2017.6.29 05:29/ Jun
先生、「それオレ詐欺」っていう言葉、知ってますか?
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先だって、新規事業を研究している研究室の田中聡さんが、にこにこしながら、僕に、こんなことを教えてくれました。
「それオレ詐欺? ・・・僕、知らない、何、それ?」
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そういうと、田中さんはこう教えてくれました。
「それオレ詐欺は、新規事業とか、事業創造をしている人で、成功した人は、皆さん、一度は経験することなんですよ。今まで新規事業にすごく批判的だった人が、「事業が成功するやいなや」、手の平をかえしてきたり、マウンティングしてくるんです。
新規事業に対して、さんざんこき下ろして、批判してきたくせに、それが「成功」しそうになったくらいから、態度を急変させるのです。
ひどい場合には、「それは、オレがやったんだ」「それは、おれの部門もいっちょかみしてたんだ」という風に吹聴する。これが、「それオレ詐欺」です」
そういうことか(笑)
面白いですね(笑)
新規事業界隈を研究者の目線で深くフィールドワークしている田中さんだからこそ、収拾できた言葉のように感じました。
素晴らしい!
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それオレ詐欺、それにしても、怖いですね。
でも、めっちゃ、あるあるな気がいたします。
先日、申し上げたように、多くの会社で新規事業と既存事業は「対立関係」にあることが多いものです。
先日のブログでは、それを「既存事業村と新規事業村の死の谷モデル」としてお話ししました。
「お金の無駄遣い」と罵られ、家族からも反対され、それでも新規事業をつくる人の大研究!:新刊「事業をつくる人の大研究」を編んでいます
https://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7808
でも、先日になかった、もうひとつの視点があったんだね。それが田中聡さんが教えてくれた「それオレ詐欺」です。
既存事業村の勘のいいしたたかな管理者、権力者は、単に「対立」しているんじゃなくて、新規事業村を常に「監視」しているんでしょうね。
低地、沼地にある新規事業村を常に「ドローン」か何かを飛ばして監視しながら、たまにはちょっかいをかける。場合によっては、成功したときのことも考え、「いっちょかみ」くらいはしている姿勢はとる。
そのうえで、
あっ、この新規事業、成功しそうだな!
あっ、新規事業、成果でたな
と思ったら、「それオレ詐欺」をはたらく。
「それは、オレがやったんだ」
「それは、おれの部門もいっちょかみしてたんだ」
と組織内を吹聴して回ると言うことになるのでしょうね。
たぶん、これ、被害者多いだろうな。
それオレ詐欺、ご注意を!
くわばらくわばら。
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今日は田中聡さんが教えてくれた「それオレ詐欺」のお話を、田中さんにかわりご紹介させていただきました。
現在、田中さんとは「事業をつくる人の大研究」という書籍を編んでいます。
田中聡さんの修士論文、そして、今年電通育英会様のご支援を受けて行った中原研究室の研究の2つのデータをもとに、
1.事業をつくる人とは、どういう人なのか?
2.事業をつくる人は、新規事業をおこすとき、どんな経験をするのか?
3.新規事業をおこす人を、わたしたちは、どのように支援・評価すればいいのか?
を考察する本になっています(電通育英会さまには心より御礼申し上げます)。
こちらの書籍はクロスメディア・パブリッシングさんからの出版で、小早川幸一郎社長、伊賀倫子さん、戸床奈津美さんに編集・構成に入っていただき仕事を進めています。毎回の編集会議が、とても楽しみです。
ともかく!
事業を興している皆様、
「それオレ詐欺」にはご注意を!
新刊「事業をつくる人の大研究」もお楽しみに!
そして人生はつづく
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