NAKAHARA-LAB.net

2014.5.15 08:57/ Jun

読書とは「地図」をもつことである!? : あなたが手にしているものは「世界地図」ですか、それとも、「町内会地図」ですか?

 研究者は、一般に、たくさんの本や論文を読みます。
 少なくとも僕の領域に関しては、毎月毎月、どうしても目を通しておかなければならない大量の論文・書籍が出版されますので、いかに、そのスピードにおいつくかが課題になります。
 最近は小生も、様々な業務に忙殺され、勉強する時間が少なくなっており、「こりゃ、まいったな」と思うときもないわけではありません。でも、まだまだ「第一線」にいたいので、日々格闘の毎日です。
  ▼
 ところで、本や論文のことを考えるとき、小生が、まだ二十代の駆け出しの頃の(まだまだぺーぺですが・・・)、2つの出来事が思い出されます。
 ひとつめの出来事は、ある著名な先生から言われたことでした。
「中原君たちの若い世代は、これから、”前の世代の仕事”を乗り越えなければならないんだよね? てことは、僕たちの世代よりも、勉強するってことだよね? 僕たちよりも、読まなければならないってことだよね。で、その読書量で足りるの?」
 嗚呼、遺体。
 じゃなかった、、、痛い(笑)。
「歩く人文社会科学事典」のような、この先生に、こう言われてしまえば、もう何も言えません。修行します。
 
 ふたつめの出来事は、先輩の研究者から言われたことです。
「多読するってことは、自分の地図をもつことだよ。研究者には”世界地図”もって冒険している人もいるし、”町内会の地図”をもってお使いしている人もいる。中原君の地図はどのくらい?」
 嗚呼、再び、遺体(笑)。
「博覧強記の先達」に、そう言われてしまえば、もう何も言えません。
 修行します。
 ▼
 今日は読書について、やや「自爆的」に書きました(ちゅどーん、嗚呼)。
 最近、自分が以前ほど文献を読み込めておらず、以前にも増して「さらにアホ」になっているな、ということに危惧を感じ、「嗚呼、読まなければな」、と、自分にムチを打つつもりで。名前は忘れましたが、「本棚を見れば、その人の知性がわかる」という名言を残した人もいましたね。嗚呼。頑張りますとも。
 みなさんの「地図」はどのくらいの広さですか?
 そして人生は続く。
 –
追伸.
 5月9日、拙著「駆け出しマネジャーの成長論」が発売されました。AMAZON「瞬間最大風速」的に、カテゴリー「マネジメント・人材管理」「中公新書ラクレ」「リーダーシップ」の3冠1位を記録しました(笑)。ありがとうございます!心より感謝いたします。
 この本は、「実務担当者がいかにしてマネジャーになっていくのか」を扱った一般向けの新書です。人材育成研究の知見と、先達マネジャーの語りから、新任マネジャーが直面する7つの挑戦課題について、それをいかに乗り越えるかを考えています。玄人のみなさまにもお楽しみ頂けるように、脚注などを充実させました。どうぞご笑覧ください。
ichii_figure.png
all_ichii.png

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.7.9 08:06/ Jun

「ファスト化」する組織開発!? :組織開発は「カオナシ」になってはいけない!?

転勤で単身赴任するのは「パニッシュメント(罰)」か、何かか?

2024.7.3 08:04/ Jun

転勤で単身赴任するのは「パニッシュメント(罰)」か、何かか?

2024.7.1 08:16/ Jun

先行研究を調べるとは「マトリョーシカを開けつづけること」である!?

2024.6.28 08:25/ Jun

あなたのチームや職場はすでに「ピークアウト」して「劣化」の方向に向かっていませんか?

人材開発の仕事ってさ、〆切いつなの?  期限はないの? : 事業部から人材開発部署に異動したときに必要な「学び直し」のこと!?

2024.6.27 08:28/ Jun

人材開発の仕事ってさ、〆切いつなの? 期限はないの? : 事業部から人材開発部署に異動したときに必要な「学び直し」のこと!?