NAKAHARA-LAB.net

2018.1.23 06:56/ Jun

毎日使っていると、もれなく「頭」が悪くなる「魔法の言葉」とは何か?

「うざい」とか「きもい」とか、そういう言葉を乱発していると、頭悪くなるよ・・・
   
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 せんだってのお正月、久しぶりに集まった親戚の子どもたちが、これらの言葉を連発していて、ふと考えてしまいました。
  
 何をいっても「きもい」
 何を聞いても「うざい」
  
 まぁ、人生、何をいっても文句をたれたい「すっとこどっこい時期」もありましょうから、別に、目くじらたてることもないのでしょうけれども、これらの言葉があまりに「安易」に用いられると、知性に悪影響を与えるだろうな、と思ってしまったのです。
  
 いや、言葉そのものはどうでもよろしい。
 きもいも、うざいも、僕は言葉として「嫌い」だが、そんなことはどうでもよろしい。
  
 そんなことよりも、これらの言葉の乱発は、「主語や目的語」を「はしょること」を習慣化してしまう。
  
 何をいっても「きもい」
 何を聞いても「うざい」
  
 なので、文章をつくる必要がないのです。
 つまり、自分の言いたいことを文章として表現するということから、逃げることができてしまうのです。そして、長い間、それを繰り返していると「はしょること」が習慣化する。だから、知性が伸びない。頭が悪くなる(笑)。
  
 あと、これらの言葉は「個人の感覚」を表現します。
「個人の感覚」なのだから、感じてしまえばそれでいい。ここに圧倒的に不足するのは「理由や根拠をのべる習慣」です。たいていの場合、「なぜ、そうした感覚をもったのか」という「理由や根拠」が「はしょられて」しまう。
  
 なぜ「きもい」のか?
 なぜ「うざい」のか?
  
 という「理由・根拠」を述べなくても、感覚を述べさえすればOKということになってしまいます。
  
 何を見ても「きもい」のひと言でOK!
 何を聞いても「うざい」のひと言でOK!
  
 理由や根拠に基づいて話すというのは「論理性」を鍛えるうえで、とても大切なことです。しかし、これらの言葉の応酬は、そうした論理的思考を疎外してしまう。だから、頭が悪くなる(笑)
  
 要するに、「うざい」や「きもい」の応酬は、「主語」やら「目的語」やら「理由や根拠」などを「はしょること」が横行してしまうことになってしまう。
 必要なものを「はしょり」、意味の交換を日常的に行い合うのだから、頭が悪くなるのは「個人」だけの問題ではない。その言語使用を行いあう集団そのものの知性は落ちる。だから、究極的には、みんなで、頭が悪くなる(笑)。
  
 僕が言いたかったことは、そういうことです。
 口うるさいおじさんとしては、子どもたちを前に、こんなことを、説教しましたが、まー誰も聞いちゃいない。
 それこそ、うざい、きもいなんだろうけれど(笑)
 別にいいよ、うざくても、きもくても。
   
  ▼
    
 今日は、語の使用と知性について考えてみました。
 たかが言葉くらいで、と思われるかもしれませんが、されど言葉だと思うんですよ。
  
 そして人生はつづく
  
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