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2017.1.11 06:56/ Jun

「雇用不安としての人工知能」から「能力開発機会としての人工知能」へ

 昨夜は【人工知能といかに愉しく共存するか】というテーマで、研究下位&新年会が開催されました。僕が代表理事をおおせつかっている経営学習研究所の企画イベントで、理事の岡部大介先生、田中潤さんが中心になって企画をしてくださいました。本当にお疲れさまでした。
  
人工知能×人事

 イベントは満員御礼、120名を超える方々がご参加いただき、新年早々、とかく最近話題になる人工知能について学ぶ機会をえました。ご参加いただいたみなさまに心より感謝をいたします。
  
 イベントでは、
  
 1.東京都市大学・大谷紀子先生から「人工知能ってなに?」というお話
 2.イグナイトアイ(株) 吉田崇さんから「採用と人工知能」のお話
 3.(株)ワークスアプリケーションズ 石野 明さんから同社のアプリ開発
 4.アーティスト・ワライナキさんから人工知能による作曲とライブ
   
 のトーク&ライブをいただきました。ご登壇いただいたみなさまには、心より感謝いたします。どのお話、セッションも、素晴らしい内容でした。ありがとうございました。
  

  
 僕は、最後にゆるゆるトークの司会をおおせつかっておりましたので、みなさんのお話を伺いながら、さまざまなことを考えていました。
  
 人工知能に関しては、いまや毎日のようにマスメディアを賑わす定番の話題になっています。
 マスメディアでの語られ方としては、そのクリエィティブさに焦点があたるというよりは、特に「雇用喪失のコンテキストのなかで人工知能」が語られることが多いような気がします。
  
 曰く
  
「人工知能の発展によって、今後、740万人が失業し、新たな雇用が500万人生まれる。差し引き240万人の雇用が喪失する」
  
 みたいなお話です。昨日も、そのようなお話がありました。
   
 このような「雇用喪失としての人工知能」イメージが、人々の恐怖心をあおり、「無駄にこわがる事態」を招いているような気がしています。
   
 しかし、「雇用」にもつながってしまうような「価値のある作業」が代替されてしまうのなら、恐れる必要がありますが、昨日の研究会の知見で知る限り、「特徴抽出」をメインに動いている現在の開発パラダイムでは、そのような事態は、もう少し先であるような印象でした。少なくとも「人事の仕事」においては。
   
 むしろ「特徴抽出」という人工知能が得意な技術をもって、人間が行う作業を「支援する」というあり方の方が、少なくとも現段階では現実的であるような気がします。
 すなわち「雇用喪失としての人工知能」として物事をとらえるのではなく「業務支援としての人工知能」のあり方を模索するということです。
 人事の仕事でいえば、大量にデータをもつ採用や配置などの作業で、その可能性がもっとも高いと思われます(大企業の場合は)。
   
 しかし、同時に、あまり安穏とだけしているわけにはいかないのも、また事実です。
 今から20年の高性能コンピュータの性能の数千倍の性能が、いまやスマホというかたちで、私たちのポケットにおさまっている現実をみると、技術がいかにはやく進化していくかを、わたしたちはよく知っているからです。
  
 そこで、人工知能が投げかけてくれるのは「能力開発の視点から人工知能を見る」という視座です。
  
 つまり、
  
 人工知能が発達する
 で、人間は、何をするんだっけ?
 で、人間は、どんな能力や専門性を伸ばすんだっけ?
  
 という視点で物事を建設的に考えていくことが重要であると、僕は思いました。
    
「雇用不安としての人工知能」
「業務支援としての人工知能」
  
 さらには、その先に
  
「能力開発機会としての人工知能」
  
 という観点から物事を見ていく、ということです。
   
 前者「雇用不安としての人工知能」から、さらに話を前にすすめ、後者「能力開発機会としての人工知能」の方向に、私たちの思考の枠組みや話題を動かしていくことが、非常に大切であると僕は思いました。
   
 そして、そのときに、人材開発部門、部署の仕事は、今よりさらに大きくなると考えます。
 あまたある人事機能のなかで、「人材開発」や「組織開発」という仕事自体も、もっとも人工知能では代替のしにくいハイコンタクトなものですが、その高度な仕事をもって、社内で「人工知能のさらに先をいく能力発達や専門性開発」を行っていく必要があるように思うのです。
  
 皆さんはいかが思われますでしょうか。
   
 ともかく新年早々、非常に考えさせられる場を、みなさま、ありがとうございました。
 このたびも、内田洋行様にも、会場のプロデュースでご一緒させて頂きました。同社の大久保社長、佐藤さん、宇多さんにおかれましては、心より感謝をいたします。
  
 そして人生はつづく

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