2018.3.14 06:01/ Jun
※3月15日は所用にてブログ執筆をお休みします!明日からいつもどおり再開します!
古典というものは、実に「奥深い」ものです。
僕が、寝室にいつもおいていて、たまに読み返す本のなかに、ブレーズ・パスカルの「パンセ」があるのですが、これが実に奥深い(パスカルの定理のパスカルですよ・・・数学者でもあり思想家でもあります)。
17世紀に書かれた、この本は、世の中の「たいていのこと」について、パスカルなりの「結論」を出しています。その思考が実に「明晰」です(僕に言われたくないと思いますが・・・)。
なので、この本は「絶望の書」でもあります。
この本を読む後世の人々に、「これ以上、世の中に、知的探究が必要なのか」と思わせてしまうほど、「世の中のたいていのこと」について、天才パスカルが、ものを論じているからです。
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たとえば、拙著「フィードバック入門」にゆるく関連する内容としては、こんなことが書かれています。
ここでフィードバックとは「耳の痛いことを相手に通知して、相手の行動を補正・改善する行為」のことを意味します。
すこし長くなりますが、パスカルの「パンセ」から引用してみましょう。
人間というのは、概して、「自分の頭で見つけた理由」のほうが、「他人の頭の中で発見された理由」よりも、深く納得するものだ
(パスカル「パンセ」断章)
人を効果的にたしなめ、その人が誤っていることを教えるには、その人がどの方向からものごとを見ているかをしっかりと見極めなければならない。というのも、その人がみている方向からは、ものごとはたしかに「真」に見えるからだ。
そして、それが「真」であることをいったんは認めてやる必要がある。しかし、同時に別の方向から見てみると誤っているということを発見させてやらなければならない。
(パスカル「パンセ」断章)
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いかがでしょうか。「たいていのこと」がすでに書かれている、という意味がおわかりいただけたのかな、と思います(笑)フィードバックにあっては「耳の痛いことを相手に通知する」だけでは奏功しないことが、ゆるやかに感じ取れないでしょうか。
パスカルがすでに17世紀に喝破していたように、人間は「他人の頭の中で発見された理由」よりも「自分の頭で見つけた理由」を好みます。
ゆえに、人を効果的にたしなめるとき(フィードバックをするとき)にあたっては、相手がどの方向から物事をみているかを見極め、いったんは、そこから見えた物事を認めてやる必要があるのです。
しかし、同時に、もしかすると、耳の痛い話にもなるかも知れませんが、こちら側の「見え方」を相手に提示し、相手に「ズレ」を認識させなければなりません。
おおよそ、フィードバックについて大切なことが述べられていると思うのは僕だけでしょうか。
すでに17世紀に・・・(絶望)。
今から400年前に・・・日本だったら江戸時代に(絶望)
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今日は「古典」について書きました。
古典は実に「奥深い」ものです。また、そこそこ難しいものであれば、なおさら寝室におくのはよい。なぜなら、本を読んでいるうちに、眠気が誘われ「おやすみのびた君」状態に、ただちになれるからです。
でも、僕は「それでいいのだ」とも思うのです。僕は「職業哲学者」ではないので(笑)
1日1ページずつ、毎日毎日、すこしだけ読んで、すこしだけ考えて、うとうと寝る。生涯をかけた(?)、こんな古典とのつきあい方が、僕にはあっています。
そして人生はつづく
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