部下の行動やあり方を「立て直す」指導方法のこと
をいいます。
パワーハラスメントなどに対する世の中の風当たりが厳しくなる中、それでも、上司としては、しっかり部下指導をしなくてはならない局面があります。フィードバックは、そうした背景のもとで、権力にたよらず部下育成を行うスキルとして注目されているのかな、と思います。
先日は、慶應丸の内シティキャンパスの僕の授業で、フィードバックに焦点をあてた4時間半のセッションをやってみました。4時間半の長丁場、参加者の方々は、本当にお疲れ様でございました。
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冒頭申し上げましたように、
フィードバックは、ともすれば、独力では「学びにくい宿命」にあります。
なぜか、と申しますと、フィードバックなどの耳の痛い話の通知は、通常、上司と部下だけの「閉じられた関係性」のなかで、いわば「密室(ブラックボックス)」のなかで行われるからです。
フィードバックなどの耳の痛い話を「衆人環視」の「オープン空間」で行う方は非常に限られているはずです。ですので、上司の行うフィードバックは、「人目にふれぬ構造=学びにくい宿命」にあるのです。
閉じられた関係性のなかで、密室のなかで行われるのですから、当然のことながら、上司の行うフィードバックに対して、「第三者」が客観的に意見を差し挟んだり、コメントすることはできません。
すなわち、独力では、
自分の行っているフィードバックに対する、フィードバックを得られない
自分のやっているフィードバックが、よいものなのか、悪いものなのかが、わかりにくい
のです。
じゃあ、自分で学び取りにくいなら、昇進してフィードバックを行わなければならなくなった人は、どうするか?
結論から申しますと、多くの場合、自分の「過去の上司」の「ように」フィードバックをします。
すなわち、かつての上司がやっていたフィードバックを、今度は自分が「再生産」するのです。
もちろん、中には過去に素晴らしいフィードバックを行っていた上司もいるでしょう。
しかし、おそらく、残念なことに、たいがいのケースは「・・・・」であるはずです。なかには、過去には「パワハラまがいの行動」を行っている上司もいたでしょう。それが「再生産」されます。
この再生産のなかには、「自分がかつて受けた地獄」を、敢えて下の世代にも引き継いでやろうと思って行われる「体育会的・しごき文化の再生産」のような場合もあります。しかし、多くは、「気づかぬうちに、かつての上司の案配の悪いフィードバックを再生産」してしまうことです。
すなわち、フィードバックは「学びにくい宿命」のもとに、何の気なしに「再生産」されるのです。
これが、この世の中から、パワハラがなくならない原因でもあります。
だって会社は「パワハラはダメだ」「パワハラは辞めなさい」というだけで、しっかりと「パワハラにはならない部下とのコミュニケーションスキル」を教えていないケースがほとんどなのです。しかも、フィードバックは独力では「学びにくい宿命」にあり、ブラックスボックスとして閉じられている。だから再生産されるのです。
こうした基礎的な管理職のスキルを、しっかりと学んでこないままに、上司やリーダーになってしまうケースが、本邦には多すぎるように思います。それが本邦の管理職教育の最大の課題です。
端的に申し上げます。
原因のひとつは、
「きちんと、教えていない」
のです。
もちろん、しっかりと管理職やリーダー育成を行っている会社もあるでしょう。ですので、上述の文言は、すべてに適応されるべきものではありません。ただ、多くのケースは疑わしい・・・僕はそう見ています。
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ところで、それでは、フィードバックは、どのように学ぶことができるのでしょうか。
それはものすごくシンプルなことです。
フィードバックは、自らフィードバックをすることでしか学べません。
とりわけ、自分のフィードバックを映し出す「鏡」をもってしか、学び取ることができないのです。「鏡」にうつった、自分のフィードバックの様子を、フィードバック後に見つめ直し、振り返り、行動を補正する以外にはありません。
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たとえば、先日の4時間半のセッションは、下記のようにすすみました。
とはいえ・・・まず、冒頭1時間ほど、僕から、フィードバックに関する講義を行います。最低限の知識、最低限の理論、最低限の手続きをまずは知っていただきます。
その後、ペアになっていただき、いよいよフィードバック実践です。
ペアになり、上司と部下役にわかれて、ケースにもとづきロールプレイングを行います。
5分間、実際にあった上司と部下のケースを読み込みます。
その後、片方が上司役、片方が部下役にわかれて、10分間のフィードバック面談を行っていただきます。
その様子は、スマホでビデオ録画をしておきます。
上司役が終わったら、部下役の方が、今受けた上司からのフィードバックに対してフィードバックを行います。僕からも、たまにクラス全員の様子に対してフィードバックを行います。最後に、スマホで撮影した自分のフィードバック場面のビデオ録画を見ます。
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すぐにおわかりかと思いますが、上司役の方は、自分のフィードバックに対する3つのフィードバックを受けます。1つめは、部下役の方からのフィードバックです。2つめはスマホでのビデオ録画ですね。3つめは、僕から行うクラス全員へのフィードバックです。
これら3つの異なる種類のフィードバックを、いわば「成長の鏡」にして、自分のフィードバックの精度と質を、少しずつ高めていくことができます。
ただし・・・想像できるとは思いますが、ものすごく「疲労困憊」します。「鏡」をとおして、びっくりするくらい、自分の行っているフィードバックの「欠点」が見えてくるからです。
話の前置きが長い。何を言っているか、わからない。都合が悪くなると、すぐに話を丸め込む。下を見て、相手の目を見ることができない・・・・などなど。
ものすごく「疲労困憊」します。
なぜなら、秘められていた自分のフィードバックの弱点、ひと癖を「鏡」を通して目の当たり」にしますので・・・。
ですので、十分な時間、糖分や水分をとりながら、じっくりと4時間ほどかけて行うのがよいと思います。
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今日はフィードバックは「学びにくい宿命」にあるよ、というお話をしました。
パワハラなどに対する世間の風当たりは、当然のことながら、さらに激しくなります。やはり、そろそろ重い腰をあげて、本邦の管理職教育やリーダー教育を、見直すべきときにきているように、僕には思います。
あなたは、自分の行っているフィードバックを、見たことがありますか?
あなたは、自分の行っているフィードバックに、フィードバックを受けたことがありますか?
そして人生はつづく
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新刊「実践!フィードバック」が重版3刷決定、前書「フィードバック入門」は11刷、もうすこしで4万部にいたる勢いです。耳の痛いことをいかに部下に通知し、そこから立て直しをはかることができるか。全国各所の管理職研修で用いられています。はじめてリーダーになる方、管理職になる方におすすめの2冊です。どうぞご笑覧くださいませ!
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https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
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