2014.11.25 06:41/ Jun
先だって、トーマツイノベーション株式会社さんから、1通のニュースリリースが発行されました。トーマツイノベーション株式会社様と中原との共同研究で、 中小企業を対象とした「職場における人材育成の実態を解明する」研究をスタートさせて頂くことになったというお知らせです。こちらは、日本産業新聞にも掲載されたようです。
中小企業の人材育成に関する研究に着手
http://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20141120-2.html
以前にも申し上げましたとおり、これまで人材開発研究の多くは、従業員規模300名ー1000名をこえるような、いわゆる「大企業」を舞台として行われきた経緯があります。
その最大の課題なっていたのは、実務的、かつテクニカリーには、1)調査をお引き受けいただけるリソースが中小企業内に限られていること(工数、人的リソース)、2)調査に値する一定程度大きな母集団を確保できないこと、3)中小企業といっても、非常に多様な組織形態があり、対象を確定するのが困難であること、などがありえます。
しかし、最大の課題は、もしかすると、中小企業においては、あらゆる施策の企画・実行への「社長・経営者への依存度が高いこと」もありえるかもしれません。要するに「そんなの、社長によるよ」とすべての話が終了してしまう、ということですね。だから、調査してもあまり芳しくない結果がでないと考えられてきた。たしかに企業サイズが大きくない中小企業の場合、社長の意向が通りやすいというのは、想像にかたくありません。
しかし、それは本当に本当でしょうか。
たしかに社長の意向は強く働くとは思いますが、社長といっても、創業者から二代目社長、昇進による社長までいろいろいらっしゃいます。また、創業からの成熟度、組織の構造も様々です。
今回、そのような課題をともに乗り越え、共同研究を開始させて頂くことになり、トーマツイノベーション株式会社の皆様には、心より感謝しています。
今回の調査では、中小企業を3つの集団にわけ、さらには調査票自体を社長調査票ー人事・経理系調査票、管理職調査票、若手社員調査票という4つの種類をつくり、それらをかけあわせながら、仮説の検証に向かいたいと思っています。
こうした工夫によって先ほど述べましたような「社長オチ」、すなわち、
「そんなの、社長によるよ」
が本当にそうなのか、どうかについても、検証できるものと思われます。調査では、これまで培ってきた経験をフルに総動員して、分析を行っていきたいと考えております。
このプロジェクトは、同社の、真﨑大輔さん、新谷健司さん、渡辺健太さん、鈴木義之さん、濵野智成さん、小暮勝也さん、伊藤由紀さん、五十嵐慎治さん、長谷川弘実さん、そしてアカデミクスからは、中原と保田江美さんが参加しています。
現在、予備超調査のまっただ中です。おそらく、この間にも現場では、データ収集に骨をおってくださっている方々がいると思われます。心より感謝いたします。
2015年夏頃には、予備調査、本調査ふくめ、すべての調査を終え、一時的成果を公表できるものと思います。今しばらくお待ち下さい。
なお、これまでの研究も当然ながら継続していきます。現在、中原が共同研究者とともにメインで推進し、今、動いているのは、下記です。
1)大学生ー企業のトランジション研究の書籍化
舘野さん(立教大学・研究室のOB)がメインとなって新たな書籍を執筆するべく、研究室有志が頑張っておられます。これまでにない書籍になることでしょう。
2)実務担当者からマネジャーへのトランジションに関する研究
浜屋さん(研究室M2)、関根さん(研究室OB)との共同研究で、来年にデータがあがってくるのを待っている状況です。
3)ポストオフ研究(マネジャーからの退出研究)
田中さん(M2)、保田さん(D2)、辻さん、斎藤さんとの共同研究で、ポストオフ後の適応・再適応をおう研究です。こちら、インタビューを行い、研究のリアリティを高めるべく努力している段階です。
そして人生は続く
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