NAKAHARA-LAB.net

2016.10.11 06:34/ Jun

最近、「お湯のはっていないバスタブ」で、ひとっ風呂、浴びていませんか?:皆さん、最近「インプットの量」は足りていますか?

 研究者にとって、本を読むこと、インプットをすることは、とても大切なことです。
 しかし、忙しくなれば、まっさきに削られてしまうものも、また、読書であり、インプットの時間です。
   
 僕の場合は、読まなければならない大量の論文や本は、夜寝る前か、朝の通勤時間に何とか読んでいきます。
   
 「読んでいく」と申し上げましたが、いわゆる普通に一般に行われている「読書」と、僕の「読み方」は、まったく異なるものかもしれません。
    
 その書籍のなかで、もっとも大切なこと、あるいは、グラフや表などは丁寧に読み込みます。が、パラパラとめくって、この本は読まなくてもよいと思えば、瞬時に「読まない」という選択肢をとります。
   
 これは、いわゆる「職業読み」というやつです。大量の資料に当たらなくてはならない場合には、少なくとも僕の場合は、こうした読み方にならざるをえません。
  
 しかし、そんな読み方をしていても、忙しくなると、なかなか時間が確保できません。インプットの量が確保できないので、家には読まなくてはならない本が積み重なっていきます。
   
  ▼
   
 しかし、研究者といわずとも、知的生産者には、知的インプットが必要です。このことは、以前にも申し上げましたが、その様子は、さしずめ、
    
「栓のないバスタブ」にお湯をためて、風呂を入るようなもの
  
 です。

栓のないバスタブ理論
  
 このメタファは、知的生産者が日々なしている「アウトプット」と「インプット」の関係を、「バスタブへの入水量」と「バスタブからの出水量」という2つの量的関係で、如実に表現しようとします。
   
 今、この「栓のないバスタブ」には、下に大きな穴があいています。ここに「栓」はされていません。これがいわゆる「アウトプット」です。
   
 栓のない下の穴からは、とにかく水がもれます。
 ある人が、社会で発言や行動をなせばなすほど、水がじゃーじゃーと漏れていきます。これが「出水量」です。
   
 知的生産者は、日々、圧倒的な量でアウトプットをなします(卒す医療)。そして、このアウトプットを支えるのが、上からの入水量です。
   
 ここからは、アウトプットよりも多くの入水量を確保するべく、蛇口をひねり、大量のお湯を入れなければならないのです。
  
 要するに、アウトプットをする人は、それにまさるインプットをしなくてはならないのです。
 雑事や忙しさにかまけ、それを怠っていると、いつのまにか、バスタブには、1ミリのお湯もはいっていない、という事態になりかねません。
   
 そんなバスタブで風呂入っていたら、風邪ひくよ(笑)。

  ▼
  
 今日は、週のはじめ、自分を奮い立たせる思いで、知的生産者のなすインプットとアウトプットの関係を書きました。ほとんど「自爆ネタ」です。 
 皆さんもご注意を!
  
 ところで、皆さんのバスタブには「お湯」がありますか?
 アウトプットが多すぎて、ジャジャ漏れになっていませんか?
 最近、インプットが疎かになっていませんか?
 気づかぬうちに、空のバスタブでお風呂にはいっていませんか?
  
 今週も一週間頑張りましょう。
 そして人生はつづく

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