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2017.3.24 06:18/ Jun

あなたの上司は「ナルシズムリーダー」それとも「誠実リーダー」ですか?

 研究室OBの関根雅泰さん、舘野泰一さんらが中心になって「リーダーシップの光と闇」研究会(!?)という謎の研究会を東大で開催してくださっています。
   
 この研究会は、
  
 リーダーシップがもたらす「ポジティブな効果」と「ネガティブな効果」の両方
  
 に目を向け、英語文献を選定し、みなで購読を行っているものです。
  
 文献の選定は、中原がいったん選び、そこに研究室の田中聡さんが選定を行ってくださいました。様々な研究会を企画してくださる関根雅泰さん、舘野泰一さん、田中聡さんには心より感謝をいたします。ありがとうございます。この研究会には、学外からもご参加いただき、みなで議論する時間を得ました。ご参加いただいたみなさまもありがとうございます。
  
 僕の方は、年度末ということで、様々なトラブルやら、突発的会合があり、やむなく中座せざるをえないときもあり恐縮なのですが、なんとか、皆さんの議論についていきたいと必死です。
  
 ▼
  
 多様性をいかにマネジメントするのか?
 創造性を生み出すマネジメントとは何か?
 ビジョン形成を行うためにリーダーは何をしたらいいのか?
  
 研究会では、リーダーシップの「明るい側面」にも焦点をあてますが、一方で、リーダーの負の側面にも光をあてています。
  
 たとえば、ある研究では、リーダーとは
  
 ナルシズム:自己愛
 マキャベリズム:権謀術数的
 サイコパス:良心を持たない
  
 のかたまりのような存在として描かれています。
  
 その一方で、リーダーが把持するべき価値観(このことをこの論文ではスピリチュアリティと呼んでおりますが)について、
  
 真摯さ(誠実さ)
 正直さ
 謙遜
 他者に対するリスペクトを示すこと
 公平な実践を志向すること
 ケアと配慮の気持ちを表現すること
 傾聴すること
 他者の貢献を認識すること
 反省的実践に寄与すること
   
 が重要であることを述べるものもあります(こちらは僕が研究報告いたしました)。
   
 ダークマターとポジティブサイド。
 人はなかなか動かぬもので、実際の現場では、どちらも「本当」、どちらも「必要」なのでしょうけれども、「コインの表と裏」を見ているようで、非常に興味深いです。
 特にネガティブな側面はね・・・あまり語られないし、見てはいけないものを見てしまっているようで、いい感じですね。リーダーシップのネガティブサイドに関する研究って、日本では、あまり見ないような気がいたします。
  
 先ほど述べましたように、「人はそう簡単には動きません(泣)」
 実際のところ、リーダーはそうした「テコでも動かぬメンバー」に対して「二面性のある自分」を用いながら(Use of Self)、動かしている、というのが僕の見立てですが、いかがでしょうか?
 そう考えると、リーダーシップは「役割演技」・・・そしてその先には「感情労働」という世界が広がぅ手いるような気もいたします。
  
 ▼
  
 研究会は、次回が第三回目。
 ここまで1回目、2回目の内容は、関根さんがご自身のブログにまとめてくださっております(感謝です!)
  
「リーダーシップの光と闇」研究会(1)@東大
http://learn-well.com/blogsekine/2017/03/post_488.html
  「リーダーシップの光と闇」研究会(2)@東大
http://learn-well.com/blogsekine/2017/03/post_489.html
  
 次回3回目は、ほぼすべてのセッションに僕も参加できそうです。
 次回は特に、リーダーシップの「ネガティブな側面」を扱う会であると思っています。
  
 心より楽しみにしています。
 あなたの上司は「ナルシズムリーダー」それとも「誠実リーダー」ですか?

 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
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