2018.1.9 06:31/ Jun
人は生きていれば、さまざまな「苦難」に直面します。
そして、苦難に直面したときに、それを乗り越えられる人と、苦難を目の前にして戸惑い、逡巡してしまう人がいます。
苦難に直面したときに、いかに、そこから這い上がることができるのか
逆境に苦しみ、いかに快復をとげるのか?
そうしたことを可能にする個人的資質・個人的能力のことを「レジリエンス」(逆境からの回復力)といったりします。日本では、東日本大震災以降、特に注目されることになった概念です。
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せんだって、フェイスブックCOOのシェリル・サンドバーグさん、ペンシルバニア大学の組織心理学者であるアダム・グラントさんがお書きになった「Option B(オプションB)」を読みました。「OptionB」は、FacebookのCOO・シェリル・サンドバーグが夫を亡くされたことがきっかけになり、書き記されたものです。
「Option A(最善の選択肢)」ばかりが並ぶ「バラ色の人生」なんてありえない。人は、生きていれば、常に苦難に直面し、「OptionB(次善の選択肢)」を選ばなくてはならなくなる。そうしたときに、いかにこの苦難や逆境から快復できるのか。
彼女が、「夫の死」という苦難を目の前に、いかに戸惑い、いかに乗り越えようとしたのか。そうした実話をもとにして、レジリエンスについて論じているのが本書です。
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本書を読んで興味深かったことはいくつもあります。が、敢えてひとつというのであれば、冒頭で引用されているマーティン・セリグマンの「3つのP」というお話です。
セリグマンは「学習性無気力」の概念やポジティブ心理学の主張で超有名な研究者で、元・心理学会の会長をつとめた方です。彼がいうには、「人が苦難から快復することを妨げてしまう要因は3つある」のだそうです。それが下記に示す「3つのP」です。
Personalization(個人化)・・・自分だけが悪いのだと考えてしまうこと
Pervasiveness(普遍化)・・・ある出来事が人生のすべてに影響すると考えてしまうこと
Permanence(永続化)・・・ある出来事の余波がいつまでも続くと考えてしまうこと
「自分だけが悪い」「こんなことがあったら、すべておしまいだ」「この悪影響は未来永劫つづくだろう」・・・こうした考えに人が「囚われてしまった」ときに、人はレジリエント力を発揮できなくなってしまいます。まことに興味深いことです。
実際の人生は、おそらく
あなただけではなく、誰もが、苦難に直面し
シンドイことの悪影響は、部分的にしかあらわれず、
しかも、シンドイことは永続しない可能性の方が高い
のでしょうけれども、苦難に直面した人は、こうした考えをとることが、なかなかできません。比喩的に申し上げるのであれば、
人は、かならずしも苦難に苦しむわけではありません。
苦難からの「囚われ」に苦しむ側面もある、ということなのでしょう
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今日は新年早々、苦難の話をしました。
人は生きていれば、必ず、苦難に直面します。おそらく、今年も、様々な苦難にわたしたちは直面することでしょう。
そんなとき、セリグマンのいう「3つのP」に陥っていないかを、チェックする、ほんの少しの心の余裕が欲しいものですね。
学び多き一年を!
そして人生はつづく
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