2017.5.8 06:45/ Jun
4月29日、ヤフー株式会社で「組織開発ワンディ集中講義」が開催されました(OD Network Japan、経営学習研究所主催 / ヤフー株式会社、株式会社ダイヤモンド社協賛)。
講義では、研究者から中原と中村和彦先生、ビジネスサイドからは、ヤフー株式会社の池田潤さん、小向洋誌さん、ベーリンガーインゲルハイムジャパン株式会社 泰道明夫さんが講演を行いました(皆様、ありがとうございました)。
たった「1日」という限られた時間のなかで、
・組織開発が要するに何か?
・組織開発の100年の歴史
・組織開発の底流に流れる哲学や思想
・組織開発の事例
を講義させていただくことをめざしました。
当日は300人のお客様におこしいただき、非常に熱心に聴講をいただきました。
連休の初日に、心より感謝いたします。ありがとうございました。
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4月29日から10日弱の時間がたち、冷静な頭であの日のことを振り返ってみますと、僕個人、自分としては、「まだまだやれた」という思いが、どうしても、先に立ちます。点数としては「60点」・・・つたない講演を、本当にみなさま、す、す、すみません。
精一杯の努力はしたつもりですが、
・内容を詰め込みすぎた(100年の歴史といっても膨大でした)
・よって解説が早くなった(2回目ということで、はしょってしまった)
・聴衆の皆さんの注意をホールドできなかった(左右になるべく動くようにはしましたが・・・)
などの改善点があるように思います。
反面、この三年間ひとりで暇なときにシコシコと進めてきた「組織開発と人材開発の接点に関する理論的レビュー」は、ようやく、このアウトプットをもって、完成することができました。
今回の件をもって、僕は自分の性格がよーくわかりました。
僕は「アウトプットがなければ、学べない人である」ということです(笑)。
つまり、アウトプットが決まっていて、そこに向けて、徹底的にインプットをする性格なんだな
と思いました。
今年1月、4月に連続した講演会をもって、ようやく、このインプットに見切りをつけることができました。こちらに関しては、やりきった感があります。
ちなみに、組織開発ラボラトリーなどで、様々なご指導をいただきました中村和彦先生(組織開発のわたしの師匠です:勝手に私淑しています)には、心より感謝いたします。ありがとうございました。
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講演会の最後にも少しお話ししましたが、本講演をもって、僕がお伝えしたかったことは以下の5つです。
1.組織開発と人材開発はルーツは「同じ」であり、実務現場では「ちゃんぽん」になる
・どこからがODで、どこからがHRDを問うこと自体がナンセンスである
2.組織開発をする側、人材開発をする側の「質向上」がもっとも重要である
・量的拡大により質的低下をもたらせば、そこに悲劇が生まれることは
わたしたちが歴史から最も学ばなければならないことである
・そして、今現在(2017年)はもっともリスクの高い「量的拡大期」である
3.組織開発は常に「時代の変化」に翻弄されてきた
・時代に対して「感受性」があったと見ることができる
・組織開発という「風呂敷的ラヴェル」「アンブレラワード」は
今日も拡大解釈されつづける
・おそらく組織開発に対する商機と実務界のニーズの高まりは
組織開発の「風呂敷」をさらに広げ、結果として、組織開発が何かを
わかりにくくするだろう=だから、そのようなとき、わたしたちは
組織開発の哲学的ルーツに戻る必要がある
4.組織開発はもともと「ジレンマ」だらけ
・組織開発は「人間主義」と「制度・システム主義」の間を常に揺れ続ける
・組織開発は「関係」と「タスク」の間を常に揺れ続ける
・実践家は、実践の前にジレンマに相対する覚悟を持たなくてはならない
5.組織開発はいつだって「フルボッコ」である
・「のどかなOD」は存在しない=人の見たくない現実を「見える化」するから
・「組織開発はいつも修羅場である」
・組織開発は時代に応じて、様々なものを飲み込みつつ、
境界を失ってては、アカデミアからフルボッコにされてきた
きっとこれからもそうだろう。だから自分たちの中に、しっかりとした
思想的基盤や知識体系を持たなくてはならない。
つたない講演でしたので、どこまでお伝えできたかどうかは不明ですが、僕が申し上げたかったことは、このような感じでした。要するにワンセンテンスでいうならば、
組織開発をするのなら「腹をくくれ」、「学び続ける覚悟」や「ジレンマと相対する覚悟」を決める必要がある
ということになりますね(笑)。
皆様は、この講演からどんな気づきや洞察を得られましたでしょうか。また感想をお聞かせ願えますと幸いです。
最後になりますが、特に、今回事務局の取り仕切りをお引き受けいただきましたODNJの内田桃人さんには心より感謝をいたします。内田さんとヤフー池田さん、小向さん、そのほか当日お手伝いいただいたヤフー社の皆様のご尽力がなければ、この日の会合は開催が不可能でした。
本当にありがとうございました!
なお、当日の様子は、ダイヤモンド社様より書籍化が目指されます。こちらは編集者間杉さん、井上佐保子さん、中村和彦先生とのお仕事になりそうです。もしお越しいただけなかった方も、ぜひ、お楽しみいただければ幸いです。
そして人生はつづく
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