2014.10.28 08:35/ Jun
先だっての週末、美瑛・課題解決研修が終わりました。
異業種5社のリーダーが集まる研修をいかにデザインするのか!?
http://www.nakahara-lab.net/2014/05/post_2222.html
5社異業種の次世代リーダーの方々が、美瑛を舞台に、美瑛町の地域課題を選び、解決策を美瑛町長に提案する6ヶ月の試み。それは「プロジェクト」でもあり、「リーダーシップ開発の研修」でもありました。
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「プロジェクトとしての美瑛課題解決研修」の最終舞台は、町民150名を集めての街一番のホールで行われた「町長プレゼン」でした。6ヶ月の過程で、ゴリゴリかつキューキューに揉まれ、最後は「ほぼ完徹」状態でつくられたプレゼンは、大枠ではすべて「採用」ということになりました。
しかし一口に「採用」といっても、その「採用のニュアンス」には「部分的採用」から「考え方の採用」まで濃淡があり、そのニュアンスは、会場にいる150名を超える町民には伝わったのではないかと思います。また何よりも、そのことを深くかつ真摯に受け止めて下さったのは、今回プレゼンを行った次世代リーダーの皆さんではないかと思います。
それにしても、驚いたのは、最終プレゼン2週間くらい前からはじまった強烈・猛烈な追い込み力です。「日本のマネジャーはすごい」と心の底から思いました。プレゼンターの中には神が降臨し、「ジョブス」になっている方もいらっしゃいました(笑)。
今後は町内で様々な議論や検討がおこると思いますが、いくつかのアイデアは、おそらく「遠くない将来」に本当に実現されていくのではないかと思います。
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「リーダーシップ開発としての研修」の結末は、最終プレゼンが終わった翌日、プロジェクト最終日を丸々1日つくって実施された「リフレクションセッション」でした。
一般的なアクションラーニングプロジェクトは、提案やプレゼンの出来不出来だけが注目されますが、それと同等くらい大切なのは、その作成プロセスに起こった出来事を振り返り、各人のリーダーシップ開発につなげることであると思います。
こうしたことを踏まえ、このプロジェクトでは、僕がファシリテーションを担当し、各社のフィールドワーカーと連携しながら、最終リフレクションセッションを行うことになりました。
「地域課題解決プロジェクト」という6ヶ月のプロセスを振り返り、その中で、チームではどのような出来事が起こっていたのか。
自分は、そこにどのような貢献ができたのか、できなかったのか。どのような規範や権力が生まれていたのか。
誰がリーダーシップをきり、誰がフォローしていたのか。チームの中に、どのような影響関係が生まれていたのかを振り返り、議論します。
そのあとで、6ヶ月間苦楽をともにしたメンバーから各人に向けて、「ポジティブなフィードバック」と「ネガティブフィードバック」を書いた短冊を交換する、というワークをやりました。本人だけに厳封して、「一歩先行くアドバイスをする」という相互フィードバックの機会です。
ちなみに、「ネガティブフィードバック」は、このプロジェクトの「ノリ」らしく「スパイシーコメント」と命名されました。人は年齢・役職があがるに従って、ピリ辛なコメントを他者からもらう機会は少なくなっていきます。
またスパイシーコメントは、十分グループ内の人間関係が強固になっていなければ交換することはできません。このプロジェクトでは、6ヶ月かけて、それらを行う基盤を築けていたと思います。
各グループのフィールドワーカー(各社人事部の皆様)の方々も、各グループメンバーにハートフルなコメントをおくりました。
各グループに張り付いたフィールドワーカーは、グループで起こっている出来事を常にモニタリングし、見つめていました。フィールドワーカーの皆さんの貢献がなければ、このプロジェクトは、最終地点に到達できなかった、といっても過言ではないのかな、と思います。
リフレクションチームは、チームによっては、ここにきて、そこまで薄々わかっていたことを振り返る機会もでてきたようでした。
個人のリフレクションとして印象深かったひと言としては、
「子どもの頃から他人から指摘されている点を、全員から見事に突かれました。わたしと仕事をする人は、みな感じるんですね。本気で直さなければなりませんね」
といったものがありました。
本当に皆様、6ヶ月間、お疲れさまでした。
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かくして「課題解決プロジェクト2014」は終わりました。
まずはこのプロジェクトに参加して下さった皆様、お誘いいただいた本間さん、池田さんはじめ、コラボさせていただいた各社人事部の皆様、そして美瑛町の皆様に心より感謝いたします。ありがとうございました。特に参加者としてご参加いただいた皆様、本当にお疲れさまでした。皆さんがお持ちになった案に、スパイシーどころじゃないツッコミばかりしていて、本当に恐縮です。本当の僕は?、もっとマイルドなのですが???。
地方課題解決プロジェクトは2015年も実施されるそうです。
こちら、もし「腹をくくって」参加したい希有な方、希有な人事部の方がいらっしゃったら(超ハードファンですが、ラーニングフルです)、実現できるとよいかもしれませんね。
なお、このプロジェクトの様子と理論的背景は、近いうちに、論文にまとめておきたいと思います。日経さんからも、来年1月あたりに書籍が出版されるようです。
「地方課題解決プロジェクト2015」ばかりでなく、これがきっかけとなって、全国の多くの自治体で、企業の次世代リーダーたちがガチなコラボをする機会が増えていったとしたら、非常に嬉しいです。
そして人生は続く
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おまけ.
元旅行代理店におつとめだった池田さん(Yahoo人事)は、このプロジェクトで折りにふれて、昔培ったスキルを活かして、バスガイドをなさっていました。そのスキルは、ものすごいものがありますので、もし興味をお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ、声をかけてあげてください。バスガイドをしているときの池田さんは、心の底から愉しそうです。僕は、池田さんをみても、もう「添乗員さん」にしか見えなくなっています(笑)。
個人的には「バスガイドのスキルはいかに形成されるのか?」という新たなリサーチクエスチョンを池田さんからいただいたような気がします(笑)。本当にお疲れさまでした。
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