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2013.1.21 22:14/ Jun

もうひとつの「北海道」、それは「分厚い記述」と「圧倒的なリアル」:渡辺一史(著)「北の無人駅から」を読みました!

 渡辺一史(著)「北の無人駅から」を読みました。書名を一読すればわかるとおり、この本が「オマージュ」としてかかげるのは、倉本聰原作「北の国から」。
「北の国から」をリスペクトしつつも、本書では、それとは違う路線をねらいます。「定型的」で「慣習的」な「北海道の語られ方」を敢えて「拒否」するという意味で、「北海道の現実」「北海道に生きることのリアル」を浮かび上がらせようとする、知的試みです。

 本書の執筆は、北海道の「無人駅」をテーマにして、渾身丁寧な取材によって可能になりました。
  小幌
  茅沼
  新十津川
  北浜
  増毛
  奥白滝信号場
  
 これらの「無人駅」が、まずは本書の「テーマ」です。
 しかし、その筆致は、テーマである「無人駅」を超え – もはや「無人駅」は筆をおこすきっかけでしかなかったとも言えるのではないでしょうか – 「地域振興とは何か?」「観光とは何か?」「農林行政とは何か?」「環境保護とは何か?」「北の大地に生きるとはどういうことか?」に関する鋭い問いをかかげ、縦横無尽に広がっていきます。その圧倒的な取材力と観察眼に、まずは敬服します。
 そこで筆者が問題提起するのは、「地方に生きることのリアル」。
 そこには、「悠久の自然が残る北海道」とか「ロマンチック北海道」とか「豊かで雄大な大地、北海道」とかいう、「紋切り型」で、「定型的」な北海道の語られ方は、入り込む余地がありません。そんな、「ステレオタイプ」で、よく「観光雑誌
に出てくるような「北海道」を表現するセンテンスは、本書には、全くありません。
 それは圧倒的なリアルの世界。
 エゴあり、矛盾あり、切なさ、醜さあり。
 そして、何はともあれ、儚い。
 700ページを超える圧倒的な分厚い書籍でありつつも、そこで語られる人間模様のリアルさと重厚さ。僕は、一気に読むことができました。
 正直に言います。
 本書をブログ記事にしつつも、本書のことを、誰にすすめてよいか、僕にはわかりません。
 しかし、少なくとも、我が故郷「北海道」を愛していつつも、ひと味違う「北海道」を知りたいと願う人々、さらには、北海道に興味はもっていなくても、「研究対象」をいかに「リアルに記述するか」に興味をもつ方々に、読んでいただけたとしたら、興味深いのかな、とも思います。
 我が故郷、北海道
 内地に出て、もう、20年か。。。
 僕は、どこに行こうとしているんだろうか。
 時々、わがんなくなるべや。
 そして人生はさらに続く

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