2018.3.20 05:52/ Jun
最近、いろいろなところで「意識改革」という言葉を目にします。
曰く、
ちょめちょめ社は、問題の再発を防ぐため
社内の「意識改革」をはかることになりました
ほげほげ社は、このたびの不祥事に際して
社員の「意識改革」を進める予定だ
などといった具合です。
そして、僕は、この「意識改革」という言葉が気になって仕方がありません。こんなことを考えている「暇人オブ暇人」は、日本中で、僕だけかも知れませんが、どうしても、気になるのです(笑)。
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といいますのは、ものの本やネット上の様々な定義を概観いたしますと、意識改革とは
従来の「考え方」や「姿勢」などを、「新しいもの」へと転換すること
とあります。
これを人材開発の用語を用いて翻訳いたしますと、「意識改革」とは
1.「従来の考え」や「姿勢」を「Unlearning(学習棄却)」して、
2.「新たな物事」を「Relearning(学びなおす)」こと
に他なりません。
人材開発の専門家としては、ここまで読むだけで、
ひょえー、こりゃ、おおごとだなぁ
どうやって、UnlearningとRelearningを可能にするのだろうか・・・
こりゃ、骨がおれるわい
と思ったりするのです。
しかし「問題」はここからはじまります。
じゃあ、どのように「意識改革」をはかっているのか、興味をもって、人脈をあたり、「ちょめちょめ社」や「ほげほげ社」の社員の方に、それとなく話をうかがってみます。
そうしますと、かえってくる答えは
当社の「意識改革」ですか・・・社長の訓話が発表されましたね・・・会社から注意喚起のe-mailも全社員におくられてきましたねぇ
とか
無理矢理「eラーニング」のビデオを見せられて、視聴後にテストがなされましたねぇ・・・
とか
会議の終わりに、問題の顛末と再発防止の決意を記した書類が、配付されましたねぇ・・・
とかいう事例がかえってきます。
もちろん、問題を前に、ちゃんと「意識改革」をしている組織もあるかもしれません。が、一方、こうした事例も少なくないように思います。
人材開発の観点からすれば、「意識改革」は「Unlearning」と「Relearning」を同時に実現しなければならないほど「おおごと」なのにもかかわらず、その手段は「One way(一方通行の情報伝達)」が多いものです。
これで、本当に「意識」なんてものが変わるんだろうか、とすこし不安になってしまうのですが、いかがでしょうか?
意識改革という言葉は、非常に「使いやすい」マジックワードです。
でも、その「おおごと」っぷりに対して、実は、実態が伴わないことが少なくないのではないか、ということが僕の申し上げたいことです。
▼
昨今、世の中には「意識改革」が必要な組織が、少なくはないのでしょうね。
しかし、多くの場合、
「意識改革は、おおごとにもかかわらず、メソドロジーとしてプア」
ではないかというのが、今日の結論です。そして、多くの場合、意識改革が進まないシンプルな理由はここにあると思います。
「One wayの情報伝達」は、人々が古い考えを捨て去り、新たな物事を学び出すほど、「万能」ではないのです。
そのようなプアなメソドロジーを見ておりますと、もしかすると、組織の中には、いわゆる「世間体」を気にして、とりあえず「意識改革をしたことにする、意識改革」もあるのかなぁ、とうがった見方を、ついつい、してしまいます。
この意味で、
「メソドロジーなき意識改革」とは、「思考停止」に他ならない
のかもしれません。
メソドロジーが伴わない意識改革とは、とりあえず「意識改革」と言っておけばいい、という風に考えて、「意識改革」という言葉を用いたものの、それをどのように実現するかについては考えが及ばないことが多いからです。
あなたの会社では「意識が1ミリも変わらない意識改革」がございませんか?
「意識改革をしたことにする、意識改革」があなたの周りに生まれていませんか?
そして人生はつづく
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