2017.5.22 06:42/ Jun
リーダーシップは「細部」に宿る
些末なことなのかもしれませんが、最近、そんなことを感じます。
授業や研修などで、数々のグループワークを観察しておりますと、たまに感じ入るものがあるのです。
そのひとつに「リーダーシップは細部に宿る」というものがございます。
チームメンバーのなかの「些細な会話」「何気ないやりとり」の中に、そのチームにリーダーシップという社会現象が生まれるかどうかが、宿っているような気がするのです。
たとえば、リーダー格とおぼしきメンバーが、グループでの話し合いの最中に、メンバーに下記のような投げかけをしていたとします。
(A)わたしは、ほにゃららのように思うけれど、そう思わない?
(B)わたしは、ほにゃららのうように思うけれど、どう思う?
(A)のセンテンスとBのセンテンスの差は、一番最後の語尾だけです。しかし、この語尾の違いが大きな「意味の違いを生み出します。
(A)の語尾は「そう思わない?」ですので、「メンバーに意見をもとめているようで、実は、同意を求めて」います。一方、(B)の語尾は、「どう思う?」ですので、自分の意見を表明したあとで、他のメンバーの意見を求めています。
そう思わない?
どう思う?
この「差」だけです。たったこれだけ。
しかし、この「細部:ディテール」が大きな差を生みます。
こうしたセンテンスがグループワークで繰り返しなされるとき、前者の(A)の方には、(B)と比べて「意見を言い出しにくい雰囲気」が生まれるのです。
いったん「意見を言い出しにくい雰囲気」が生まれたら、どうなるでしょう。
(A)のリーダーは、「意見がでない」ので、さらに話を続けます。つまり(A)を繰り返し繰り返し述べることになるのです。あとの結果は火を見るより明らかですね。
意見が出ないから、押しつける。
押しつけるから、意見がでない。
さらに意見がでないから、押しつける
押しつけるから、まったく意見がでない。
この論理的帰結は、「リーダーが、メンバーを能力が低いもの」と見なして「見切る」か。
あるいは、メンバーから「一揆」が起きるかのどちらかです。
最も皮肉なのは、「たったこれだけのこと」なのに、(A)のリーダーは、なぜこのようなデフレスパイラル的現象が生まれるかに気づかないことです。たぶんスパイシーに指摘されるか、あるいは「一揆」が起きるまで、気づかない。
だから必要なのです。
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今日は「リーダーシップは細部に宿る」というお話をいたしました。本当に些末なことです。しかし、この世は「些末なこと」が、本質だったりすることもあるから注意が必要です。
そして人生はつづく
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