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2018.4.16 06:16/ Jun

チームアップを「科学」する!?:チームワークは「鉄は早いうちに打て」は本当か!?

 最近、気になっている言葉のひとつで、今後、数年間はつきあっていきたい概念のひとつに「チームアップ(Team up)」という言葉があります。
    
 英英辞書によると、「Team up(チームアップ)」とは、
  
 to join another person, or form a group with other people, in order to do something together
  
 のことです。
  
 要するに、チームアップとは、
  
 1.メンバーが加わり、
 2.チームを構成し
 3.何かをともにやりとげようとすること
  
 ないしは、その瞬間のことなのかな、と思います。
  
「Team up」は、上記のように「Join(加わる)」とか「Form(つくる)」とかいう言葉に代表されるように、「チームをつくるごくごく初期のこと」を指し示す概念であると考えられます。
 チームがチームとして機能する「一番最初のプロセス」が「チームアップ」ではないかと思うのです(このあたりは英語のネィティブの方に、英語の感覚をうかがってみたいところです)。
  
  ▼
  
 ところで、チームとは学問的には、「価値のある共通の目標・目的・職務のために、ダイナミックで、相互依存的で、適応的な相互作用をかわす2名以上の人々の集合」(Salas et al 2002)のことをさします。
   
 そして、チームがチームとして機能するためには、まずは、1)目標や目的を共有していること、2)メンバー間に相互作用があること、3)担う仕事に相互依存性があることが、一般には重要なことである、といわれています。
  
 ところで、こうした機能するチームの特性を抑えたうえで、僕は、これまで様々な研修やワークショップや授業で、「様々なチームの課題解決プロセス」をみてきて、ひとつ感じている僕なりの「仮説的妄想」があります。
  
 それは、
  
 チームは「チームアップ時」に、成果がでるかでないかが、決まる
  
 というものです。
  
 まー、しょっぱなだけで「全部決まる」とは言わない(笑)。でも、一番最初のプロセスで「なんとなく成果が読める」(!?)ような気もするのはきのせいでしょうか。「北斗の拳」風にいうのであれば、「チームアップのやり方次第で、オマエのチームは、すでに死んでいる」という感じです(笑)。
  
(経験的にはもうひとつ・・・チームで仕事をしていると、仕事が煮詰まってきて、メンバーのなかに緊張がたかまるチームコンフリクトの瞬間がおとずれます。このファーストチームコンフリクトをいかに乗り越えるかも、きわめて重要な気がします)
  
 チームアップのときに
  
 最初に、メンバー同士が、どのような関係で、何をお互いにしあうのか。
 お互いのことを、どの程度理解し合い、何を目標とかかげるのか。
 お互いにどのようなコミュニケーションをとり、どのように役割分担をするのか
  
 一年間で数百にのぼる、多くのチームのチームワークプロセスをみてきて、「チームアップ」のようなチームワークのごくごく「初期のプロセス」が、かなり、チームの成果にとって重要ではないかと感じるように思います。
  
 端的にいえば、
  
 鉄ははやいうちに打て!
  
 です。
  
 といいますのは、僕のように研修講師やファシリテータ、ないしは、授業担当者として、チームがうごきはじめた瞬間に、チームメンバーがそれぞれ何をしているかを、外部から観察していると、ときおり、思うことがあるのです。
  
 ああ、このチーム、うまくいくだろうな・・・
 あっ、このチームは、厳しいだろうなぁ・・・
  
 もちろん100%を予想できるわけではありません。
 ただ、経験的には4割くらいの成果につながる要素は、チームアップ時に、お互いに何をするかで決まっているような気がします。
   
 チームアップ時は何をすることが重要なのか?
  はたまた
 チームの成果に対する、チームアップの効果性とはどのようなものか?
  
