2018.4.10 05:56/ Jun
「先生、うちの会社は、上はホワイト、中間はブラック、下はホワイトなんですよ。何とかしてくださいよ」
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ちょっと前のことになりますが、このお言葉は、せんだって、あるところで耳にしたものでです。とても「印象的なもの」でしたので、思わず、書き留めてしまいました。
ここで、
上は「ホワイト」
中間は「ブラック」
下は「ホワイト」
とは、もちろん「比喩」です。何らかの「現象」をたとえて、このように表現なさっているのです。
そして、この「比喩」の現象が「現実」のものになっているのは、実は・・・「長時間労働(残業)の是正に、熱心にお取り組みになられている、ある会社」において、なのです(すべての長時間労働是正に取り組む会社がそうなのではありません・・・)。
もう、そろそろ、言葉の意味が、おわかりになられたでしょうか?
ここで
上は「ホワイト」
中間は「ブラック」
下は「ホワイト」
とは
経営者(上)は、経営者団体で「長時間労働是正」のことを聞いてきて、
「何とかせい!」と管理職を呼んできて発破をかけるだけ
自分自信の働き方は「ホワイト≒あまり長時間労働はしない」
また
下(一般社員)は、中間管理職に「早くかえれー」と
言われて、しぶしぶ家にかえっているので
その生活は「ホワイト≒あまり長時間労働はしない」
一方、もっとも「割をくっている」のは、
経営者と社員の「ホワイトっぷり」のあいだに「挟まれて」、
社員の仕事を「巻き取って」仕事をしなければならない中間管理職(中間)。
中間管理職(中間)の生活は「ブラック=長時間労働が横行している」
ということですね。泣ける。
「上はホワイト、中間はブラック、下はホワイト」とは、「残業抑制施策の実施下における、中間管理職の長時間労働」を喩えたものだったのです。
実際に、僕とパーソル総合研究所さんで行った「長時間労働に関する共同研究」の知見でも、
(1)中間管理職の労働時間はロアー社員よりも長いこと
(2)残業施策を実施している会社では、中間管理職が社員の仕事を代行していること
がわかっています。
パーソル総合研究所 × 中原の共同研究プロジェクト「希望の残業学」
https://rc.persol-group.co.jp/zangyo/
しかし、中間管理職とて「生身の人間」です。
上は「ホワイト」
中間は「ブラック」
下は「ホワイト」
は、続かないよね・・・。
この現象、ただちに是正されなければならないと思いますが、いかがでしょうか?
そうしないと、
きっと、誰も「管理職」になりたがらなくなるよ・・・
▼
今日は、メタファを用いながら、「残業抑制施策の実施下における、中間管理職の長時間労働」について書きました。
くどいようですが、中間管理職とて「生身の人間」です。そのようなことが長くはつづきませんし、現場社員の仕事を巻き取って入れば、本来業務であるマネジメントにも「力点」が入らなくなるでしょう。
あなたの会社には「上はホワイト、中間はブラック、下はホワイト」の現象が生まれていませんか?
そして人生はつづく
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