2018.4.12 06:12/ Jun
あなたは「与えるひと」ですか、それとも「奪う人」ですか?
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遅ればせながらではありますが、アダム・グラント (著), 楠木建 (監修)「GIVE AND TAKE – 与える人こそ成功する時代」(三笠書房)を読みました。
本書の主張を端的に述べるのだとしたら、
「受け取ること」を考えるよりも、(他者に)「与えること」を考える人が成功する
ということになるのだと思います。
本書は、まず人間を、
Giver(ギバー:受け取るより、より多く与えることを考えるひと)
Taker(テイカー:与えるよりも、受け取ることを重視して考える人)
Matcher(マッチャー:受け取った分と同等を与えるという戦略にでるひと)
の簡略な3種類に分類します。
そのうえで、ペンシルバニア大学ウォートン校の研究者である著者ならではの博識な知識を駆使しながら、Giver「与えるひと」が中長期にはメリットをもたらすことを論じていくスタイルになっています。きっと本書を読むにつけ、多くの人々は、自分がいかに「テイカー」かを思い知ることになるのではないでしょうか?
著者の主張の鋭さ、また、そのわかりやすさもさることながら、本書は、組織心理学の様々な研究の知見も同時に学ぶことができて、僕としては1粒で2度おいしい本でした。
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個人的に興味深かったのは、著者の主張もさることながら、本書後半部で論じられていた「信念と行動」の話題です。
ある価値観や信念のもとで、ひとが行動をもとめられるとき、「価値観や信念」をまえもって教育したり、理解させたりして、そのあとで行動を行わせるのがよいのか、はたまた、「価値観や信念」を体現したような行動を先に「やらせる」ほうがいいのか。本書後半部では、このことについて示唆をあたえる研究が紹介されていました。
Gollwitzer et al(2009)などの先行研究によると、ある信念・価値観にもとづいて行動をとると広言したひとは、実際にはとらないことの方が多いとのことです。
なぜなら、ある信念や価値観という「アイデンティティ」にかかわる内容を、まえもって、他人に知らせた人は、実際に、自分のアイデンティティを主張することができるので、実際には「行動しない」のだそうです。アイデンティティを理解し、広言することで「満足」してしまうのですね。それが「実際の行動」には結びつかない。
これを広義に解釈いたしますと、つまり、
「信念」を変えてから、それを広言させて「行動」を変えようとするのは、効果が怪しい
おそらくは、これをさらに広義に妄想するのならば、
「行動」をまずは変えて、「信念」を変えるほうがはやい
ということになるのかな、と思うのですが、いかがでしょうか。
これはミッションマネジメント(理念経営)の知見としても解釈できて、面白いですね。
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「受け取ること」を考えるよりも、(他者に)「与えること」を考える人が成功する
という著者の主張は、インターネット時代には、はたまた、信頼やレピュテーションが何よりも価値をもつ時代においては(ファンベースの時代といってもいいです)、そのとおりではないかと思います。僕は、これまで、よく学生に「GIVE and TAKE」じゃなくて「GIVE, GIVE, GIVE and TAKE」くらいがちょうどいい、と話すことがあるのですが、
著者の主張は、下記のTED TALKでも楽しめるようですので、どうぞよろしければご覧ください。すごい時代ですね。
「与える人」と「奪う人」—あなたはどっち?
https://www.ted.com/talks/adam_grant_are_you_a_giver_or_a_taker?language=ja
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異動から10日間たって、ようやく、電車のなかで、本をすこし読みすすめる余裕がでてきました。本当にパツンパツンの10日間でした。
しかし、まだまだです。
ここからゼミがはじまり、大学院の授業がはじまり、ビジネスリーダーシッププログラムが本格化します。
自分に押し寄せる変化を楽しんでいきたいものです。
そして人生はつづく
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「マンガでやさしくわかる部下の育て方」が好評発売中です。すでに「重版出来」となりました。ありがとうございます。本書は、はじめてチームリーダーのなった方が、4つの部下育成のスキルをマンガで学ぶことのできる書籍です。どうぞご笑覧くださいませ!
なお、このマンガ、台湾版に翻訳されています。翻訳版がでるのは「対話する組織」以来、2冊目です。日本では読むことはできませんが、多くの方がたに読んでいただければと思います。「人材育成=人才培育」なのね・・・勉強になりましました。
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