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2016.9.20 06:20/ Jun

この展覧会に流れる「ストーリー」は何か?:高橋明也 (著) 「美術館の裏側」(ちくま新書)を読んだ!

 休日など、隙間時間を見つけて、美術館に行くのが好きです。
  
 休日といっても、子どももおりますし、とにかく時間がありませんので、なかなか、ゆっくり、じっくりと作品を向き合うなんてことはできません。滞在時間はよくて1時間以内。
  
 こんな見方は、作家や関係者の方々に、まことに申し訳ない気もしますが、目の前を爆走するF1カーのように、作品の前を通り過ぎながら、見終わります。
   
 短い時間ではありますものの、これは僕の作品鑑賞のやり方からすれば、そんなものかな、という気もいたします。
  
 僕は「作品」をみるときに、それ自体が、綺麗とか、美しいとか、そういうものを、あまり見ていません。
  
 むしろ、「作家の挑戦」を見ています。
  
「作家が生きていた時代において、この作品を通して、作家が、当時、世の中を覆っていた、どのような常識や慣習に立ち向かい、挑戦状をたたきつけたのか?」
  
 ちょっとマニアックな視点かもしれません。
 ともかく・・・こういう視点で、美術館を爆走しています。
  
  ▼
  
 高橋明也 (著) 「美術館の裏側」(ちくま新書)を読みました。
  

  
 著者は東京丸の内の三菱一号館美術館初代館長の方。ながく、本邦で、キュレーションを担当なさってきた方だそうです。本書はいわゆる「バックステージもの」。ふだんは見る事のできない、美術館の裏側をあますところなく論じています。
  
 興味深かったのは、学芸員の方々が、
  
 いかにして展示会をつくるのか?
  
 というプロセスを詳解しているところです。
 世界各国の美術館やコレクターをまわり、作品を収集し、展覧会に「したてあげる」。ふだん、わたしたちが見ている、展覧会は、このようにしてつくられるのか、とまことに興味深く思いました。
   
 著者は、その際、もっとも大事な事は
  
 展覧会のストーリーをつくること
  
 だといいます。
  
 なぜ、この時期に、
 なぜ、極東の日本で、
 なぜ、この作家の、
 なぜ、この作品が必要なのか。
  
 世界中から作品を借りてくるためには、こうした美術館関係者、コレクターを納得させ、共感させるにたるだけの「ストーリー」が必要だといいます。これらの「なぜ」に、どのように答えるのか。なるほど、学芸員さんの仕事というのは、そういう「ストーリー」をつむぐことだったのですね。
  
  ▼

 僕の、隙間時間の美術鑑賞?は、しばらく、まだ続きそうです。いつか、じっくり、ゆっくり美術鑑賞ができればと思うのですが、まぁ、子どもが小さいうちは無理でしょう。
  
 しかし、今度見るときには、この展覧会には、どのような「ストーリー」があったのかも、意識してみてみることにしたいと思います。
 
 今週も頑張りましょう!
 そして人生はつづく

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