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2017.4.20 07:15/ Jun

内定者の「バラ色の期待」を打ち砕く?:人手不足・超売り手市場の採用現場で求められているものは何か?

 内定後に「バラ色の期待=組織への過剰な期待」を打ち砕く
  
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 昨日のゼミでは、高崎美佐さん(D3)が「現実的職務予告(Realistic Job Preview)」に関する英語文献購読をしてくださいました。
  
Morse, B. J and Popovich, M. P.(2009) Realistic recruitment practices in organizations: The potential benefits of generalized expectancy calibration.Human Resource Management Review 19 (2009) 1–8
  
 現実的職務予告(Realistic Job Preview : RJP)とは、
  
1.新規参入者が、「組織」や「仕事」に対してもっている「バラ色の期待」を
  
2.組織参入前「リアルな情報提供」を行うことで、事前に打ち砕いておいて
   
3.「バラ色の期待」と「現実」のギャップを大幅に補正し、
  
4.離職を防止する
  
 という社会化の方法です。
 こう書いちゃうと、なんか「夢がない手法?」のようにも思えますが、1970年代、大量の離職者を出してしまうような職場で発達した手法です。過去40年間くらいの研究の蓄積があります。
    
 この論文では、現実的職務予告と、そのマイルド版?である期待低下施策(Expectation Lowing Procedure : ELP)の最新の研究をレビューしながら、RJPやELPの機序ーすなわちRJPやELPを行うと、なぜ離職が防止されるか、そのメカニズムを論じておりました。
  
 なかなか興味深い論文で、大変勉強になりました。
 高崎さん、お疲れ様でした!
  
 ▼
  
 内定者の「バラ色の期待」を打ち砕く!
  
 RJPやELPの現状について「なるほどな」と思いつつも、一方で、僕は、RJPやELPといったものが、「ふだん僕が見聞きしている日本の採用の世界」と、かけ離れているような気がしてなりませんでした
   
 別に学問の世界が(しかも主にアメリカで発達した研究)、必ずしも、現実に完全同期する必要はないのですが、今の日本に必要なものは、この「パラダイム上」ではないような気がしたのです。
  
 少子・高齢化
 人手不足
 求職者による超売り手市場
   
 現在、我が国を襲っている、こうした採用の現状から考えると、
 
 離職防止を考えて、事前に組織のネガティブ情報を提示するといったことがどの程度、実践されるのか?
 どの程度、現場の人に「ピン」とくるのか?
  
 をついつい考えてしまったのです。
  
  ▼
  
 よく知られているように、RJPやELPで「ネガティブ情報」を提示すると「セルフセレクション:Self selection」が起こると言われています。
 これは、要するに、「自分で、その組織に入る以外の選択肢を探してしまう」ということであり、最悪の場合、「応募辞退」につながります。
  
 しかし、とはいえ、組織のことについて「いいことばかり」をいって、「バラ色の期待」ばかり持たせていても、それこそ現実とのギャップが生まれ「離職」につながります。「もうにっちもさっちもどうにもブルドッグ?(死語)」という感じです。
   
 そのあたりの「頃合い」をどう考えればいいのか?
 どこに「落としどころ」を見いだせばいいのか?
  
 なかなか悩ましい課題です。
  
 個人的にひとつ思っているのは、
   
 この世界では、組織の「ポジティブ情報」「ネガティブ情報」という風に、情報を二つにわけて、その善し悪し、順番などを論じる傾向にありますが、そのパラダイムが本当にいいのだろうか、とついつい思います。
  
 皆さんはどう思われますか?
 今、どのようなかたちで情報提供を行うことが、採用の現場で行われているのでしょうか?
 またご教示くださいませ。
   
  ▼
    
 今日は、採用競争きわまるコンテキストにおいて実践されるべき、現実的職務予告について書きました。
  
 あなたは、今の組織にはいるとき、どんな情報を求めていましたか?
 あなたは「バラ色の期待」を抱いていましたか?
  
 そして人生はつづく
   
 ーーー
   
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