2017.9.29 06:02/ Jun
あなたはの周囲には「ロジック無視のぐだぐだリーダー」がいませんか?
あるいは「パッションゼロの冷えびえリーダー」がいませんか?
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今、仮に「目標に向かって、多くの人々が動いている状態」を、「リーダーシップ」という「現象」だとします。
問題は、このような「状態」をつくりだすために、リーダーは、どのようなメッセージをフォロワーに発するか、ということです。
リーダーは、フォロワーにどのようなコミュニケーションをとりながら、彼らの理解を勝ち取り、行動を促すことができるのでしょうか。
話を、これでもか、これでもか、という風に、非常に単純に考えると、リーダーがリーダーシップ現象を生み出すときのコミュニケーションには、
「論理」で人を動かす=ロゴスで人を動かす
「物語」で人を動かす=パトスで人を動かす
というモードがあるのかな、と思います。
もちろん、脳裏に浮かんでいるのは、かつてジェロム・ブルーナーが説いた認識論です。
ジェロム・ブルーナは、人間の認識には、「論理-科学的様式(Paradigmatic Mode:パラディグマティックモード)」と「物語様式(Narrative Mode:ナラティヴモード)」という二つの思考様式があるんぢゃなかろうか、と指摘しました。
「論理-科学的様式」とは、普遍的な真理性と論理的一貫性をもとめ、簡潔な分析・理路整然とした仮説を導く思考様式ですね。こちらによるリーダーシップということになりますと、「キッチリ、カチッと言って、ロゴスで動かす」感じがしますね。
一方、「物語様式」とは、「もっともらしさ(迫真性)」をもとめ、人間の意図や行為、人間の体験する苦境やドラマを含む出来事の変転を取り扱う思考形式のことです。これを用いて人を動かすというと、パッションやエモーションを駆使して、パトスで人を動かす、ということになります。
ブルーナーは、人間が「わかったり」「腑に落ちる」するときには、これら2つの思考形式が相互補完的に補うことが重要であることを指摘しました。あえて戯画的に二極にわけて論じられてはおりますが、これらは相互補完的なものであるということです。
いずれにしても、人が動くときの、根底にあるのは「動かなければならない理由」が「理解=わかる」ということです。「論理」にせよ、「物語」にせよ、何らかの「理解=わかる」をへて、人はようやく重い腰をあげるのかな、と思います。
ややこしい話になるので、これ以上は、申し上げませんが、リーダーシップ論と学習論は、こうした点で「接続」が可能です。僕の目には、同じ事をいっているように思うよ。
閑話休題
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今日は、リーダーが人を動かすときのコミュニケーションのモードについて、あえて2つに大別して書きました。
リーダーシップ教育の中では、「論理思考」が重視されています。
僕も企業などで、それにかかわることがありますが、こんなことを申し上げて、心の底から申し訳ないのだけれども、論理思考ができる人というのは、本当に限られているな、と思います。教育機関につとめる人間のひとりとして、責任を感じてしまいます。
また、こんなこともいえます。
「論理思考できないメンバー」がたくさんいる組織というのは、たいがい、「リーダーも論理思考が苦手である」ということです。
うちは、若手だけロジカルなんですよね!
とか
うちは、リーダークラスだけ、ロジカルなんですよね!
という組織は、あまり耳に目にもしたことがありません。
論理思考とは、いわゆる「文化」のようなものです。
上長から「良質の問い」や「フィードバック」をうけて、メンバーは「ロジカルに考えること」を学びます。そうして、メンバーが成長して、次世代のリーダーになり、今度は次世代のメンバーを「ロジカル」にしていくのです。
さて一方、後者のナラティブの方はどうでしょうか。
あまり事例は多くはありませんが、企業によっては、パブリックスピーキングやスピーチ、場合によっては演劇なども取り入れられることもあります。
前者はパラディグマティックモード、後者はナラティブモードを意識したリーダーシップ教育なのかな、と解釈できます。結局、どちらも必要なのでしょう。
あなたはの周囲には「ロジック無視のぐだぐだリーダー」がいませんか?
あるいは「パッションゼロの冷えびえリーダー」がいませんか?
それじゃ、人は動かないかもよ。
だって、いやぢゃない。
自分の上長が「ロジック無視のぐだぐだリーダー」とか「パッションゼロの冷えびえリーダー」だったら・・・。
嗚呼、自戒をこめて
そして人生はつづく
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