2015.4.23 06:21/ Jun
先だって、ある企業の人事部の方が、数年ぶりに仕事の同僚の方を連れだって研究室にこられました。
来研の目的は、今後導入する某人事制度に関するご相談で、これに関してはひとしきり議論しましたが、今日のブログは、その話題ではありません。今日の話題は「海外赴任」です。
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実は、その方は、最近、アジアのある国の海外赴任からお帰りになったのですが、今、アジアにはものすごい数の日本人が海外赴任なさっているのですね。
その国の日本人学校には、小中あわせて3000人の子ども達が学んでいるのだとか。3000人ってすごいですね。国内で、3000人の学校ってあるんだろうか。
3000人の児童の運動会ともなると、こちらもものすごいことになるそうで、お父さん、お母さん、ご家族みなで出かけますから、会場には1万人近い人がつめかけるのだそうです。
徒競走などは、望遠レンズを使って、「子どもを探す」といった状況が生まれるそうですね。
政治的には様々な課題が多々あるのでしょうけれども、アジアは、国内企業にとって大きな生産拠点でもあり、販売拠点となっていることは、もはや言うまでもないことです。
たとえば、自動車とか、大きな製造業が工場をうつせば、それに1次、2次、3次と下請け企業がついていきますので、そうした日本からの海外赴任の人々が積もり積もれば「1万人の大運動会」となるのでしょう。
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しかし、この話題のなかで印象的だったのは、その方がおっしゃっていた一言です。
曰く、
海外赴任というのはとにかく「揺れる」んです。ローカルと本社のあいだを揺れるんです。
海外赴任者は、ローカルの現地社員らとつきあいながら、本社の意向や顔色をうかがいながら、その調整を行うことが仕事の眼目になってきますが、ともすれば「ローカルと本社のあいだを揺れる」。そして、たいていの場合は「ひとしきり揺れたあとで、本社に肩入れ」してしまう。
その結果、ローカルの人々と、うまくつきあうことができず、聞き取りを行うと、ローカルの人々の不満がかなり出てくる、という結果に陥るのだとか。
立ち位置的に葛藤を抱えるのはやむを得ないにせよ、もう少し組織としてできることはあるのではないだろうか。
「企業は、ある日突然、”行ってこい!”と命令するで、これまで海外赴任・帰任者にあまり何もしてこなかった。そうした姿勢を見直すときかもしれませんね」
といった類のことをおっしゃっていたのが印象的でした。
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海外赴任の難しさに関しては、小論を拙著「経営学習論」の最終章あたりに、かつて書かせて頂いたことがあります。最も僕が言いたかったことは、
海外赴任、そして帰任とは、「一回性のイベント」ではなく、「プロセス」である
そして、
企業は海外赴任内定から帰任に至る「プロセス」を、整備・支援しなければならない
ということです。
今、僕は、ダイヤモンドさんとの新たな共同研究で、
「どのような海外赴任者が、赴任後、新たな組織に適応し、成果を残しているか」
に関する縦断研究を行っており、ただいま分析の真っ最中ですが、この研究の知見から、もう少し詳細に「プロセスの支援のあり方」が明らかになってくるかもしれません。海外赴任前と海外赴任後の2地点での縦断データを用いながら、海外赴任で成果を残すための規定要因を探す研究です(分析遅れていてすみません!)。
グローバル化の進展によって、海外赴任は、今後も増えていくのではないかと思います。「1万人の大運動会」に響く家族の歓声を守っていくためにも、組織からの支援や対策が必要ではないかと思います。
そして人生は続く
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