2017.5.26 06:33/ Jun
自組織の組織変革事例を「ケース」にする
ケースメソッド教授法を用いて「次世代のリーダーシップ開発」を行う
今年から、中原研究室まわりでは、このチャレンジングな課題に果敢にとりくむ研究をはじめています。
昨日は、ケースメソッド教授法の専門家として、星野裕志先生(九州大学)をお招きして、みなで研究会を開催いたしました。
第三回目になる研究会では、自分でケースライティングした事例をもとに、実際に60分の授業に取り組み、参加者からフィードバックをもらう、ということにみなで取り組みました。
星野先生におかれましては、お忙しいところ、私たちにご指導たまわり、心より感謝いたします。
本当にありがとうございました。
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昨日は、僕も、生まれてはじめて「本格的なケースメソッド授業」を、参加者の皆さんを「仮想の学習者」とさせていただいたうえで、実践してみました。もちろん、これまでにもミニケースを使った授業は何度も行ってきましたが、自分たちで書いたケースで、本格的なケースリードをする、ということになると、ほぼはじめての経験でした。
ともにケースを書かせてもらった井上佐保子さんとともに、「ある組織変革事例における、ミドルリーダーとトップリーダーの行動」を事例にして、リーダーとは、組織変革時にいかなる行動をしなければならないのか、を学ぶという目的の授業でした。
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取り組んでみた感想ですが・・・僕の授業の自己採点は「60点」だと思いました。
さすがに教授経験は15年以上あるので、「はじめての授業であっても授業として成立しない」ということはありません。しかし、残念ながら僕のケースリードの部分は
「ケースメソッドといいつつも知的興奮に欠ける予定調和の授業」
になってしまいました。
僕の授業は
学習者役の方から意見はでる
しかし
でてきた意見を集約してもっていく方向は、予定調和のものになってしまう
という症候群にかかっているようなものだと思っています。
あべし
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振り返ってみますと、このようなかたちで終わってしまった理由はいくつもあります。
が、最大のものはと問われますと、
「手放すことへの恐怖=授業者から学習者に発言のイニシアチブを手渡すことへの恐怖」
「あそびの少なさ=学習者が試行錯誤できる幅」
であったような気がします。
通常、授業には、下記の図のように「はじまり(Start)」と「おわり:到達点(Goal)」というものがございます。
もっとも左にある模式図(1)は、STARTからGOALまでが「まっすぐな直線」で「あそびがゼロ」です。これがいわゆる「一斉授業」です。授業者が学習者に「ゆだねる部分」はまったくなく、授業のなかで学習者が試行錯誤する部分はまったくありません。
一斉授業とは「手放さない授業」であり「試行錯誤のない」授業です。
だから「楽」です。
突発的な対応はないし、途中で授業を組み立てる努力もしなくてもOKです。
しかし、この図の右側に(1から4)になればなるほど、「START」と「GOAL」までの線が「直線」から「曲線」になっていきます。学習者が「紆余曲折する幅」は広くなっていきます。
しかし、2の図は、ほんの少しだけ「右」と「左」に揺れるあそびがありますが、しかしながら、どちらかというと1の形式に近い授業です。
これが「ケーススタディといいつつも、予定調和の授業」の正体です。まー、ここまでとはいいませんが、これに近いような授業を僕のパートでは、してしまいました。
「ケーススタディといいつつも、完全予定調和の授業」をするくらいなら、いっそ「一斉授業」をした方が早いのですが・・・。
ひでぶ(泣)。
願わくば、3や4。
つまりゴールには到達するのだけれども、学習者が授業のなかで試行錯誤する幅が多いケースリードをしたいものです。
場合によっては5。すなわち、ゴールが明確には決まってなかったり、授業のなかでゴールをみなで見いだしていくようなスタイルで授業をしたいのですが、これがなかなか難しいです。
到達しなければならない「ゴールに導きつつ」も、授業のなかでの発言のイニシアチブを「手放し」、学習者に「思考のあそび」をもたせるということを同時にしなくてはならないので、かなりの過負荷です。
下手をうてば、議論があっちゃこっちゃいって、収拾がつかなくなる
やらかしてしまえば、ゴールに学習者を導くことができなくなる
そういう恐怖と戦いながらも「学習者にイニシアチブを手放す」のは、勇気のいることでした。今回は60分の授業だけ、10分くらいはそれがかないましたが・・・あとは・・・どうも。
あとは修行かもしれません。
授業とは「場数」です。
恩師のご尽力に報いるためにも、精進いたします。
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研究会は本日で終わります。
今回の研究会で、星野先生はじめ、参加者の皆様からいただいた機会をいかし、さらに魅力的なプロジェクトを進められるよう、努力したいと思います。
そして人生はつづく
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