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2017.11.16 06:49/ Jun

「昔の残業」とは「みんなでワイワイと生活すること」だったのではないか?

「オレが若い頃はなぁ・・・残業なんて、あたりまえで、XX連チャンってこともあったんだ。最近の政府がすすめる、働き方改革っていうのかな。あれは、オレ、どうかと思うよ。」
      
   ・
   ・
   ・
    
 S橋あたりの横町で飲んでいると、どこからともなく、こんなビジネスパーソンの語りが聞こえてきそうな昨今です。
 しかし、これに類するような「残業武勇伝的な語り」は、50代くらいのビジネスパーソンの皆様と飲んでいると、よく耳にすることがあります。皆様、お仕事、お疲れさまでございます。
    
 語りの要旨は、
   
 昔は「すごく残業」していた
   
 というものです。
  
 たしかに、様々な調査の数値を見てみると、昔の労働時間は、今より長かったことが知られています。昔と今で、実際は、それほど大きな減少があったわけではないのですが、ともかく、労働時間は長かった。
   
 中には、かつて流行した「24時間働けますか?」のキャッチコピー通りに、働いていた「モーレツ社員」の方々もいらっしゃるのでしょう。このコピーが「社会的に許されていたこと」事態が、「昔って、ゆるかったんだな」と感じさせます(笑)。おそらく、今なら「ただちに炎上」かもしれません。
  
  ▼
  
 昔は「すごく残業」していた
  
 しかし、一応(?)研究者たるもの、このワンセンテンスで「そうだったんですねー。へーほーはー、ふーん」で終わってはいけません(笑)
 どんな自明と思われることにも「疑問」や「問い」をもつことを「訓練」されているわたしたちは、ここで「残業」と呼ばれているものの「内実」に目を向けなければならないのです(笑・・・そんな真面目にならんでも)。
  
 僕の脳裏によぎった「素朴な疑問」はこうです。
  
「残業をしていた」とはいうけれど、「昔の残業」は、「現在の残業」と「同じ」だったんだろうか。これを「質的に等価なもの」として考えてもよいのだろうか?
  
 この妄想的仮説のもと、ヒアリングを積み重ねてみます。
 そうすると、N=5くらいなので一般化はまったくできないですが(!)、興味深いことが見えてきます。
  
「昔の残業」として語られているものの、「現在の残業」では決して見られない「光景」がでてくる場合があるのです。もう一度申し上げますが、N=5です(笑)。
  
 午後5時を過ぎると、職場の角にある冷蔵庫から、ビールをだしてきて、飲みながら仕事をしていたりするひとがいたり・・・。
  
 夕食は、みんなでラーメン屋に食事に出かけ、そのままオフィスにかえって、仕事をしていたり・・・
  
 仕事に疲れたときには、就業時間内であっても、職場の一角にもうけられたソファーで一眠りしていたり・・・
  
 接待で数件のお店をはしごをしたあとで、会社に戻ってきて、みんなで仕事をしていたり・・・
  
 職場の一角には、就業時間後、テレビがつけられていて、野球中継をみんなで見ていたり・・・
  
 たいてい、そこにいるのは「男性」です。アンチ・ダイバーシティの極地の「村社会」で、時間感覚は「グダグダ」です。いや、「グタグタ」ではない。その村の時間感覚は「グッダグッダ」。そして、こうした残業では「みんなで、ワイワイ」している(笑)。
 くどいようですが、N=5です。だから、一般化はまったくできません。でも、なんだか、楽しそうな人もいる。
  
 これに対して、「現在の残業」のイメージには、「ビール」も「みんなでラーメン屋」も「職場のソファー」も「野球中継」も出てきません。
  
「現在の残業」は、本当に忙しく、パソコンを「パタパタ」している。消灯された暗いオフィスで、ひとりで机に座り、仕事をしているイメージです。
 そこからは「みんなでワイワイ」ではなく「シーンとした部屋で孤独に仕事をするイメージ」が浮かび上がってきます。
  
 要するに、申し上げたいことは端的です。
  
1.「昔の残業」と「現在の残業」のイメージや内実は相当異なっているのかもしれない
  
2.「昔の残業」は「仕事もしていた」のだけれども「みんなで生活すること」に近かったのではないか
  
 ということですね。
   
 ワンセンテンスで申し上げると、
  
 昔の残業では「仕事」と「生活」が半々であったのではないか?
 昔の残業では「仕事」と「非仕事」が渾然一体としていたのではないか?
    
 ということなのかなも思います。もちろん、業種や業態によって千差万別、差はありましょうけれど。
  
 ちなみに、、わたしたちは、ここで「ノスタルジー」にひたり、残業や長時間労働を称揚したいわけでは1ミリもございません。長時間労働の是正は、人手不足時代にあって、多様な働き方をのぞむ多くの人々の仕事参加、社会参加を流すためには、必要なことであると考えています。
  
 ただ、それにしても、昔と今の違い・・・なんだか興味深いところです。   
 ぜひ、このあたりは、皆さんのご意見をうかがってみたいところです。
  
  ▼
   
 今日は「昔の残業」と「現在の残業」の違いを、あくまで妄想的仮説レベルで述べさせていただきました。「昔の残業」の内実やイメージというのは、まことに興味深いですね。
  
 許されるのなら、
  
「昔の残業」研究所
  
 というのをつくりたいくらいです(!)。
  
 考えてみれば、僕が働き始めた頃の2000年代初頭でも、今よりも、もっともっと仕事場は「牧歌的」であったような気がします。
  
 あなたは、昔、本当に「残業」をしていましたか?
 あなたの昔の残業は「みんなで生活していること」に近くはなかったですか?
   
 そして人生はつづく
  
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