2016.9.15 05:58/ Jun
先だって、慶應MCCの僕の授業「ラーニングイノベーション論」に、法政大学・教授の高木晴夫先生にお越し頂き、ビジネススクールで実施される「ケースメソッド教授法」について、「ケースメソッド」を使いながらご教授いただくというセッションをたまわりました。
ラーニングイノベーション論2016(第8期)
https://www.keiomcc.com/program/lin16/
高木先生におかれましては、大変お忙しい中、ご出講いただき、心より感謝しております。
先生がご出演なさった「白熱教室 in JAPAN」をNHKのテレビで拝見して以来、僕は、すっかり先生の授業のファンになってしまいました。この場を借りて感謝いたします。ありがとうございました。
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高木先生の行われた授業の内容は、
ケースメソッドを、いわゆる一斉講義で教える
のではなく
ケースメソッドをケースメソッドの形式で教える
というセッションでした。
先生自身がご経験なさった「ある架空のケース」をもとに、ケースメソッド教授法のあり方を、先生自らがその場で実践し、受講生に体験いただきます。
よく知られているように、ケースメソッドとは、1920年代にハーバード大学ロー・スクールで実践された授業手法であり、「先生からの発問」と「生徒の回答」の反復・連鎖によって、ひとつの事例を検討し、法曹関係者の意志決定プロセスを体感していく授業です。
この手法は、のちにビジネススクールに移植されました。
いまでは、世界中のハーバード型のビジネススクールで実践されている経営教育手法のひとつとなっています。
高木先生の授業では、
どのように学習者を観察するのか?
どのように学習者の話をきくのか?
どのように黒板に意見を要約・リフレ−ズするのか?
どのように問いを発するのか?
について、先生自らが架空のケースメソッドを実践し、わたしたちに体感させてくださいました。
参加者の方々も、非常に熱心に挙手を行い、あっという間に一日のセッションが終了してしまいました。僕自身も大変勉強になるセッションでした。
先生は授業の後半部で、こんなことをおっしゃっていました。
授業のなかでの総発言数のうち、学生の発言数が6割を超えるようならば、ケースメソッドは成功といえる
6割を超える、というのは口にするのは容易ですが、なかなか大変な数字であるように思います。大変印象的な一言のように思えました。
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授業では最後に、いつものように(?)、小生のラップアップ(まとめ)で授業を終えました。
受講生の方々にもっとも僕がご理解いただきたかったことは
「インタラクティブに授業をする」とは「学習者に放置プレイをかますこと」ではない
ということにつきます。
昨今は、アクティブラーニングという言葉が巷間に流布していますが、こちらも同様です。
アクティブラーニングをふくむ授業とは「学習者に放置プレイをかますこと」ではない、と僕は思います。
大切なことは4点かと思います。
まず第一のポイントは、教授者は、学習者をどこに導きたいのか、「目標」をきっちりと意識することです。
そのうえで、大切なのは、場にまかせること、即興すること(ポイント2)。
発言の主導権を学習者に「手放し」て、彼らの発言を促すことではないかと思います
しかし、「発言権を手放して」も、目を離してはいけません。
第三のポイントは、常に、学習者を「観察」し、場合によっては介入を行います。
そのうえで、ケースメソッドの場合には、問いかけることです(ポイント4)。
導きたいゴールにむかって議論がゆるく進むように、しかし、その過程では、学習者が脳がちぎれるほど考え抜いて、そのゴールに到達できるように、問いを設定していくことではないかと思いました。
大切なことは
目標は手放さない
発言権は手放す
目は放さない
です。
よくインタラクティブな授業では、「手放してよいもの」を「手放さず」、「手放してはいけないもの」を間違って「手放してしまう」ので、注意が必要ですね、というお話をさせていただきました。その2つを峻別することの大切さを、わたしたちは高木晴夫先生から学ばせて頂いたような気がしています。
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今日は、ケースメソッド教授法をお話しながら、「インタラクティブに授業をすること」についてお話をさせていただきました。いまや、企業の人材開発、研修の現場も大変インタラクティブなものに変わってきています。しかし、時折、散見してしまうのは、「受講生を放置プレイにしてしまう研修」です。ケースメソッド教授法は、その対極をいくような実践でした。
ラーニングイノベーション論の学生の皆さんは、今回の授業も引き続き大変頑張って下さいました。
授業は残り3回になりますが、ぜひ、最後までハードで愉しい学びを(Hard Fun)!
最後になりますが、高木晴夫先生には心より感謝をいたします。本当にありがとうございました。
そして人生はつづく
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