2017.6.20 06:02/ Jun
鉄は早いうちに打て!
これは、人材開発の「鉄則中の鉄則」です。
たとえば、新入社員への適応(社会化)においては「本人が組織に入った後」というよりは、勝負は「さらに、それより前」からはじまります。
「組織に入る前」から、組織から内定者への適応の支援を増やしていった方が、効果は高いと一般には言われています。
たとえば、具体的には、内定者教育などが、それにあたるのでしょう。「組織に入る前にどのような働きかけをなされていたかどうか」が、「組織に入ったあとの状態」を規定する要素が大きいのです。
しかし、ここにこそ、人材開発の「悩み」は起きます。
先ほどの新入社員の場合でいえば、さらに「無限遡及」が始まるのです。「効果性」を求めると、「組織に入る前」の「前」をさらにさかのぼってしまう。
すなわち、「組織に入る前に、どの程度、本人が社会化されうるか」は、それより「以前」の本人の状態に依存することがわかっているのです。
要するに、内定時期に、自らを社会化したり、社会化されたりする個人は、そもそも、それより以前、就職活動や教育機関において、多種多様な活動にアクティブに従事している人である、ということです。
わたしたちは、そろそろ「問題の片鱗」に気づき始めました。
ここで「問題の片鱗」として掲げられるのは「無限遡及(無限にさかのぼってしまうこと)」です。
つまり、「ある時期における本人の社会化やパフォーマンス」は、「それより以前の本人の状態に依存する」、ということです。そして、それは、早ければはやいほどよい。となると・・・さらなる効果性を求めて、前に前に、働きかけをさかのぼってしまいたくなります。
別の言葉でいいましょう。
冒頭の「鉄ははやいうちに打て!」はまぁわかった。
だけれども、わたしたちは「どれだけ前」まで目配りをしておけばいいのか?
どこまで前に「さかのぼるべき」なのか?
が問題になってくる、ということですね。
場合によっては、人材開発のさらなる効果性を求めて、わたしたちは「無限遡及モード」にはまってしまうということですね。
「組織に入ってからのパフォーマンス」は「大学時代」で決まるよね!
えっ、でもさー
「大学時代の本人の状態」は「高校時代」である程度決まっちゃうんじゃないの?ウェイウェイ!
えっ、ちょっと待ってよ
「高校時代の本人の状況」は、たいてい「中学時代」で、ある程度見えてくるよ! ウェイウェイ!
マ、マジで
「中学時代」なんて「小学校の高学年」くらいで、固まってくるでしょ ウェイウェイ!
いや、ちょっとまってよ
「小学生」じゃなくて、そもそも「家庭教育とか未就学児の時期」で決まってくるんじゃないの?ウェイウェイ!
だからですね・・・意外なことかもしれませんが、企業の人材開発を長く経験なさっている方で、仕事熱心な方の中には、「教育機関での教育」や、「未就学児の教育」に興味をお持ちの方が、少なくないと思われるのです。
もちろん、教育機関での学習や未就学児教育が、企業のために行われているものではないことは承知しています。しかし、「その後の世界」を知ってしまっている人は、どうしても、そこに関心が向いてしまうのです。
「もっと早くに何とかならないものかなぁ」
と遠い目をしながら。
近年「未就学児の教育」に焦点をあてた経済学的議論が注目されていますが、その知見も、こうした「遡及」をおおむね、支持するものだと思います。鉄は早いうちに打て! その方が効果性や投資対効果は大きい、ということかなと思います。
企業の人材開発を長く経験なさっている方は、ため息をつきながら、ふと思うのです。
ふだん研修室で、相手にしているオッサンが、どうにも、こうにも斜にかまえて、自分の行動を変えようとしないのはなぜなのか?
どうして、ここまでくるまえに、もっと早くに誰かの手助けを得られなかったのか? あるいは、自ら学び直すチャンスがなかったのか?
大人の教育などやっていると、鉄は早いうちに打てだよな、と痛感するから
あべし(泣)
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今日は、「人材開発の効果性を求めると、無限遡及モードにはまってしまうよ」というお話を書きました。「無限遡及」とかくと、なんだか批判的な言い方になってしまうような気もしますが、純粋に「それよりも前」が気になって気になって仕方がなくなる、ということです。
人は、この世に生を受けて、日々学び、変化していきます。
その学びや変化が、固定化してしまったり、間違った方向にいかないことを心より願っています。自戒をこめて・・・。
そして人生はつづく
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