2017.5.30 07:15/ Jun
「女性が働くこと」を「役割移行(トランジション)」で長期にとらえる
「女性が働くこと」の問題解決を、「女性個人の資質や努力」だけに求めない
「女性が働くこと」を「職場ぐるみ」でとらえる
・
・
・
先だって、トーマツイノベーション株式会社 × 東大・中原淳研究室の共同研究発表の成果発表会が、都内で開催されました。会場には、おおよそ750名の方々におこしいただき、成果発表からパネルディスカッションまで約3時間をお楽しみいただきました。
僕がかかわらせていただく講演会(イベント)は、
1.聞いて
2.聞いて
3.聞いて
4.帰る
風の運営を「全否定」するところからはじまります(!笑)。
当日は、トーマツイノベーションの社員の皆様のご尽力により、
1.聞いて
2.クイズして
3.考えて
4.対話して
5.持ち帰る
という具合に運営がなされました。
当日はなにせ大人数。この大人数で、こうした運営をするのは本当に骨が折れます。トーマツイノベーションの社員の皆様には、受付からご退場をいただくまで、本当に堅牢なロジスティクスをおつくりいただきました。わたしも、ふだんは「運営する側」におりますので、ご苦労、お気持ちはよくわかるつもりです。
この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
▼
当日は、ともすれば、非常に単調になりがちな研究成果報告を、クイズ形式にして、実際に自社の状況をチェックいただき、持ち帰っていただくことを目的としました。
わたしの方から調査結果のうちめぼしいものを7つ選び、その回答を750名の方々に予測してもらうかたちで、講演を行いました。
・女性の就業継続に影響を与える環境は?
・リーダー期の女性と男性が直面する課題とは何?
・リーダー期の男女は、どのような職場をつくるのか?
・ワーキングマザーが「行き詰まって」しまうのはなぜ?
・ワーキングマザーを支えるために必要な配偶者(パートナ)の行動は?
このように現場でよくある課題を、調査結果をもとにご報告させていただきました。
ひるがえってみれば、今回の研究は2つの調査からなりました。
1つめの調査「キャリア調査」は、男女(2カテゴリー)×「実務担当者時期ーリーダー期ー管理職期(3カテゴリー)の計6カテゴリーにわけた調査母集団をつくり、これらのカテゴリー間の比較を行いながら「女性のキャリア」の問題を多角的に明らかにすることを目的としたものです。
もうひとつめの調査は「ワーキングマザー調査」。
こちらでは、ワーキングマザーの方々と、そのステークホルダーの方々(ワーキングマザーの管理職、ワーキングマザーのいる職場メンバー、配偶者パートナー)の4つに同様の質問項目に答えてもらい、ワーキングマザーの方々の働く問題を「職場ぐるみ」でとらえることにいたしました。女性の働く問題のうち、最も大きな問題のひとつ「M字カーブ」問題は、職場ぐるみの組織開発が必要であることを示唆することをめざしました。
「女性が働くこと」を「役割移行(トランジション)」で長期にとらえる
「女性が働くこと」の問題解決を、「女性個人の資質や努力」だけに求めない
「女性が働くこと」を「職場ぐるみ」でとらえる
は、本調査を行ううえで、わたしたちが心に決めていた信念です。2つの調査は、こちらを地でいくものとなりました。
なお、当日発表させていただいた内容、調査結果の概要などは下記をどうかご覧ください。
7,402名対象大規模調査の結果と「トランジションマップ」を発表しました!
https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/event/detail/article05.html
ワーキングマザーの足を引っ張る上司の行動とは?
http://news.mynavi.jp/news/2017/05/26/320/
今回の調査では、調査結果をまとめて「A2の大紙面」にマッピングした「トランジションマップ」というものをつくりましたが、こちらは皆様へのお土産となりました(まだ残ってる?)。
▼
今回の試みはこれで終わりません。
調査結果は、ダイヤモンド社より書籍化が決まっています。こちらは敏腕編集者の藤田悠さんらとのお仕事になる予定です。どうぞお楽しみに!
また、イベントとしては6月に大阪、来年2018年2月にはもう一度東京での開催が決まっております。
大阪は下記のように募集が行われているようですので、もしご興味があうようでしたら、ぜひぜひ、お越しくださいませ。
人材育成イノベーションフィーラム@大阪(6月14日13時30分ー)
https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/forum/
また「女性の働くを科学する」プロジェクトは、専用特設サイトをもっております。
こちらもぜひ、今後ともアクセスをお願いいたします。調査データに関する様々な情報をこちらでも公開していく予定だそうです。
女性の働くを科学する
https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/
最後になりますが、トーマツイノベーション株式会社の研究チームの皆様、眞﨑大輔社長はじめ、川合真美さん、小暮勝也さん、田中敏志さん、池内祥隆さん、伊藤由紀さん、飯田裕介さん、田村亮さん、木下桃子さん、長谷川弘実さんには、本当にお世話になりました。またロジスティクスから、質問紙回収、各種デザインなどをご担当いただいた同社の皆様には、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
中原研は去年まで研究室にいた保田江美さんにご尽力いただきました。お疲れ様&ありがとうございました。
そして人生はつづく
ーーー
新刊「人材開発研究大全」AMAZON予約販売始まりましたが、発売前から重版決定です!ありがとうございます。人材開発研究の最前線を、4部構成・全33章であますところなく所収する国内初のハンドブックです。日本型雇用慣行が崩壊しつつある現在、日本の組織は「能力形成システム」を再構築する必要に迫られています。新人育成・OJTからリーダーシップ開発。民間企業の育成から教師教育・看護教育・医療者の学習まで。どうぞご笑覧くださいませ!
新刊「ひとはもともとアクティブラーナー」(山辺恵理子、木村充、中原淳編、北大路書房)AMAZON予約販売中。高校におけるアクティブラーニングの最新事例(フルカラー!)、今すぐ使えるワークショップ&ワークシートの数々、全国調査事例がぎゅぎゅぎゅと詰まった一冊です。東大 × JCERIの2年間の研究活動の成果!どうぞご笑覧くださいませ!
新刊「育児は仕事の役に立つーワンオペ育児からチーム育児へ」(浜屋祐子、中原淳著 光文社新書)発売中です。AMAZONカテゴリー1位(光文社新書)、経営学カテゴリー2位を記録しました。育児と仕事の良好な関係、ワンオペ育児を乗り越え、チーム育児に転換していくヒントがあふれる書籍です。浜屋祐子さんの修士論文の知見をモティーフにした、育児の科学。どうぞご笑覧くださいませ。
新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、すでに3刷・重版出来です!AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!
年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。
最新の記事
2024.11.9 09:03/ Jun
なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?
2024.10.31 08:30/ Jun
2024.10.23 18:07/ Jun
【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)
2024.10.14 19:54/ Jun