NAKAHARA-LAB.net

2016.10.6 06:46/ Jun

「はしょれない社会」で飛んでくる3つの質問!?

 ちょっと前のことになりますが、東南アジアに海外赴任を経験なさった方が、日本に帰国なさり、研究室を訪問してくださいました。その際、彼がおっしゃっていた一言が、非常に印象的です。
  
 曰く、
  
自分が、いかに言葉を、はしょっていたか、がよくわかりました。面倒くさがりはいけませんねぇ
  
海外で仕事を部下に任せようとすると、たいてい3つの質問が飛んでくるんですよ。
  
なぜ、その仕事をやる必要があるのか?(WHY THIS?)
なぜ、今、やらなくてはならないのか?(WHY NOW?)
なぜ、他のメンバーではなく、私なのか?(WHY ME?)
  
 日本で仕事をしていたときは、こんなことを、改めてしゃべったことはなかった。要するに、日本人同士なら、察しとけ、と、言葉をはしょってしまうのです。でも、海外にいくと、どんなに小さなことでも、いろんな質問がとんでくるのです」
  
   ▼
  
 WHY THIS? : なぜこの仕事なのか?
 WHY NOW?:なぜ今なのか?
 WHY ME?:なぜわたしなのか?
  
 おそらく僕をふくめて、日本で長く仕事をなさっている方は、これを毎回毎回、部下から聞かれるとすると、「おっくう感」が漂うのでしょう。
 しかし、けれども、どうやら、グローバルには(少なくともその国においては)、そういうものみたいです。
  
 まぁ、かつて、別の記事でも書きましたが、考えてみれば、日本人同士でも、仕事を振られるときに、
  
 WHY THIS? : なぜこの仕事なのか?
 WHY NOW?:なぜ今なのか?
 WHY ME?:なぜわたしなのか?
  
 が気になるところは多分にありますね。
   
若い社員に仕事を振ると「なぜですか?」と逆質問される:人はなぜイラッとくるのか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20160902-00061759/
  
 なんで、この仕事やってんだろう?
 なんで、このクソ忙しいのに、今やらなきゃならないんだろう?
 あそこに暇そうな人もいるけど、なんで、わたしなんだろう?
  
 こういうのが気にはなるんだろうけど、上司から言われた事だし、面倒くさいヤツだと思われるのもややこしいので、ま、にのごの言わずやってしまおう、という感じなのかな、と思います。
 おそらく、日本人同士なら、こういう「なぁなぁ」に甘える事ができた。そうだね、日本人は、日本人同士に甘えていたのですね。
  
 しかし海外にでると、そうはなかなか行きませんね。
 そういう文化的前提がありませんので。
  
  ▼
  
 今日はグローバルで仕事をすることについて書きました。
 グローバルで仕事をするとは、語学以前に、さまざまな面倒なものと遭遇することでもあります。
  
 ワンセンテンスでいえば、
  
 グローバル社会とは「はしょれない社会」
  
 なのかもしれません。
  
 グローバル社会とは「甘えがきかない社会」
  
 ともいえる。
  
 ゲーミフィケーションではないですが、面倒なことを1つ1つクリアしながら、それこそ、そこに楽しみを見出すマインドを持ちたいものです。
  
 そんな心の余裕をわたしにください。
 そして人生はつづく

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