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2018.7.19 06:19/ Jun

若手はなぜ「カンパニーホッピング」を繰り返し、すぐに会社を辞めてしまうのか?:若手をドカーンと元気にする「栄養剤みたいな研修」ないですか?

 現在の若手の中には、「ワークプレイスホッピング」や「カンパニーホッピング」に陥っている人がふえているのではないだろうか?
  
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 この2年ほど、「圧倒的な人手不足」を背景にしながら、「労働力の売り手市場」が続いています。端的にいってしまえば、人手不足なので「労働力を提供する側が強い」。この「強さ」が背景なのかどうかはわかりませんが、各社で問題になっているのが、冒頭にのべた「若手の早期離職」という問題です。この2年ほど、研究室を訪れる方々が、この問題を口にする割合がふえているような気がします。
  
 このブログでも「2年目問題」とか「3年目問題」という風に、かつて、この問題を扱ってきました。「2年目問題」・「3年目問題」とは、入社後1年目は、何とか耐えることができても、2年目にただちに離職する、3年目に離職する、という人が増えている、ということです。とにかく若手の早期離職が人々の大きな関心になっています。
  
 ちょっと嫌なことがあれば、転々とする。
 また、ちょっと嫌なことがあれば、辞める。
  
 なかには、冒頭お話ししたように、「職場」との折り合いがあわず、ホップステップジャンプの「ホップ(片足でひょいと飛ぶ)」のように、同じ会社のなかで異なる職場を「転々」としてしまう「ワークプレイスホッピング(Workplace hopping : 造語です)」という状態に陥ったりしている若手がふえていると言います。
  
 最悪の場合は、これが離職につながる。しかし、どの会社でも長続きせず、ちょっと嫌なことがあると辞めてしまうので、会社を「転々」としてしまうカンパニーホッピング(company hopping)という状況に罹患してしまう人もいるといいます。
  
 もちろん、仕事を辞める辞めないは、個人の自由なので、好きになさればよろしい。
 だけれども、経営的観点からいえば、数百万にのぼっている採用費用を回収できないとか、そのたびごとに職場が疲弊してしまうという問題が残ります。また人材開発的にいえば、「ホッピング」を繰り返していると、能力形成に課題が生じがちます。このあたりのところが、気になるところです。
  
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 しかし、世の中では、こうした状況に対して「根本的な対応策」が考えられているかというと、かなり疑問です。
 最近、よく最近お問い合わせをいただいているのが、こんなご質問です。
  
「先生、若手が半日くらいで、【スカーンと笑顔になっちゃうような栄養剤みたいな研修】は、ないですかね?」
  
「先生、若手の早期離職を防止するような【ガス抜きの研修】とか、ないですかね?
 働き方改革なので数時間でできるとありがたいんですが・・・」

  
「先生、若手のモティベーションを、ドカーンと高めてしまうような半日くらいの、すごい【栄養剤みたいなワークショップ】ができないですかね?」
  
 要するに、どれも「対処療法」(笑)
  
 若手の早期離職という問題を目の前にして、「短期間」で「半日」や「数時間」で、若手を「スカーンと笑顔」にして、ガス抜きをして、ドカーンとモティベーションを高めちゃう「すごいやつ」を求めてしまう、という、とてつもない「対処療法」が試みられようとしています。ま、「栄養剤」でも与えておくか、という感じでしょうかね。
   
 もちろん、実施自体は「ご自由」です。
 しかし、これで本当に解決するのかな、というのが疑問です。

 個人的には、こうした対処療法に、本質的に欠けている視点は、
       
 若手は、なにに絶望してしまうのか?
 辞めていく若手は、どんな個人的資質とキャリアの持ち主なのか?
      
 若手は、なぜホッピングの状況に陥ってしまうのか?
 ホッピングを生み出すメカニズムは何か?
 若手がつとめる職場や上司には、どのような課題があるのか?
     
 という「課題の深掘り」です。
    
 これをしっかりと行っていったうえで、本質的な課題解決を志向した方がいいのではないか、と思ってしまうのは、僕だけなのでしょうか。
    
 そもそも、若手の皆さん、
     
 皆さんは、「数時間」で「スカーンと笑顔」にされ、「ガス抜き」され、ドカーンとモティベーションを高められたいですか?
    
 僕なら、自分にまつわる問題を「深掘り」せず、こういう対処療法で、問題を誤魔化そうとする、この態度で「辞めること」を決めるね。
    
 なめんな、と(笑)。 
    
  ▼
  
 今日は若手に広がる早期離職問題ーカンパニーホッピング問題を扱いました。若手の2年目問題、3年目問題は、何とか対処をしなければならない課題であると感じます。
  
 しかし、同時にデジャブ(既視感)を感じるのも事実です。長いあいだ人材開発の研究をしていると、この問題は、2007年頃に同じように世間で問題になっていました。当時、さんざんぱら若手の早期離職が語られましたが、結局、落ち着いた議論の先は、
  
「若手を育てる職場」をつくらなければならない
  
 という結論であったと記憶しています。
 それ、どうなりました?
 10年以上のときを経て、この問題が、また、ゾンビみたいによみがえってきたのね。
 うーん、しぶとい(笑)。
   
 皆さんのまわりの若手は、カンパニーホッピングに陥っていませんか?
 皆さんのまわりの若手は、「数時間」で「スカーンと笑顔」にされ、「ガス抜き」され、ドカーンとモティベーションを高められたいですか?
  
 そして人生はつづく
  
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 拙著「経営学習論」「職場学習論」(いずれも東京大学出版会)に「Kindle版(電子書籍版)」が刊行されました。「経営学習論」は「人材育成の理論」を5つの視点から論じた本です。「職場学習論」は「どのような職場にいるひとが、いかに仕事のうえでの成長をとげるのか」を論じた本です。いずれも研究・専門書とはなりますが、どうぞご笑覧くださいませ!
  
 
  
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