2018.4.5 06:29/ Jun
日本列島が「試行錯誤減少社会」になってきているような気がします。
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人材開発にとって、もっとも重要な学びの契機になるのは、言うまでもなく、「試行錯誤(トライアンドエラー)」です。
はじめてやる業務に挑む。そこで、失敗やつまづきを含めた、いろいろな経験をするーすなわち「試行錯誤」を繰り返す。そのことを折に触れて、振り返る。
こうした「試行錯誤」を繰り返すことー経験学習をつむことが、中長期には、人間の能力を伸ばしていくのだ、と僕は思います。
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しかし「試行錯誤」は、経営的観点からいえば、「コスト」でもあります。
それを、どの程度許容するかは、それぞれの経営状態、組織文化、マネジャーの考えに依存します。
ある一定の「試行錯誤が、あらかじめ、ビルトインされている組織」か、はたまた、まったく「試行錯誤を許さない組織」かは、それぞれの状況によって異なるのです。
たとえば、せんだって、ある場所でうかがった話です。
ある国のある工場では、「異常対応」や、それに対する「改善策」の考案は、マネジャー以上しか行わない、とされている場所があるそうです。
一般の工員が「異常対応」を試みて、試行錯誤して失敗したら、その損失の責任は誰も負えないので、彼らに「試行錯誤」はさせない。「試行錯誤」と「改善策考案」は、あくまでマネジャー以上で行う。
ということは、一般の工員は、「言われたことを、言われたとおりに、動くこと」以上のものは期待できない可能性が高くなる、ということです。つまり、能力の伸びは期待できません。
これがもし日本の工場だったら、それこそQCサークルやらカイゼンなどが典型的でしょうけれども、職場のメンバー全員で、試行錯誤を行い、改善策を考えるところもあるのかな、と思うのです。
このように「試行錯誤の量」は、組織によって、文化によって、状況によって、大きく異なります。
あなたの組織は、どのくらいの「試行錯誤」を許していますか?
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しかし、日本の職場、日本の組織とて、「安穏」としていられるわけではありません。
冒頭申し上げたように、あくまで「主観オブ主観」で恐縮ですが、僕の目には、日本も「試行錯誤減少社会」化が、少しずつ、進んでいるような気がするのです。
たとえば、昨今、巷で議論になっている「長時間労働に対する対策」も、「試行錯誤の減少」を進めてしまうひとつの要因なのかもしれないな、と思います。
最近、いろいろな場所で話を伺っておりますと、よく耳にするのが、
「新人に、仕事を任せられない」
という問題です。
新人に、ストレッチの仕事を任せ、長時間労働になってしまえば、管理職である自分の評価にも響く。よって、彼らには、あまりストレッチの仕事を任せない。反面、仕事のできるメンバーで、早々に仕事を片付けてしまう。
これは短期的に見れば、長時間労働の是正という「課題」を解決しているような気もしますが、中長期でみれば、新たな問題を生み出します。試行錯誤量の少ない、新人の業務能力はいつまでたっても伸びません。
ということは、誰かが、その分の仕事を引き受け続けるほかはない、ということになります。仕事の属人化がさらに進みます。
短期的には、「仕事、楽だわー」という具合に、新人の方も思うかも知れませんが、中長期には「業務能力は伸びていません」。ということは、中長期的には、待遇などがよい方向に向かうことは期待できません。
しかも、現在は「大量採用」時代です。競争相手は大量にいます。バブル時代を経験したことのある方なら、こののち10年後ー20年後に、どのような未来が、あるかは、ある程度は予想はつきます。
もちろん、管理職の方の、長時間労働をさせるわけにもいかない、という気持ちも、痛いほど、痛いほど、痛いほど、わかります(僕も管理者のひとりです)。
結局、この問題の解決は、先ほどの「トレードオフ」をいかに超えるのか、ということになるのかな、と思います。
すなわち・・・
長時間労働にならないようにしつつ、しかし、ストレッチ経験をつませること
ひとつの解決は、ストレッチの段差を「できるだけ細かく=ベビーステップ化」すること、マニュアル化を一方ですすめ、試行錯誤量を適切に管理すること、などが思いつきますが、いかがでしょうか。
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列島に「試行錯誤減少社会」というべきものが、生まれている気がします。
皆さんは、この問題に対して、どうお考えでしょうか?
あなたの組織は、どの程度、「試行錯誤」を許容していますか?
そして人生はつづく
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