NAKAHARA-LAB.net

2017.2.3 06:52/ Jun

あなたは「育成対象」ですか?それとも「置換対象」ですか?

「育成対象」「置換対象」という言葉を用いることがあります。これは僕の「造語」で、人材開発や人材マネジメントの専門用語ではありません。
  
 育成対象とは「たとえ、今は、成果がでなくても、人材育成をしてもらえる対象者」のことをいいます。
  
 一方、置換対象とは「成果がでなければ、育成をしてもらうというよりは、ただちに置換されてしまう対象者」のことです。
  
 人は、ある組織のなかで、昇進すればするほど、「育成対象」から「置換対象」にかわる傾向がある
  
 というのが、今日お話したい内容です。
  
 もう少し別の言葉でいえば、こうなります。
  
 まだ「ペーペー」のときは、多少の試行錯誤は、会社や上長がおおめに見て、しかも「育成」をしてくれる。
 このとき人は「育成を行う対象者=育成対象」と見なされているから。
  
 しかし、ある階層より上位になってくると、事態は変わります。
  
 ある階層以上になると、ダメなら「ハズされる対象=置換対象」になってしまう。
 なぜなら、もはや、この人は「育成対象」ではなく「置換対象者」だからです。
  
 あー、あいつ、ダメだったか。
 頭もいいし、成果も出してるんだけど、
 誰も、人が、ついてこないからな。
 ハズすしかないな。
  
 とこうなってしまうのです。
  
 一方、本人の方も、このレベルになると、ケツをまくっているところがあるものです。
  
 わたしは、わたしのやりたいようにやる
 だめだったらハズしてもらって、けっこう!
  
  ▼
   
 今日は昇進のお話をしましたが、長い間同じ組織で働いていても、このことはいえることかもしれません。
  
 長い間働いていて、どんなにフィードバックをしても、あまり変化が見られず仕事ができない場合、人は「育成対象」から「置換対象」へと見方が変化していきます。
  
 どのラインをこえれば「育成対象」から「置換対象」になるのか、はその会社・組織ごとに異なる気も致します。寛大な組織と、ただちに対処を迫る組織。「育成」ということへの考え方が、ここにでます。
  
  ・
  ・
  ・
  
 願わくば「育成対象」である時期に、しっかりとフィードバックをうけ、自らを立て直したいものです。
「置換対象」になってからでは、もう遅すぎるから。
  
 あなたは、今、「育成対象」ですか?
 それとも「置換対象」ですか?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
新刊「アルバイトパート採用・育成入門」好評発売中です。これまで「KKD:勘と経験と度胸」に頼っていた、アルバイト・パートの人材育成。ここにデータと理論で切り込みます。異業種・大手7社、総従業員規模50万人以上の企業グループが参加した東大・中原淳研究室とパーソルグループの共同研究の成果。ぜひ手に取ってご覧下さいませ!
   

    
  
新刊「アクティブラーナーを育てる高校」本日発売です。学校運営カテゴリーで1位を記録しました。「アクティブラーニングの教育論」から「アクティブラーニングの組織論」へ。アクティブラーナーを育てるため、組織をいかに構築していくのか。どうぞご笑覧くださいませ。
   

ベストセラー1位

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.11.22 08:33/ Jun

最近、僕は何をやっているのか?そうね、いろいろやってます!?

2024.11.15 15:01/ Jun

【無料カンファレンス・オンライン・参加者募集】AIが「答え」を教えてくれて、デジタルが「当たり前」の時代に、学生に何を教えればいいんだろう?:「AIと教育」の最前線+次期学習教育課程の論点

2024.11.9 09:03/ Jun

なぜ監督は選手に「暴力」をふるうのか?やめられない、止まらない10の理由!?:なぜスポーツの現場から「暴力」がなくならないのか!?

2024.10.31 08:30/ Jun

早いうちに社会にDiveせよ!:学生を「学問の入口」に立たせるためにはどうするか?

2024.10.23 18:07/ Jun

【御礼】拙著「人材開発・組織開発コンサルティング」が日本の人事部「HRアワード2024」書籍部門 優秀賞を受賞しました!(感謝!)