2015.6.9 05:59/ Jun
さて、皆さん、朝っぱらから「問題」です。
「1970」年と「現在」を比較して、この40年で、従事する人数が、90倍にふくれあがった仕事とは、何でしょうか?
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90倍というのはものすごい「量的拡大」ですよね。
具体的には、1970年には1112人であった人数が、現在は91064人になっています。
答えは
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そうです「理学療法士」さんです。様々な病気のあとにリハビリなどの支援をしてくださる仕事が「理学療法士」さんですね。ちなみに、先ほどの数字は、理学療法士協会会員数の伸びを表した数字です。理学療法士さんの8割程度が加入しているそうです。
ちなみに、やや悪のりして、もう2つ数字を。
ひとつは理学療法士さんの教育機関数。
理学療法士さんが仕事をする前に、どのような教育機関で養成を受けるかですが、こちらも量的に爆発的増加を果たしましております。1970年には10校の専門学校がその任にあたっていたのが、現在は249校、うちわけは専門学校148校、短期大学6校、四年生大学95校となっているそうです。
もうひとつは、理学療法士さんの仕事場です。
理学療法士さんの所属施設(働いている場所)に関しては、こちらは1970年には1029施設しかなかったのが、現在は91459カ所まで増大しています。
わずか40年前には限定的だった仕事が、ここまで大きくなるのですね。
(理学療法詩士のインフォグラフィックス:http://50th.japanpt.or.jp/trend/)
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なぜ、このような話をさせていただいたかというと、僕が今から「理学療法士になる」とか、「理学療法士さんのお世話になる」とか、そういう意味ではありません。
実は、先だって、東京女子医科大学八千代医療センターの薄直宏先生からのお声がけにより、日本理学療法士協会第50回学術集会で、「組織で人はいかに育つのか?:人材開発研究の最前線」とめいうった講演をさせていただいたのです。
僕は医療については全くの門外漢です。会では、そのことをきちんと断った上で、民間企業、組織における人材開発研究の世界的な動向、人材開発の実践のこの20年の動きを簡単におはなしさせて頂きました。お役に立てたかどうかはわかりませんが、今は「やりきった感」があります。講演をお聞き頂いた皆様、ありがとうございました。
その際、上記の数字を薄先生に教えて頂いたのですが、この3つの種類の数字を聞いた瞬間に、僕には、何となくですが、理学療法士さんの人材開発課題に関する「妄想」が浮かびました。最初に断っておきますが「妄想」であり、「机上の空論」です。
でも「育てなければならない人間の数」、そして、「育てるもの人間の数」というものは、人材開発にとって、もっとも「基礎的なデータ」です。何となくですが、これらの数字だけからでも、人材開発上、どのような課題が生まれうるかについて「妄想」をすることができます。
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まず第一に気になるのは、40年間で増えた90倍に増えた理学療法士さんの数です。
こちらは高齢化などの潜在的なニーズに裏打ちされた増加と考えられますが、やはり急激な増加といわざるをえません。社会科学の常識として、
「量的拡大は質的転換をもたらす」
というものがございます。これだけ増えた、経験の浅い理学療法士さんの熟達化をいかに支えていくのか、課題になると妄想します。
まず教育機関には、これまで理学療法士さんにはならなかった層が、大量に流入してくることになるでしょう。1100人の、いわば職人時代の理学療法カリキュラムが、そうした量的拡大において、どのように変質するかが、興味深いところです。
卒業後は、膨大な人数が、年ごとに医療施設に入ってきているのでしょう。ハイパー高齢化社会のなかで、少しずつ身体の各所が動かなくなる年配の方は、これからも増えていくのでしょう。また、保険医療制度がおりますので、経営にとっては安定的な収益が見込めると妄想します。つまり、量的拡大は、社会的諸条件、経済的条件のもとで、これからも拡大するのではないか、という見たてです。
そうしますと、大量の経験の浅いチームを率いる中間管理職(マネジメント層)が不足するのではないかと妄想します。中間管理職を担う人が若年化するか、あるいは、過剰にプレイングマネジャー化すること、ないしは、負担が増大することが予想されます。もともと職人文化の強い職種だと思いますので、マネジメントになりたくない層も一定以上いらっしゃるはずです。おそらく、数年目で複数人の部下を抱えることも、比較的常態化しやすい環境になるのかなと、妄想します。
また、校種についても量的拡大をしつつ、同時に多様化しています。ひとつの免許制度のもとの管理下にありますので、3種類の学校から学生がきても問題ないという判断もありますが、年限と学んでいる内容や幅には差があることが予想されますので、それらの差を埋めることが求められるのではないか、と妄想します。
また、もっとも気になるのは、理学療法士さん全体の人数と理学療法士さんの所属施設の関係です。先ほどの協会加盟の理学療法士さんの数から、その総人数を多く見積もっても、11万人ー12万人くらいとなります。たいして、施設数は91459カ所ということになります。
ということは、1施設の理学療法士さんの人数が少ないところも少なくないと想像します。こういう場合、熟達を支える支援というのが不足する傾向があります。
以上、妄想タイムでした。
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いずれにしても、このような学びの機会を与えてくださり、東京女子医科大学八千代医療センターの薄直宏先生、そして、ご講演をお聞き頂いた皆様には、心より感謝いたします。
まったくの「にわか仕込み」ではありましたが、一応、理学療法士の仕事に関する論文、書籍は、ざっとだけ読ませて頂きました。世の中はまことに広い。僕の知らない仕事の世界が、まだまだたくさんあります。まだまだ修行が足りません。
最後に・・・僕は、身体にはあまり自信がありません。たぶん、遅かれはやかれ、理学療法士さんのお世話になるときが来るような気がします(笑)。そのときはどうぞお手柔らかに。
そして人生は続く
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