2006.8.10 17:01/ Jun
昨夜、みんなで研究者人生ゲームをやった。ゲーム終了まで3時間かかってさすがに長いなぁとは思ったけれど、あーだこーだ、ぎゃーぎゃー言いながら、愉しみながらプレイできた。
このゲームはおそらく「若手研究者がキャリアをデザインすること」を支援するために開発されたんだろう、と思う。学生さんたちの反応を見ていると、おおよそ、その目的は達成できているのではないかな、と思った。
単に勝ち負けを競っているわけではなく、同時に、
「僕はどういう研究者になりたいんだろう」
「研究者になったら、どういう現実が待っているんだろう」
楽しみながらも、そんな独り言を言ったり、議論したりしていた。そういう語りのネタという意味では、非常に興味深い教材だと思った。
大学教員は研究者であるのと同時に労働者であり、生活者でもある。そして、人生いろいろ、大学教員いろいろだ。大学教員も、節目の時期には自分のキャリアを見つめ、デザインするべきだと僕は個人的に思う。
こんなことを言うと、
「研究者とは本来○○のような生き方をするべきだ」
「研究者の生き方の本質とは○○なハズだ」
「研究者は自分の生活や社会の流れを顧みず、研究に没頭するべきだ」
という怒りの声も聞こえてきそうだ。
しかし、上記のような規範的言説は好きになれない。もちろん研究者個人が、まさに個人としてそう思っているのは一向にかまわない。が、繰り返しになるが、生き方や働き方は、研究者ひとりひとりが問い続けなければならない問いであるように思う。
—
それにしても、このゲームは「何をするにしても、人脈ポイントが結構大きな役割を果たすようにデザインされている」のが印象的だった。
科学社会学の知見を持ち出すまでもなく、研究者は研究室で「科学を探求する」だけの存在ではない。
たとえ理系の研究者であっても、さまざまなステークホルダーたちから構成されるアクターネットワークの中で、科学を実施し、成果をつくりだしている。その意味で、アクターネットワークをいかに構成しうるかは、研究の成否に強く影響する事項である。
これが開発者側の目的であったかどうかはわからない。もしヒドゥンカリキュラムだったとしたら、よくできたデザインだなぁと思った。
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