2018.2.7 06:14/ Jun
「うちの会社は、猛烈な詰め文化なんです。部下がロープぎわで、もう降参してるのに、さらに上司に詰められても、頭は真っ白ですよ。もう、何言われてるんだか、わからない。その瞬間、幽体離脱するんですよね」
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ちょっと前のことになりますが、ある会社につとめる若い方(Aさん)が、こんなことをボヤいておりました。
ここで、この方が「詰める」と彼が言っているのは、「上司による部下への執拗なダメだし」とお考えください。そうした「執拗なレベルのダメだし」が「組織レベル」で共有されていることが「詰め文化」ということになるのでしょう(笑)。
悲しいことに、この方の会社では、ロープぎわで、もう部下がヘナヘナしていても、上司は執拗に「ダメ出し」を繰り返し、そんなとき部下の頭が「真っ白」になってしまうのだそうです。
僕への質問は、さらに続きました。
Aさん「先生、ロープぎわまで詰められても、頭が真っ白にならない方法ってあるんですか?」
ぼく「えっ(笑)そっち?(笑)」
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ぼく「ないんじゃないの(笑)誰だって、そんな状態だったら真っ白になって当然だよねぇ」
Aさん「ですよね、あたりまえですよね」
ぼく「そうだよ、誰だってそうなるよ」
Aさん「なんだか、勇気がわいてきました」
ぼく「えっ、ほんと?」
Aさん「ありがとうございました!」
なんか、方向性が、ズレてないか(笑)
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去年、僕が「フィードバック入門」や「実践!フィードバック」を著したのは、こうした「詰め文化」の「コスト」を減らすためでもあります。ここで僕は「コスト」と申し上げていることにご注意ください。
頭が真っ白になるまでだめ出しをおこなう
幽体離脱するまでダメ出しをする
専門用語では、こうした状態のことを「Uncoachable状態(支援不能状態・思考停止状態)」といいます。すなわち、もう頭が真っ白で思考能力を失っているので、何をいっても、その方は「考えること」ができません。
つまり「考えられない状態」になっているのです。
さらにここに日本組織特有の幻想ー僕が「発憤幻想」とよぶものが加わります。
「発憤幻想」とは「部下を詰めるにつめれば、発憤するだろうから、次の日から目をキラキラさせて、行動を変えるに違いない」という幻想です。上司は、ここで部下を「発憤」させようと、思考停止状態になっているところに、さらに「追い打ち」をかけます。
わたしの数少ない教育経験では「猛烈なダメだしで目がキラキラすることは100%」ありえません。
むしろ「逆効果」です。
ロープぎわまで追い込まれれば、人は「恨み」をもちます。
これがトラウマになり、いつか「復讐」を誓います(笑)
もし、部下の方がなさったミスが「手痛いミス」で、本当に上司の方が、それを繰り返してほしくないのなら、こうした「猛烈なダメだし」は「効果性が低い」のです。
「効果性が低い」どころか、相手に「恨み」までもたれてしまうので、むしろ「マイナス」。ハラスメントとして訴えられる「リスク」もあがります。だから、詰め文化は「コストが高い」と申し上げたのです。
フィードバックとは「耳の痛いことを通知し、部下を立て直す技術」です。多くの人を動かすポジションにおられる方が、このスキルを獲得していただけることを願っています。
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今日は「詰め文化とフィードバック」について書きました。
あなたの会社では「猛烈なダメだし」で効果がでていますか?
あなたの会社では、若手社員が「ロープぎわで幽体離脱」していませんか?
あなたの会社の上司は「発憤幻想」にとらわれていませんか?
そして人生はつづく
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新刊「実践!フィードバック」が重版2刷決定、前書「フィードバック入門」は3万部突破です。耳の痛いことをいかに部下に通知し、そこから立て直しをはかることができるか。全国各所の管理職研修で用いられています。はじめてリーダーになる方、管理職になる方におすすめの2冊です。どうぞご笑覧くださいませ!
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昨日は「組織開発の探究」本のお打ち合わせでした。この本は、中村和彦先生と中原の共著で、400p超の本になる予定です。ダイヤモンド社から7月に発売の予定です。写真は、中村先生、中原、構成をご担当の井上さん、編集の間杉さんです。皆さま、今日はお疲れ様でした&ありがとうございました。7月の刊行、どうぞお楽しみに!
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