2013.7.18 17:28/ Jun
すべてのものに焦点が定まり
すべてのものが均質に並び
すべてのものが繰り返される
ちょっと前のことになりますが、国立新美術館で開催されているドイツの現代写真家アンドレアス・グルスキーの個展に行ってきました。
グルスキーといえば、写真を現代アートの域にまで高めたといわれる一人で、MoMAをはじめとして世界中の美術館で個展が開かれています。
僕には「アート」の専門知識も教養もありません。
専門知識、詳細はわかりませんが、その筋の専門家に「便所スリッパ」で、後頭部を殴られることを覚悟して、その写真を、ひと言で形容すれば、それは「無ノイズ・均質・点描空間」だと感じました。
グルスキーによって、一見、何の変哲もなくうつされた日常的な空間の写真は、よくよく見てみると、一点の曇りも、一点のノイズもないことがわかります。
その写真は、デジタル処理を施して、徹底的にノイズを排除され、かつ、抽象的に表現された「広大な面」なのです。おおくの場合、そこに無数に存在する「細かい物体」が存在しています。
下記に少し作品がのっていますので、ぜひ、ご覧下さい。会場では、壁一面に、彼の大型作品がかけられていて、圧巻です。
アンドレアス・グルスキー展
http://gursky.jp/highlight.html
グルスキーが作品にすることが多いのは、「今の世相をあらわすもの」「今、動いているもの」であり、現代の都市社会やグローバル社会を象徴する一コマです。日本も好んで作品にしています。上記のサイトにあるスーパーカミオカンデもそうですね。すごいよ、実際に見ると、これ。
個人的には、1990年に撮影されたという「東京証券取引所」の写真が、ノスタルジックでしたし、そこに切なさを感じました。
バブルないしはバブル直後の東京証券取引所で、行き交うマネー。そこに激しく蠢く無数の証券マン。その一瞬をグルスキーはとらえます。この写真から、この後、ロストジェネレーションと形容される未曾有の不況に、日本が陥ることを、誰が、予想できたでしょうか。
好き嫌いはあるとは思いますが、オーディオガイドもよかったです。こちらのオーディオガイドは、グルスキー個人が選別した楽曲をBGMとして、石丸幹二さんが、ナビゲータをつとめていらっしゃいます。「Jin Choi」というベルリン在住のアーティストの作品が、今も、耳にこだましています。
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