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2018.2.8 05:48/ Jun

「パワフルな効果を生み出す経験学習」の「とてつもない泣き所」とは何か?

 プロジェクト学習
 課題解決学習
 アクションラーニング
 リーダーシップ教育
 サービスラーニング
  
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 何と表現してもよいですが、この手の「経験と振り返りを重視する学習」が昨今注目されています。
  
「伝統的な一方向の講義」や「知識注入型の教育」ではなく、1)複数の人々が相互作用をともないながら2)具体的な経験やアクションをおこし3)それにともなう「リフレクション」によって学ぶことに、スポットライトがあたっています(教育史をひもとけば、かつて来た道、新しい潮流とは言えないとは思いますが)
      
 いわゆる「経験学習」は、とてもパワフルです。
 それは「人々の具体的な経験」をともなうだけに、成功した場合の収穫は、とてつもなく大きなものとなります。
   
 しかし、一方で、経験学習には「泣き所」もあります。
 あくまで一般論ですが、経験学習の泣き所とは
  
 1.コストが高いこと(維持していくためにはリソースが必要なこと)
 2.「良さ」が第三者に伝わりにくいこと
 3.評価が難しいこと
  
 の3つかと思っています。
   
 これらを、今日から思いついた日に(次はいつ?)、順番に説明していきましょう。
(一日で書こうと思ったのですが、途中で無理だ、と気づきました。さすがに、執筆時間の20分では書けそうにありません)
    
  ▼
    
 経験学習の泣き所ーその第一は「コストが高い」です。
 嗚呼、そのまんま(笑)。
  
「伝統的な一方向的な講義」は、「ひとりの教え手」に対して、大講堂にN=900人の人数を集めても「教えたこと」にできます。「学べるか」どうかは問題ではありません。「教えたこと」にできる、ということがポイントです。

 もちろん、そうした「過酷な環境」でも、ハッとした気づきをもたらす素晴らしい講義も存在するかもしれません。ただ、「情報伝達の効率性」の観点からみた場合、「一斉講義」とは「もっとも少ない労力で、教えたことにできるシステム」であると僕は思います。
  
 しかし、一方「経験学習」はそうはいきません。
    
 まず、クラスのサイズは、N=900とはいきません。
 これは学習の形態によっていろいろありますので、一概にはいえませんが、一般的には、クラスの人数を30人−40人(多くても)くらいにしぼる必要があるかもしれません。仮にクラスサイズを30人としても、900人をこなすには、すでに教え手は30人必要です。
   
 クラス内では、そのうえで、5人くらいのグループを組ませ、メンバー間であーだこーだと議論を行い、アクションを行い、振り返りを行います。おそらく人数だけでなく、かかる時間や労力も膨大です。
    
 議論や振り返りのときには、教師のほかに、ファシリテータやメンターのような人が、グループの面倒を見なくてはならなくなるかもしれません。ファシリテータやメンターのような人をクラスに1人配置するのであれば、もうさらに30人。倍率ドン!さらに倍!(意味不明)。
  
 教え手とTeam Teaching役のひとをあわせて、もう、合計60人の人が必要になります。
  
 一斉講義は1人。
 経験学習なら60人

 これが、多くの教育機関で、一斉講義が採用される理由です(笑)。
      
  ▼
    
 これにちなんで興味深いストーリーがございます。
 かつて、「経験学習」の祖といわれるジョン・デューイは、自分の勤務するシカゴ大学に、彼の理想とする実験学校をつくったことで有名です。
 シカゴの実験学校は、彼の理想とする「経験による教育」「社会と接続された教育」を実現する格好の場になりました。しかし、そうしたパワフルな教育を実現する学校を、デューイは、長いあいだ、存続させることは、難しかったと言われています。
  
 その最大の理由は「経営難」です。
  
 一時期、ジョン・デューイの実験学校は、子ども140人に対して23人の教師と、10人のシカゴ大学の大学院生アシスタントがついたといわれています(苅谷「教育改革の迷走」 2012)。
 すなわち、5人ー6人に対して、1人の教え手がついたわけで、こうしたリソースの高さが、学校存続に悪影響を与えたことは否めないでしょう。デューイの実験学校は、こうした特殊な環境での、文字通り「実験」だったのです。
   
 このように経験学習の泣き所のひとつは「コストの高さ」です。
   
 ですので、経験学習を維持するためには、「リソースをいかに確保してくるか」、ないしは、「業務負担をいかに標準化したり、簡略化したりして、チームで作業負荷を分担するか」といった「経営」の観点が、どうしても必要になります。

(※だから、アクティブラーニングとカリキュラムマネジメントがともに語られるのです!)
    
 ▼
   
 今日は、経験学習の泣き所として、「コストの高さ」のお話をしました。
  
 誤解を避けるために申し上げておきますが、僕は
  
 コストがかかるから、経験学習は「ダメ」だ
  
 といいたいわけでは、1ミリもありません。
  
 その「逆」です。
  
 経験学習はパワフルです。
 そして、経験学習は、これからの時代を生きる子ども、大人の学びを考える上で、ぜひ実現したい学びです。
  
 しかし、
  
 経験学習は「はじめる」ことよりも、「維持すること」の方が難しい
  
 のです。
  
 教育評論家なら許されるのかも知れませんが、「経験学習の理念」だけを声高に叫んでも、それを維持することできません。実務家であるならば、そこに「知恵」を持たなくてはなりません。
    
 経験学習を維持するために、どのような仕掛けをつくるか?
 経験学習を生み出すために、どのようなマネジメントを実現するか?
    
 こうした視点が、必要になってくるように思います。
   
 チャレンジしがいのある課題ではないですか(笑)
 そして人生はつづく
   
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