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2015.11.30 07:05/ Jun

「冬の森」から元気をもらう!?

 シャバで、ひーこらひーこら働いて、生気がなくなってきた頃に、森にでかけたくなります。
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 森にでかけるといっても、何か特別なことをするわけではありません。ただ、森を歩くだけです。
 そうすると、なぜかわかりませんが、元気になります。いろんなことを、とりとめもなく、考えながら歩きます。
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 特に近年は「森のようちえん」という「森の中での保育活動」子どもに参加させていただいております。山梨にあるKEEP自然学校で開催されているプログラムで、もう5年くらいになるでしょうか。自然学校のスタッフの皆様には大変お世話になっております。この場を借りて御礼いたします。
 森のようちえんでは、子どもと親を離して、それぞれごとに活動をします。子どもは、ひたすら森で遊ぶ(笑)。
一方、親の方のプログラムには、たいてい「森の散歩」が含まれております。
 僕の場合、たいてい「森の散歩」を選びます。のっしのっしと森を歩きながら、スタッフの方々のインタープリテーション(解説)に耳をかたむけ、森を歩きます。
 今回は、小西貴士さんのインタープリテーションのもと、冬の森を2時間ほど歩き、彼がデザインにかかわったという保育園の見学もさせていただきました。ありがとうございます。
 地域の人々、お父さん、お母さんを巻き込んで、つくったという手作りの保育園。そこには、入口に「人が集まる焚き火」スペースがありました。
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 暖炉のある保育室。
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 木のぬくもりにあふれた保育園でした。
 こちらはあまり詳しくお話をしませんが、興味のある方は、機会をみつけて見学できるとよいですね。こんな保育園が都会にもあったらなと一寸思いましたが、それは違いますね。こうした付加価値こそ、地方にしかできないことなのかもしれません。
 いずれにしても、興味深い保育園です。
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 ところで、冬の森とは「死の世界」です。
 葉っぱや実は、枯れてすべて落ちています。
 木々はところどころ割れ、折れています。
 それらは徹底した「乾燥」にさらされ、ふむと崩れたり、割れたりします。
 シャリッ、バキッ、メリメリ・・・
 冬の森を歩くことは、枯れた葉っぱや木々を、さらに細かくすることに荷担します。
 しかし、同時に、冬の森とは「やがてくる生の世界」でもあります。
 乾燥した実からは、次の世代をつくる「タネ」がおちます。一見、乾燥した木・葉っぱとしか思えないものたちは、すべて、次の世代の養分になっていきます。
 おそらく、森は、僕がうまれるずっと前から、このことを繰り返してきたのでしょう。僕のオヤジの世代、オヤジのオヤジの世代、オヤジのオヤジのオヤジの世代からずっと。
 清里の森には、樹齢350年くらいの木がひとつ残っています。「ぬしの木」といいます。この木を見ていると、いつも不思議な感覚に陥ります。
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 自分の人生がものすごく「ちっぽけ」に見えるのと同時に、だったら「短い人生、心ゆくまでやり切ろう」と思うのです。くよくよしても仕方がない。あと一歩、前に進もうと思うのです。
 どんだけやり切っても、前に進んでも、この「ぬしの木」の数分の1も自分には生きられない。ならば、もう一度、踏み出そうと思うのです。
 冬の森は「死の世界」でも、「やがてくる生の世界」でもありません。冬の森は「人を奮い立たせる森」でもあります。少々、疲れを感じたら、ぜひ冬の森へ!
 今週も頑張りましょう!
 そして人生はつづく
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