2013.2.3 08:09/ Jun
この一ヶ月くらい、例のごとく、会社をお邪魔したりして、多くの実務家(ビジネスパーソン)の方々にお時間をいただき、ヒアリングを行わせて頂いております。
今現在、行っているのは二種類の研究のヒアリングなのですが、そのうちの研究のひとつに「企業内において研修やワークショップの実務を担当なさっている方々の実践知を明らかにするプロジェクト」というのがあります(もうひとつの研究は、マネジャーを対象にしたものです)。
そこで、これまでいろいろな場面でお会いし、信頼でき、力量ある人材開発担当者の方々に、このク○忙しい中(本当にごめんなさい)、貴重なお時間をいただき、ヒアリングをさせていただいております。この場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございます。
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以前にも申し上げましたが、「企業で研修・ワークショップを実践すること」といいますのは、「子どもを対象にした学びの場をつくること」とは少し異なりますし、また、「異なる企業につとめている人が、一時的に、組織外に集まり学ぶ場のつくりかた」とは、根本的に異なります。「根本的に異なる」といいましょうか、配慮するべき部分が異なるか、あるいは、多いのです。
「企業で研修・ワークショップを実践すること」というのは、何よりも「経営的実践」でもあり、かつ、組織内のパワーゲームに配慮して行われる「政治的実践」でもあり、かつ、働く個人を対象にした「教育実践」でもあるのです。
「経営的実践」であり、「政治的実践」であり、かつ、「教育実践」であるという「3重のねじれ領域」こそが、ここで何かを為すときに最大限考慮しなければならないことです。
特に「研修は研修、仕事は仕事」という風な二分法にならない研修、すなわち「現場と連携した学習効果の高い研修」をめざせばめざすほど、現在の人材開発のトレンドをめざそうとすればするほど、その傾向は大きくなります。
逆に「こうしたことに時間がかからない」=「社内調整が楽である」ということは、研修機会が「現場の関心」からは切れているか、ないしは、組織の意思決定が迅速であるか(軽い組織)のどちらかでしょう。
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上記のことを少し感じてみるために、例えば、皆さん、今、仮にエクササイズをしてみましょう。
今、仮にあなたが、自分の会社内において、研修やワークショップを実践するとします。「現場とは独立した研修」ではなく、「現場のニーズや問題関心にねざした研修」あるいは「研修実施後、現場で実践される研修やワークショップ」を、今、開発しているとします。
そして、そのために必要な時間を、仮に100とします。「事前」準備から、「研修当日の実施」、「事後」のフォローアップまですべてにかける時間を、仮に「100」と表現しましょう。
そのとき、皆さんでしたら、何に、どんな風に時間をかけますか?
丸い円を描いて、研修開発の要素にわって、「円グラフ」を書いてみてください。皆さんは、どんな円グラフがかけましたか? どんな風にスリットをいれて、どんな活動を描かれましたか? あんまり細かいことを考えないでください、ざっくりとね(笑)。
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このエクササイズに、唯一絶対の「答え」はありません。しかし、「ある力量ある実務家」のご呈示になった図は、下記に類するものでした(一部加筆・捕捉してあります。お時間をいただき、ありがとうございました)。
いかがでしょうか。
研修当日の教育技術よりも、事前準備の組織的・政治的交渉にいかに時間がかけられているか、おわかりいただけると思います。先にも述べ真ましたとおり「現場と連携した研修」を行おうとすればするほど、この傾向は強くなることが予想されます。
そして、そこにこそ、多くの「実践知」が駆動していることは、容易に想像できることです。
そうした経営的実践、政治的実践にかかわる実践知を、わたしたちは、十分にすくいとってきたのだろうか、というのが、僕のニッチな問題感心です。
もちろん、これはひとつの「事例」であり、くどいようですが、このワークに「正解」はありません。また、この議論に、どの程度一般性があるかは、ここでは問いません。でも、僕がいいたいことは、おおよそ、そういうことです。
しかし、既存の言説では、そこのところがかなり「曖昧」でした。それは「教育実践」としてのテクネー(技法)は紹介していたかもしれないのですが、前者2つにおける配慮を、それほど十分な配慮を行ってはいませんでした。
特に、現在の人材開発のトレンドである「研修機会の現場との連携」「現場の問題に根ざした研修」を実践する際、既存の言説では、不足であることが明らかなのではないでしょうか。
そして、それに関する智慧は、大学の研究室でいくら教育や学習研究の理論を読んでも、決して生まれてこないことである、と僕は思っています。
書をもって、街にでよう!
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というわけで・・・「企業内において研修やワークショップの実務を担当なさっている方々」100名(目標値!?)にお話を伺い、そこでの「実践知」を明らかにするという、ニッチで、壮大なことに取り組んでいます。今回は、いつものヒアリングとやや趣を異にしますので、おひとりにつき、2時間程度お時間をいただき、じっくりとふだんの活動の話を伺っています。
たぶん、僕以外には、絶対に、誰もやらないと思います。こんなニッチで、時間がかかり、かつ、ドロドロトーク満載なこと。
今、時間を見つけてヒアリングにでかけていますが、ひたすら、毎朝頃にフィールドノーツをつけ、概念化を行っています。
ひーこらこーこら、えんやこら、えんやこら。
この結果は、「研修開発の実践知」本として、秋頃!?には出版できると思っています。。。たぶん。。。希望としては。。。願わくば。。。もしかしたら、冬!?
もっと現場へ
アクチュアルで生々しい問い
これが正月にかかげた、僕の、今年のテーマです。
そして人生は続く
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