2017.3.28 07:10/ Jun
「越境学習」(えっきょう・がくしゅう)という言葉があります。
越境学習には、さまざまな定義がございますが、「自分の慣れ親しんだ文脈・状況から離れて、ほかの文脈において為される学習」という点で「家族的類似性」を見いだすことができるのかな(!?)と考えています。この用語に厳密性を求めることは、僕にとっては、あまり生産的な態度と思えませんので、このくらいにしておきます。
より具体的なシーンとしては、
1.あるビジネスパーソンが、いつもの会社・職場を離れて
2.組織の「外」で、業務に関連するものを学び、内省し
3.組織のなかに、学んだ知見を持ち帰るような学習のスタイル
を思い浮かべていただければと思います。
もっともっとベタベタにいうと、「社外の勉強会への参加」もそれに入ると思いますし、最近流行気味の「異業種研修」なども、これに入るのかなと思います。
会社がお膳立てしなくても「自腹で学ぶこと」は、だんだんとですが広がっているような気もいたします(・・・とはいえ、これは、まだまだかな。)
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越境学習は、2000年代の中盤から徐々に注目されました。もう、今となっては、別に「越境学習」という言葉を、今さら用いなくてもよいようなワードになってしまった感じがいたします。まことに、めでたいことです。
その背景には、競争環境や市場環境が激化して、組織の境界というものが次第に「曖昧」になっていっていること。離転職などが次第に一般的になり、多様な働き方を積み重ねて、自分のキャリアを自分できりひらく意識が高まっていること、などがあるように思います。
専門的には、著書「経営学習論」でそのあたりのことは、少しだけ論じさせていただきましたので、興味のある方は、どうかそちらをご参照ください。
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ところで、越境学習ですが、最近、
1.出かけていく場所などが「エスカレート」している
2.学習目的が「曖昧」である
ようなケースが、まま見受けられることが気になりました。
たとえば、典型的なのは、「越境して出かけていく場所」が
中南米の山奥で、電気・水道のない地域
で、そこで何を学ぶの?ということになると、
タフなマインド
チャレンジ精神
くらいしか言えないケースです。
これは「喩え」として申し上げているので、あしからずご了承ください。
こうした状況を、いくつか見るにつけ、端的に申し上げますと・・・
「タフなマインド」とか「チャレンジ精神」なら、別に、そこまでせんでも・・・
と思います。
また、越境学習で、みなが、外に外に出かけて行き始めると、だんだんとそれが「エスカレート」してきて、「聞くからに凄そうな場所」「見るからにヤヴァそうな場所」に、だんだんなってきているようにも思えます。
「外に飛び出し始めると、聞くからにヤバそうな場所にいかないと、越境した気がしない」とか「人々の注目を集めるためには、このくらいしないと、注目されない」という状況も、背後にはあるのかしれません。
こうした状況を、僕は
「越境学習のエスカレート化」
「越境学習目的の曖昧化」
と呼んでおります。
「越境学習のエスカレート化」が進む一方で、「目的が曖昧化」していく
というのは、興味深い現象のように思えるのですが、いかがでしょうか。これは最悪のケースの場合、「越境学習そのものへの疑義」「実践の継続性の難しさ」につながってしまうような気もいたします。
考えてみれば、「自分が慣れ親しんだ環境・状況を離れること」そこで「内省をふかめ学習すること」ならば、あえて、ふだんの職場を離れる、ことなる部門の人と協働するだけでも、目的は達成されるのかもしれません。
それなりの企業規模がある会社の場合は、
「職場」が違えば「違う会社」
というくらいに、組織文化などが異なりますので。あえて、「その、ゆるっとした目的のために「山奥」までいかんでも・・・そんな時間があったら、仕事なさいな」と思ってしまうのは、僕だけでしょうか(笑)。
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わたしたちは、日々、仕事に追われ、長い時間を職場で過ごしています。長い時間仕事をしてくれば、次第に「目線」が下がり、「視野が狭くなって」くるのは、やむを得ないことなのかもしれません。
自分の慣れ親しんだ環境・状況から、折に触れて内省を深めること、そして学ぶこと
自戒をこめて申し上げますが、そうした時間を、折に触れて、持ちたいものです。
そして人生はつづく
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