NAKAHARA-LAB.net

2017.11.27 07:12/ Jun

年がら年中「いいね光線!」を浴びてるからこそ「スパイシーなフィードバック」が欲しくなる理由!?

「先生、フィードバックをいただけませんか?」 
「先生、客観的にコメントをいただけませんか?」
  
 ここ数年、課題解決やプロジェクト学習のなかで、スパイシーなフィードバックやコメントを、自ら求める学生が増えてきたなぁ・・・という印象があることを、以前、僕はブログでお話ししました。
 大学教員になって17年ほど立ちますが、この17年で学生の何が変わったのか、というと、僕はそのひとつに「フィードバックを好む学生が増えたこと」を、ついついとりあげたくなります。
   
 もちろん「N=1(僕だけ)」の妄想かもしれません(笑)。
 ただ、フィードバックという言葉をつかわずとも、客観的なコメントや感想を僕に求めてくるーすなわちFeedback Seeking(フィードバック探索)をする学生は、この17年間で、確実に増えた印象が僕にはあります。皆さんの周囲はいかがでしょうか?
  
 反面、何をいってものれんに腕押しの「フィードバック拒絶をする学生」もいらっしゃることはいます。問題は、これら2つが完全に二極化していることにもあるのかもしれませんが、今日は、その話はいたしません。
  
 また別の機会にでも(笑)、それはゆっくりと。
  
  ▼
  
 今、仮に「フィードバックを求める学生が増えてきたこと」を「真」だとして話を進めるとすると、彼らが、なぜ、「フィードバック」を求めるようになっているのかについて、その理由が知りたくなります。
 そもそも、大学の学習のなかに、課題解決やプロジェクトが増えていることは、その最も大きな理由のひとつでしょう。ただし、それ以外にも、様々な理由がありうるように思います。
  
 また「妄想力」をたくましくしてお話をすると、その原因のひとつに、僕は、現在、彼らがおかれている「メディア環境」もありうるのではないか、と思ってしまいます。
  
 現在、大学に入学してくる学生は(1999年生まれ・・・来年はいよいよ2000年生まれの皆さんが大学にはいってきます!)、子ども時代からインターネットがあたりまえにある環境の中で育ってきた世代ーいわゆる「デジタルネィティブ」です。
  
 さらに彼らは「ソーシャルメディアネィティブ」でもあります。物心がついたときから、デジタルメディアも、ソーシャルメディアも、彼らの学生生活には「あり」ました。
 青春の1ページの思い出の中に、Facebookをしている自分、Twitterのタイムラインを見ている自分、インスタ映えのする写真をアップする自分というものが、刻み込まれているのが、現在の若者たちです。

 原則、ソーシャルメディアのコミュニケーションとは、 Facebookの「いいねボタン」に代表されるように、基本的には「ポジティブ文化」です。
  
 写真をアップすれば「いいね!」
 意見を表明すれば「いいね!」
 動画をアップしても「いいね!」
 何をしても「いいね!」
 ハナク○ほじってても「いいね!」
 屁こいても「いいね!」
  
 です(笑)。ハナク○ほじってても、屁こいてもいいね!なのですから、そのポジティブ文化っぷりは、すさまじいものがあります。
    
 自分の親密な仲間内では、常に「いいね!」を繰り返している生活圏に、彼らはいます。そんな中では「イマイチだね」「しょぼいね」とか言われることは、まずありません。スパイシーなフィードバックも、浴びる機会は、限定的であるという仮説も成立します。
  
 そこで、ついつい「妄想戦士・ネボケンジャー」の小生といましては、こんな風にも思ってしまいます。
  
 年がら年中、周囲の仲間たちから「いいね光線」を浴びてるからこそ、スパイシーなフィードバックを外部に求めてくるのかなぁ・・・と。
    
 
    
「いいね!」と仲間内で、相互に褒め合っているからこそ、外部に「フィードバック」を必要としているのかもしれないな、とも思うのです。
  
 ま、朝っぱらからの妄想ですが・・・。
  
  ▼
  
 ソーシャルメディアの「いいね光線」は、今日もあちらこちらで飛び交っています。
 そのような中、「自分を立てなおすためのフィードバック」を、自ら求める動きが加速しているような気がします。
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
     
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