2018.7.24 05:43/ Jun
わたしたちは「組織図を描きにくい世の中」を生きることになる
そのとき必要なのは「小さなリーダーシップ経験」であり、どんな人とでも「プラグインする能力」だ。
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もし、仮に、あなたが一日にふたつの、全く異なるイベントに参加していて、はからずも、両者の主張の根幹が、同じようなものだったとしたら、どのようにお感じになるでしょうか?
昨日、僕は、登壇した2つのカンファレンスでそんな経験をしました(笑)
ひとつめのイベントは、Adobeさん主催の「Adobe Education Forum 2018」です。こちらは同社の小池晴子さんにお声がけいただき、キリンの佐野環さん、ソニー銀行のルゾンカ典子さんらとともに、「企業が求める、これからの人材像」についてパネルディスカッションをさせていただきました(楽屋で盛り上がっていました、楽しかったです! 後ろ髪引かれる思いで中座)。
講演では、同社の秋田夏実さんがご紹介いただいたクリエィティブ人材に関する調査もご紹介させていただきました。貴重な機会をいただきました小池さんには、この場を借りて御礼を申し上げます。
アドビ調査、就職人気企業の採用担当者が重視するのは、「クリエイティビティ」と「デジタルリテラシー」
https://www.adobe.com/jp/news-room/news/201807/20180713-hiring-for-the-future-research.html
ふたつめのイベントは、立教大学経営学部リーダーシッププログラムが、ヤフーさんの後援をたまわり、実施させていただいた「立教BLPリーダーシップカンファレンス2018」。こちらは、同僚の高橋俊之さん、舘野泰一さん、そしてヤフー・常務執行役員の本間浩輔さんらとともに登壇させていただきました。
こちらの実施にあたっては、ヤフー小金蔵人さん、佐藤由佳さん、池田潤さん、立教大学学務事務4課の福田博之さん、大郷友さん、BLP事務局の加藤走さん、山口牧さん、司村千尋さん、その他、立教大学の学生の皆さんには大変お世話になりました。この場を借りて御礼を申し上げます。ありがとうございました&お疲れ様でした。
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昨日登壇させていただいた2つのイベントは、まったくカンファレンスの「テーマ」も「性質」も異なるものです。
しかし、両者が見ていた「世界観」、そして、そういう「世界のこれから」を生きる人々に必要になる「資質」として論じられていたものは、ほぼ「同じ」ようなものを扱っていたように思います。
それは、これからわたしたちの社会は、
わたしたちは「公式の組織図」が描きにくい組織で働くことになる
ということです。
この場合、注意したいのは、組織があるか、ないかではない。公式の組織図があるか、ないか、でもない。おそらく、未来も、組織はあり、公式の組織図もある。
しかし、実際にわたしたちが働くワークプレイス(職場)は、常に組織を超えて再編され、境界が更新され、曖昧で、不確実に、日々変化するような、いわば「プロジェクト」のようなものになる。
わたしたちは、そのつど、そのつど再編される「プロジェクト」を越境しながら、生きていくことになる。故に「公式の組織図」が意味をなさないようになるのではないか
というのが両者のカンファレンスで、識者の何名かが抱えていた世界観でした。
そして、その際、そこで働くメンバーに必要になるのは、まずは「専門性」であり、その人々に固有の「独自性」でしょう。
そのうえで、
半径5メートルの、そのときどきの、自分の「チームメンバーを動かす経験」
をしておくことが必要になり、
組織内外をとわず、必要な知識や技術をもつ人々と、いつでも「つながり」目標に向かう能力
が必要になる。
前者をヤフーの本間さんは「小さなリーダーシップ」、後者をキリンの佐野さんは「プラグイン能力」と呼んでおられました。まさに慧眼である気がします。
(こういう世界観を前提にしたとき、確固たる境界を前提にしていた「ひとと組織の学問」もまた、大きくパラダイムを変えることになるだろうな、と思います。またその話題は、別のところで)
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ひるがえって、立教大学ビジネスリーダーシッププログラムでは、
「共有できる目標に向かって、よい影響力を与え合って、チームが動く状態」
を「リーダーシップ」と考えています。
「偉人」のような「とてつもないリーダー」が「ポジションパワー」や「カリスマティックなビジョン」を用いて特徴的に行う行動を「リーダーシップ」ととらえるのではなく、むしろ、共通の目標に向かって、今身近にいる数名の人々と、よい影響力を与えあい動く「現象」をリーダーシップととらえる。
どんな人でも、リーダーシップ現象には貢献できる。どんなやり方でも、日常的にチームを動かすことには貢献できることを、わたしたちは強く信じています。
そして、そうした「経験」を、学生には、なるべく早くもって欲しい。わたしたちは、そういう「強いパッション」で「思い」と、教員、スタッフ一同、立教大学ビジネスリーダーシッププログラムを運営しています。
わたしたちのこうした思いと、昨日の2つのカンファレンスで扱われていた内容は、表層的にはまったく異なるものの、底流に流れている考え方は、共振するものが多いものであったと思っています。
あらためて、貴重な学びをいただいた皆様に、心より御礼を申し上げます。
ありがとうございました!
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あなたの組織のメンバーは「小さなリーダーシップ経験」と「プラグイン能力」をもっていますか?
あなたは「小さなリーダーシップ」をどの程度経験し、いかに人々と「プラグイン」してきましたか?
あなたやあなたのお近くの子どもたちは「公式の組織図」と「ポジションパワー」が意味をなさない「プロジェクトだらけの世界」をサバイブできますか?
そして人生はつづく
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新刊「リーダーシップ教育のフロンティア」(同僚の舘野 泰一先生・高橋 俊之先生のご両名が編著、中原淳監修)が北大路書房から刊行されました。研修編と実践編の2冊同時の刊行で、リーダーシップ教育やリーダーシップ開発の最前線の知見、最前線の実践に出会うことができます。リーダー教育、管理職教育などに従事なさる方にとって、とても参考になる書籍だと思います。下記に推薦文をたまわっております(心より感謝いたします!)。どうぞご笑覧くださいませ!
思い切り若い10代からリーダーシップの世界に入門しよう
そんなリーダー育成がこの時代の最先端
神戸大学大学院経営学研究科教授/金井壽宏
アカデミックな世界にリーダーシップのヒントがあった
ヤフー株式会社常務執行役員/本間浩輔
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京都大学教授/溝上慎一
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