2016.12.5 06:56/ Jun
「資格」とは「境界」をつくりだすことです。
「資格をもっている人」と「資格をもっていない人」とのあいだにひかれる「明瞭な境界」・・・それをつくりだすのが「資格」です。
資格は「境界」によって、資格を保持する人の「能力証明」を行い、さらには、そこに「経済的なメリット」を生じさせます。
世の中で機能している資格、すなわち「資格をもっているわたしと、その他の他者との間」に「明瞭な境界」が可視化され、「わたしの能力証明」がなされている資格には、下記のような特徴があることが多いものです。
1.誰に知識を配分するかを決める「入口管理」がある
2.体系的かつ構造化された知識が配分される「学習機会」が提供されている
3.当人に資格を付与するかどうかの「出口管理=試験」がある
これに加えて、願わくば
4.資格を取得後に継続教育が提供される
5.継続教育の成果によっては、資格の継続や剥奪を決めることができる
6.資格の教育内容が改善されるシステム、および、資格保者の人数を制約するシステムが内在している
までくれば、さらに境界は「明瞭」になります。
要するに、
誰もが取得できる資格
何を学んだのか、曖昧な資格
誰にでも与えられる資格
とったらとりっぱなしの資格
は、いくら高額な費用をかけて取得しても、「機能」しない可能性が高い
ということです。
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先日、某駅のあたりを歩いていたら、ふと、下記のような「看板」を目にしました。
誰でも取得できて、高収入確実!
簡単に学べます
あなたも資格ホルダーになりませんか?
こうしたうたい文句を背景にして、大量の資格希望者を集客し、何の入口管理も出口管理もおこなわない機制のことを「資格ビジネス」といいます。
本来、資格とは「資格をもっている人」と「資格をもっていない人」のあいだに「境界」をつくりださなければならないはずなのに、「資格ビジネス」ではそれを行いません。
なぜなら、利潤をあげるためには「資格をもつ人」を無条件に増やしつづける必要があるからです。
よって、
誰でも取得できて、高収入確実!
簡単に学べます
といううたい文句が、表明されることになります。
一般に「資格ビジネス」とは、最初から「矛盾」を孕んでいます。
本来、資格の境界を明瞭にするためには「資格を保持している人」に限定をかけなくてはならないのに、資格ビジネスでは、それをむしろ増やすことをめざします。
「資格を保持する人」に限定をかけてはビジネスにならないからです。だから、誰でも取得できる、とうたい、大量の希望者を集めます。
しかし、その寿命は、そう長いわけではありません。
それがビジネスとして成立するのは、資格を取得した人が「境界のなさ」に気づき、そこに「能力証明」も「経済的なメリット」も付随しないことを知り、それが社会に「記憶」されるまでです。
たいていの場合、こうしたビジネスにひっかかるのは、取得しようとする資格について精査する能力やスキルを持たない人々です。情報戦に敗れる人が、資格ビジネスの餌食になります。
「資格」をとるときには、よく考えなくてはなりません。
学校で教えてくれない知識ですが、僕は大切なことのように思えます。もちろん、資格は「資格をとること」が目的であったり、愉しみであったりするものも存在するので、今日のような話があてはまらない場合もございますが。
あなたが今、かかわろうとしているのは「資格」ですか?
それとも「資格ビジネス」ですか?
そして人生はつづく
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