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2018.8.31 07:04/ Jun

美術館で「アーティストの人生を見る」!?

 学生時代、図工・美術は「大の苦手」。
 人物のデッサンをすれば、自分ではまったく「意図」をしていないのに「キュビズム」になりはてる(わからないひとはクリックしてみてください)。
   
 色を塗れば、こちらはまったく意図していないのに、「ジャクソンポロックの抽象画」みたいに絵の具が飛び散ってしまう。
 思えば、本当に、僕は、学生時代、これらの科目が嫌いでした。
  
 僕の偏見なのでしょうかーー学校の「美術」の時間は、見たものを写真のように「そのまま」綺麗にかけることが重視されていたように思います。そういう絵が「うまい」とされていた、ような気がするのです。
 そんななか、「独特なアート感覚」をもつ小生は、「意図しないキュビズム」と「意図しない抽象画」に、大変苦しめられました(笑)
  
 学校の授業が、こんな感じですから、学生時代、おそらく自分から美術館に行ったことは一度もないような気がします。自分は「うまく描けない」ので「アートを見ること」も嫌いなんだろう、と思っていたのです。
  
 ▼
  
 しかし、それから30年。
  
 本当に時間はないのですが、「隙間オブ隙間オブ隙間の時間」を見つけて、僕は、美術館に、かなり通うようになっています。もう10年くらいは、そんな生活が続いているような気もするけれど、近くでやっている展覧会は、なるべく足を運ぶようにしているのです。
  
 しかし、美術館で僕は「アート」を見ていません。
 正確にいうならば「アートだけを見ている」のではないことに気づかされます。
  
 美術館の関係者の方々には怒られるかもしれないのですが、「アートを見る」のではなく「アーティストの人生を見ている」のです。
 ここで「アーティストの人生をみる」とは、実際には、「展示されている作品を通じて、アーティストの人生を想像し、山あり谷ありの人生に、勝手に思いを馳せるということ」なのかな、とも思います(笑)。
  
 図工2、美術2の門外漢がアートを語るのは、まことにおこがましいのですが、アーティストの人生には、下記の4つがあることが多いものです。
  
1.自分の世界観をつくるまでに「煩悶のプロセス」がある
2.自分の世界観(画風)を確立し、ピークに向かう時期がある
3.いったんつくりあげた「世界観」をつくりあげたり、壊したりする「紆余曲折」がある
4.世間からのの評価がある「旬」がある=そのキャリアにも登山と下山のプロセスがある
  
 こういうものを、彼らの生み出した作品から感じて、「このクリエーターの一生が、どのような人生だったのか」を、そのひとに「なりきって」追体験するのが、僕にとってはとても「楽しい時間」だったりします。
   
 たとえば、今、東京で個展をやっている藤田嗣治さんであれば、美術の基礎基本を、東京芸大で身につけ、渡仏します。しかし、彼は、後年、自分のオリジナリティとなる「乳白色の裸婦」という「自分の世界観」を、この時点で身につけているわけではありません。
  
 様々なアーティストとの出会いにおいて、ある時期は、キュビズムに傾倒したり、ある時期はモディリアーニ風の画風にはかる時期があります。つまり「煩悶のプロセス」があるのです。
  
 結局、彼がたどり着くのは、白地の、キャンバスに、細い墨絵で裸婦を描くという、日本画の技法を活かした画風でした。ここでようやく「自分の世界観」が生まるのです。
  
 このようにアーティストの人生には「変化」があります。
 ですので、僕は、美術館で藤田嗣治さんの作品だけを見ているわけではありません。
  
 僕が見ているのは、彼の作品を通した、「彼自身の変化=学びのプロセス」であり、紆余曲折あるアーティストの人生を見ているのです。
  
 ・・・結局、僕は、美術館にいっても「自分の研究」に近いことを、いつも考えているのかもしれませんね。
  
 ▼
  
 今日はアート、美術館について書きました。
 また、秋からは、新たな個展、新たな展覧会がはじまります。暇をみつけてまたうかがいたいです。「アーティストの人生を見に行くこと」は、とうぶん、やめられそうにありません。
  
 あなたは、美術館で、どんなアーティストの、どんな人生を感じたことがありますか?
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
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