2018.2.20 06:05/ Jun
「先生、フィードバックを受ける側は、何に気をつければいいんでしょうか? フィードバックを受ける側のコツってありますか?」
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先だって、ある学部生の方が、僕のところにやってこられて、こんな質問をしてくださいました。
ちょっと前に行ったミニ講義で、「フィードバックをする側」のことをレクチャーしたので、今度は「フィードバックを受ける側」のことが気になったのかもしれません。
そのときは、所用で、ちょっと時間がなかったので、
「わかった。今度、それで、ブログを書くよ。ちょっと待ってて」
とだけいいました。
で、今日の記事が、それ(笑)
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フィードバックを受ける側のコツとして、僕は下記の5つをあげたいなと思います。
1.聞き切る
2.感謝する
3.具体化する
4.対話する
5.これからを考える
「1.聞き切る」とは、相手から提供されるフィードバックを、まずは受容し、受け止め、最後まで「聞き取ること」です。何をアタリマエのことをとおっしゃるかもしれませんが、これがなかなか難しい。
相手の話の腰をおらず、「聞き切ること」は意外にできないものです。頭にきて途中で反論してみたり、相手を論破しようとしたりして、とにかく「聞けない」、「受け止められない」、頭にきて「放り投げる」。あるいは「あー、わかった、わかった」という具合に「丸め込んで」しまう。「ていうかさ、、、」で誤魔化す
フィードバックを活かせないひとはたいてい、
論破病
あー、わかった、わかった病
ていうかさ病
にかかっています。
フィードバックとは、あなたの成長のための「相手からのプレゼント」です。
多少トゲのついたプレゼント(!>?)かもしれませんが、耳の痛い話をしっかり聞き切ることが重要かと思います。フィードバックを受ける側にとって、まず求められるのは、「受容」の態度かと思います。
その上で、大切なのは「2.感謝する」ということかなと思います。
相手は、とても「言いにくいこと」を勇気をもって言ってくれました。そういう相手に、
「なんだ、てめー、こら、ふざけんじゃねー」
というのか(笑)
「言いにくいことをいってくれて、ありがとう」
といえるのか。すなわち、もらったフィードバックに対して「感謝すること」ができるかは、次に問われる「知性」でしょう。
▼
フィードバックを受ける側の知性として、次に必要になってくるのは、相手との「認識あわせ」をしていくことです。
相手は、相手の目から見えた、あなたの姿を、今回フィードバックしてくれました。しかし、これは、もちろん相手の主観であり、相手の目から現実です。対して、フィードバックを受ける側には、こちら側の理解や認識や言い分もあるものです。要するに「相手とあなたとのあいだには、認識の違い」がたいていは生まれます。
この段になってまいりますと、相手とのコミュニケーションをつうじて、この「理解や認識のちがい」を補正していくことが次の課題です。
その際、まず必要になってくるのが、「3.具体化する」です。
相手からのフィードバックが、「具体的な行動レベルに関する指摘」になっていない場合には、相手への質問をとおして、
どういう状況で(Situation)
どういう行動をとったことが(Behavior)
どのように悪く見えたのか? よく見えたのか?(Impact)
を順に明らかにしていくことが求められます。いわゆる「SBI情報」を自ら具体化していくということですね。
中原君さ、なんか、最近、主体性なくない?
という相手からのフィードバックでは、こちらは「何」を補正してよいのかわかりません。
「最近」とはいつのことなのか、「主体性」とは何を指し示しているのかを、相手への質問を通して「具体化」していくことが求められます。
「4.対話する」は、「3.具体化する」の延長上にあります。
もしかすると、「相手との認識の違い」は、そう簡単には埋まらないかも知れません。その場合には、相手をやりこめようとしたり、キレたりせずに、お互いの認識や見えの違いを、しっかりと顕在化(見える化)していくことが求められます。
対話とは、双方の「違い」を見える化するコミュニケーション
です。
じっくりとした対話によって、認識あわせをしていくことが大切なのかな、と思います。
対話とは「意見をポットンと落とすこと」!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7372
そして最後「5.これからを考える」は、もっとも大切なことですね。
フィードバックを受けるとは「耳の痛いことを受けて、自分の行動を立て直すこと」です。単に、相手から耳の痛いことを「言われる」だけではなく、しっかりと、相手からのプレゼンを「未来の立て直し」に役立てていけたらよいですね。
要するに
これからの自分は、どのような行動を、どのように変えていくのか?
をしっかり考えることかと思います。
わたしたちは微力です。
変えられるものは「他者」ではなく「自分」であり
変えられるものは「過去」ではなく「未来」だけです
以上、説明終了
これで、学生さんの質問にはお答えできたでしょうか。そうであることを願っています。
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今日は、「フィードバックを受ける側」が留意しておく5つのポイントを書かせていただきました。
フィードバックが、ある組織において、あたりまえになされるようになるためには、フィードバックを提供する側もスキルやナレッジや経験をつむ必要がありますが、一方、フィードバックを受ける側のスキル向上も必要なのかなと思います。
このようなプロセスを通して、日本の多くの組織に「フィードバック文化」が根付くことを願っております。
そして人生はつづく
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