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2013.1.25 06:25/ Jun

マネジャーになるとは「水戸黄門的世界」からの離脱である(!?)

 最近、暇をみて(というよりも、誰にも邪魔されない早朝に!・・・泣)マネジャーの調査データの分析を(日本生産性本部さんとの共同研究)、あーでもない、こーでもない、とやっています。
 三歩進んでは、二歩下がり、「マネジャーになるときの学習課題」について分析をする。その歩みは、常に「前進」というわけにはいかないのですが、まぁまぁ、「自分がひとりのプレーヤー」に戻る、この時間を結構愉しんでいます。大学では、もう、僕には、そんな時間はないから・・・。
 ▼
 データを分析していて、心から思うのは、「マネジャーとプレーヤー」の「本質的な違い」についてです。これはデータそのものというよりも、僕の「感想」に近いということなのかもしれません。
 多くの会社組織において、マネジャーになる人は、「辞令一枚」でプレーヤーからの転換をはかることを強いられますが、そこには多くの「学習課題」があるな、という風に思います。
 「組織で仕事をする人々には、その状況に応じた学習課題がある」、ということは、近刊「経営学習論」で論じましたが、やはりマネジャーにおいても、独自の学習課題があります。

 数多い学習課題の中でも、もっとも印象的なのは「非勧善懲悪的な世界への移行」です。別の言葉でいえば、 「あっちがたてば、こっちがたたない問題」への対処といえるかもしれません。
 要するに、
 「あっちがたてば、こっちがたたない問題」
  ないしは
 「どんなに頑張っても、唯一絶対の正解はなく、自分なりの納得解しかない問題」
 への対処が「マネジャーになる際の学習課題」の本質のひとつであるような気がします。
 なぜなら「誰が直面しても、あっちか、こっちかを、すぐに決められる問題」「誰が向き合っても、明らかな正解がすぐに見いだせる問題」は、マネジャーのところに持ち込まれる「前」に、もっと若い人たちが、すでに「自分の裁量・権限」の中で、をもって意思決定をしちゃえる可能性が高いから。これは仮説でしかないですが、僕は、そのように想像します。
 マネジャーのところにまで上がってきて、しかも、彼が取り組み、意思決定しなければならないことは、そういうシンプルな問題ではないことの方が、割合としては多くなります。これは「割合」の問題であり、そういうグラデーションを、徐々に移動していくことが、「マネジャーへのトランジション」である、ともいえます。
「あっちがたてば、こっちがたたない問題」「どんなに頑張っても、正解はなく、納得解しかない問題」であることの可能性やポーションが、徐々に増えていくことだと思うのです。
 もちろん、マネジャー就任以前にも、取り組まなければならない問題は、前者のようなシンプルな課題ではなく、後者のような複雑な課題であることは、多々あります。
 しかし、そのポーションを、上位者と比べたとき、上位者がなすべき意思決定とは、「その選択がよかったのかどうか」を、ただちに判定できないグレーな問題が多く、それに悩むことが多々あるのだな、と気づかされます。
 だから、マネジャーには、「不確実さ・曖昧さへの耐性」と「どうにもならないことを諦める力量」も必要なのではないかと思うのです。
 別の言葉でいいますと、マネジャーになるということは「勧善懲悪的な世界」から「非勧善懲悪的な世界」への、段階的なトランジション(移行)だともいえますし、
 さらに比喩的に言えば
 マネジャーになることは「水戸黄門的世界からの離脱」である
 とでもいえるのかもしれません。
 毎回毎回「どっから見ても悪としか思えない人相の悪い悪代官」と「超越的な善の象徴たる水戸黄門」がでてきて、シンプルにシンプルに、印籠をとりだし、白黒はっきりさせることができる世界から、次第に、「一見悪いように見えて善、善に見えて悪」みたいな、非勧善懲悪的リアルワールドへようこそ!というのが、年齢があがり、マネジャーになるということの本質のようにも思えてきます。
  ▼
 嗚呼、それにしても、毎朝毎に、少しずつ作業をしていて、いつも我にかえってしまう瞬間があります。作業をしながら、つい「自分自身のこと」をいつも考えてしまうのです。
 僕も今年で38歳になります。
 決して「若いとは言えない年代」に、自分もさしかかり、高校・大学時代の同期の何人かが企業組織でマネジャーになりつつある今、今日、このブログで書いた感想は、とても「人ごと」のようには思えません。めちゃめちゃ「自分ごと」です。
 データと向き合いながら、いやがおうでも深まるリフレクションに、時々、作業の手が止むことしばしです。
 そして人生は続く

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