 立教大学経営学部で働き始め、かつ、多くのチームワークが動く現場で教鞭をとることになったので、せっかくならば、こうしたことを今後は研究していきたいなと感じています。
  
 端的に申し上げれば、
  
「チームアップ」を科学する
  
 を僕は研究したいのかも知れません。
  
  ▼
  
 今日は、今後の当面の研究目標を「チームアップ」に定めたことをお話をしました。もちろん、これは、何も「突飛なこと」をゼロからはじめるわけではありません。
  
 従来から、僕の研究では「職場」という「チーム」に着目していました。また、おそらくはチームメンバー間に「リフレクション」や「フィードバック」がどの程度存在するかは、チームの効果性に影響を与えるはずです。また、チームは、数名からなる「組織」とも見立てることができます。よって、チームアップの科学は「小さなレベルの、しょっぱなの組織開発」ともいえます。
  
 要するに、今までやってきたことと「連続性」を保ちながら、新たなことに挑戦していきたいな、というのが最近感じていることです。それが「チームアップを科学する」です。
  
 異動から2週間・・・まだまだおぼろげですが、ようやく研究のことをすこしだけ考える余裕がでてきました。
  
 あなたのチームはどのような「チームアップ」を行っていますか?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
    
「マンガでやさしくわかる部下の育て方」が好評発売中です。すでに「重版出来」となりました。ありがとうございます。本書は、はじめてチームリーダーのなった方が、4つの部下育成のスキルをマンガで学ぶことのできる書籍です。どうぞご笑覧くださいませ!
      

   
 なお、このマンガ、「台湾版」に翻訳されました。台湾の「東販出版」という出版社さんからの刊行です。「人材育成=人才培育」だそうです。多くの方々にお読みいただけますと幸いです。
  

  
  ーーー
 
立教大学経営学部リーダーシッププログラムの詳細を紹介した新たなパンフレットが公開されました。PDFでどなたでもご覧いただけますので、どうかご覧くださいませ。わたしからの挨拶文もございます(笑)。
  

   
  ▼
  
主査からのご挨拶:日本のリーダーシップ教育の「夜明け」である
    
2018年4月より、BLPの統括責任者(主査)をつとめることになりました。「最高品質のリーダーシップ教育」を届けるべく、これまで先人の皆様が努力して開発してきたコンテンツや仕掛けを、さらに「洗練されたもの」にしていくことに、微力ながら邁進したいと思っています。
BLPはこれからも「革新」をめざします。「過去」に安住することなく、さらに「先進的な取り組み」を進めます。たとえば、2018年からは、「リーダーシップ教育の効果性」を縦断的に測定していく「データアナリティクス研究ユニット(仮称)」をBLP内に新たに設置します。収集したデータは、「エビデンスベースの教育改善」を徹底的に行うために利用するだけでなく、ここで学ぶ学生たちの活躍を社会に説明していくために用いたいと思います。
立教大学には、教員のみならず、BLP事務局のスタッフ、SA、CAなど「最高品質のリーダーシップ教育」を届ける「志ある人々」が集っています。ここに集う学生も、リーダーたる「志」をもって、邁進していって欲しいと願います。また、高校の先生方、企業の経営者・人事担当者様など、社会のより多くの人々が、この「志ある人々の縁」にご参加していただけることを願っています。
  
瑠璃色の空に、日の光が登ります
志ある人々が集い
日本のリーダーシップ教育の「夜明け」を迎えます
   
中原 淳
立教大学経営学部・教授
立教大学経営学部ビジネスリーダーシッププログラム主査
  
ダウンロードはこちらです!(PDF書類)
https://drive.google.com/file/d/1-jeWJhqjzxxS3562dgAArMgGikNccnZf/view
    
 なお、立教大学経営学部リーダーシッププログラムでは、BL0、BL2、BL4などの授業にご出講いただけるクライアント企業を募集させていただいております。これから募集させていただくのは、2019年度のプログラムです。
 もしご興味がおありの場合は、どうかご連絡いただけますよう、よろしくお願いいたします。授業見学をとおして、私たちの活動の理念、実態をご覧いただけますと幸いです。
  
お問い合わせ先(立教大学BLP事務局)
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/2982.html

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