2016.1.20 05:44/ Jun
知識データベースには、学びにまつわる「ディレンマ」があります。
ここで知識データベースとは、「他人が経験したこと」「他人がすでにもっている知識」を「体系化」し「蓄積」したネットワーク上の「知識のハコ」とお考えください。
わかりやすくいえば、ワンワードでいえば「ウィキペディア」みたいなものかな(笑)。ちりあえずは、そういうものを想定いただき、下記の記事をお読み頂ければ幸いです。
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さて、「知識データベースのディレンマ」とは、いったい、どのようなものか。
それは、ワンセンテンスで申し上げれば、
知識データベースへのアクセシビリティが増せばますほど、「考えなくなる世界」が広がる
ということであり、
知識データベースに依存してしまい、「学ばない世界」がひろがってしまう
ということです。
知識データベースに格納されている他人の知識や知恵を自由に、かつ、スピーディーに利用できることは、効率性や合理性の観点から「よいこと」なのでしょうけれども、それによって利用者が、自分の頭では「考えなくなる」「学ばなくなってしまう」ということがおこる、ということです。
これは短期的には「メリット」があるのでしょうけれど、中長期には「リスク」であるわけです。だって、「考え」もしないし、学ばないんだから・・・。中長期には市場価値がさがり、変化に対応できなくなってしまいます。
組織と学習の研究分野では、すでに20年も前から、このようなディレンマや危険性について指摘がなされていました。
ま、要するにこういうことがおこるわけです。
「困ったときは、少し時間をかけて、ぐぐればよい。ウィキペディアすればいい」
そして、そこで得られた情報をかえして、その場をやり過ごせばいい、というかたちになってしまうのですね。
「考える」よりは「探す」
「学ぶ」よりは「情報を右から左に流す」
ようになってしまう。
そして、そういうプロセスを長く長く繰り返しているうちに、自分の「頭」で考えること、学ぶことを辞めてしまう。そして「探す」のが得意な人、「情報を右から左に流す」のが得意な人になってしまう・・・。ま、そんなの誰でもできるけどね(笑)
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まぁ、そうはいっても、世の中は高度情報化・スピード化しておりますので、「自分の頭で考える」「自分の頭で学ぶ」というのは、すべての事柄において可能かというと、そうもいえません。
現実には「ググらな、しゃーない」とか「ウィキペディアみないと、しゃーない」こともあります。
しかし、一方で、そこで生まれている「考えない世界」「学ばない世界」には注意した方がいいかもしれません。
せんだって、尊敬するある経営者の方が、こんな一言をおっしゃっていたのが印象的でした。ICレコーダを持っていたわけではないので、一字一句同じというわけではございませんが、こんなご主旨のご発言であったと記憶しています。
「最近、若手の知識量が減っているように思うのです。ネットでの情報に、すぐにアクセスできるので、自分で記憶しようとしない。学ばない。考えてない。すぐに、外部記憶に頼ってしまうのです。
でも、お客様とのディスカッション中に、ウィキペディアをチェックすることはできません。
まさか、お客さんとの商談中に「すみません、ちょっと待ってください。今、ググりますから」とは言えないですよね。
オマエ、何も知らんのかいな、となっちゃうでしょう?そんな人、お客様から、信用されないと思うんです。
少し時間をかければ、誰でも情報が入手できる時代だからこそ、お客さんとのディスカッション中に、ただちに即興的に自分の知識をつかって話ができないとダメなのです」
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あなたのまわりに
「考えない世界」や「学ばない世界」がひたひたと広がっていませんか?
携帯電話が普及すれば、人は電話番号を覚えなくなります。
「考える」よりは「探す」
「学ぶ」よりは「情報を右から左に流す」
になっていませんか?
そして人生はつづく
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