2017.4.13 06:42/ Jun
2日前、僕は、このブログで「組織開発をする人が守らなければならない倫理とは何か?」という記事を書かせていただきました。
組織開発をする人が守らなければならない倫理とは何か?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7552
この話題に対して、かつてからお世話になっている南山大学の土屋耕治先生から情報提供をいただきましたので、この場でも紹介させていただきます。貴重な情報に心より感謝いたします。
土屋先生は、この話題に対してODNJ2015年次大会で「組織開発 (OD) の倫理: 現状の理解と今後の展開へ向けて」と題したご発表をなさったとのことでした。
「組織開発 (OD) の倫理: 現状の理解と今後の展開へ向けて」
https://kojitsuchiya.wordpress.com/2015/08/21/20150823odethicstsuchiya/
土屋先生は、本発表において、まず職業倫理とは何か、周辺領域(臨床心理学)における倫理を整理した上で、組織開発の実践者が持たなければならない倫理を、下記のようにまとめます。
これまでの僕の理解では「価値観」と「倫理」をあまり区別せずに使っていたので、とても勉強になりました。
個人的に印象深かったのは、先生が、発表中でご紹介なさっていた「倫理的ジレンマ」というモデルです。
White, L. P., & Wooten, K. C. (1983). Ethical dilemmas in various stages of organizational development. Academy of Management Review, 8(4), 690-697.
これは、組織開発の担当者がどんなに高邁な価値観や倫理をもっていたとしても、彼 / 彼女が「変革者」としての役割を担う場合において、また、彼 / 彼女がクライアントとつきあわなければならない立場によって、倫理的ディレンマが引き起こされる、というものでしょう。
ともすれば、役割の葛藤が起きてしまい、ともすれば、倫理に違った行動や振る舞いをとってしまうということを表現しているのかなと思いました。
なかなか生々しくて、興味深いモデルです。
わたしは倫理学者ではないので、これは個人的な考えですが、
倫理とは「ディレンマ」に相対してはじめて問われるもの
だと僕は思います。
そして
実践家は「ディレンマ」の中で、意思決定を行い、実践することを求められます。
そのようなときなのです。倫理が問われるのは。
この場、この状況で、「心あるあなた」なら、どう振る舞うか?
もともとディレンマ状況にある人にとって、この問いは、厳しいものです。
そして、自らなした実践をときに振り返り、考え続ける場をもつことが、結局、組織開発のみならず、「人に触れる専門家」が、専門家でありつづける限りにおいて背負わなければならない「十字架」のようなものなのかな、と思います。
ともかく、土屋耕治先生に心より感謝をいたします。貴重な情報をありがとうございました。
そして人生はつづく
ーーー
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