2012.12.21 17:14/ Jun
Amazon の電子書籍作成サイト「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング」のサービス内容、先日、のぞき見してました。このサイトは、AmazonのKindleストアで、本を出版し、販売するためのサービスです。
Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
https://kdp.amazon.co.jp/self-publishing/signin
僕は、まだこのサービスで本を出版したことはないので、それが比較的に簡単かどうかはわかりませんが(!?)、見た感じの印象では、「それほど困難ってほどではないようなコスト」で、自分で原稿をつくり、編集を行い、ここに登録することで、Amazonで、本を売ることができるような気がします。
なかなか興味深いサイトです。
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Amazonの電子書籍というと、IT業界や書籍業界では、やれ「印税が何パーセントだ」とか、ほれ「ロイヤリティが何パーセント」だとかいうところに、もっとも、記事の興味が向くようです。
僕も、いくつかの書籍の執筆者・著者であり、そうしたことに全く関心がないわけではないのだけれども(笑)、どうせ、今回だって「他者のプラットフォーム」に「のる」のだから、そのことに、こちらに「意思決定の優先権」はあるわけではありません。
「既存の出版社」よりもマシか、そうでないか、ということくらいで、どうせ、多かれ少なかれ、他人の都合の良いように、ある日突然ルールは変わる可能性が高いんじゃないでしょうか(泣)。
それが「公共の観点」「文化成熟の観点」から良いことかどうかは、また別の議論にいたしましょう。
ただし、「リスクをとって、グローバル社会に通用するプラットフォームをつくる」とはそういうことです。そして、「他人がリスクをとってつくったプラットフォーム」に「のる」ってことは、そういうことです。その是非は、また別の機会にお話ししましょう。
ともかく、そういうマニーな観点からの批評やレビューは他の方にまかせ、今は、僕は、こうしたサービスを使って「学びの観点から何か面白いことができないかな」と考えたり、妄想・白昼夢を見ることにいたしましょう。
「これまではできなかったこと」、「紙の本を超える」ではできないような「何か」ができないものかな、とかね。そんなこと、ありゃいいね。
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例えば、「コンテンツの追加」という観点から。
今まで本というのは、一回書き上げてしまうと、なかなかそれに内容を追加を行うようなことは、改訂版をださないかぎり、難しいものでした。
辞書や事例集のような内容の場合、時がたつにつれて、興味深い事例が生まれたりするのですが、それを追加することはなかなか難しいです。まさか、年がら年中、改訂版をだすわけにはいかない。
しかし、一見したところ、Kindleストアには、「10ページくらいの薄い本で、100円」「20尾ページくらいの本で300円」という本がいくつか並んでいます。場合によっては、タダの本もある。ここが興味深いな、と思いました。
つまり、Kindleストアの有力な点のひとつは、
「従来なら、本として流通しようもなかった、「(Bite size:ひと噛みの大きさのコンテンツ)バイトサイズの小さなコンテンツに対して少額課金できる」
ということに、まずあるのかな、と思いました。
でも、もしそれが仮にあっている場合、っちゅうことは、たとえば、少しずつ事例や項目をたしていくような学習コンテンツの場合、そこだけを執筆して、少額課金することができるのかな、とも思いました。
つまり、コンテンツの内容を、常に「追加」しつづけることができることが、すごく魅力的です。「終わりがない教材」「常に追加し続けられる事例集」などをつくれるのかもしれない。それがビジネスとしてうまくいくかどうか、儲かるかどうかは知りませんけど(笑)。
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次に思ったのは、「出荷までのリードタイム」です。
こちらも、「コンテンツ登録から、販売開始までの正確なリードタイムがどのくらいあるのか」、僕は、試してないので、よくわかりませんけど(笑)、もしそれが比較的「リアルタイム」に近い場合、「紙の本」とは、差別化できる用い方があるようにも思います。
つまり、「コンテンツの開発から販売までのリードタイムが短いこと」「リアルタイム出荷、リアルタイム出版が可能になること」が、kindleの優位であるような気がします。もし可能ならね(笑)。
「紙の本」の場合は、校了から販売までのリードタイム、マジ短くて編集者が白目むいて1ヶ月、平均的には2ヶ月、正確性を求められる学術出版の場合は半年くらいはありました。
しかし、それほどの正確性を求められない、かつ、緊急性・速報性が高いコンテンツの場合、「出荷をリアルタイムで行える」のなら、なかなか興味深いことができそうな気がします。
たとえば、専門性の高いイベント、勉強会、学術イベントなどをやるとします。そこの開催報告や議事録を、解説を含めて、その日のうちに、Kindleストアで販売することができたとしたら、購入する人は「マスではないです」が、0ではないような気もします。
自分の行ったイベントの内容は、きっちり残しておきたい、さらに理解を深めたい人はいるような気がする。もしかすると、そうしたところで、ただでさえ苦しい、「イベントのマネタイズ」にポジティブな影響を与えることができるかもしれない。
(会場費の高い都内の場合、よほどの人数をこなさなければ、イベントは赤字の危機と、いつも、となりあわせです・・・これはやったことのある人ならわかるはず・・・泣)
これは、実は、音楽業界で現在取り組まれている「ライブのビジネスモデル」の水平移行ですね。
市販のCDは、いまや売れない。だから、「リアルタイムで顧客と接することができるライブやコンサート」を実施して、そこできっちりマネタイズする。さらには、その音源を、その日のうちにCDでまとめて、帰りの入り口付近で売る。これが二度目の「マネタイズ」です。
先ほど妄想したのは、要するに、この「電子書籍版」です。これをKindleを使って実施するということになりますね。
うまくいくか?
わかんないですよ。
だって、やってないんだから(笑)。
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最後は「流通」です。
もしすべての学習者が電子書籍端末を持っていれば、ということになりますが、研修やら、セミナーやらでなんせかんせ面倒くさいのは、「教材の配布」です。特に、先ほどのようなバイトサイズのコンテンツの場合、とにかく面倒くさい。
なぜなら、これまでは、こうした「バイトサイズコンテンツ」は、小さすぎてなかなか、「一冊の本」としては流通しません。ということは、小さなコンテンツが集まり、「大きなコンテンツとして束ねることができるようになる」のを待つか、あるいは、「小さなコンテンツ」のまま、事務局がひーこらひーこらコピーし、さらには「配布」して、対価を徴収することになる。
もし、すべての学習者が電子書籍のプラットフォームにのっているのであれば、もしかすると、この「流通」 – 「配布のコスト」を低減できるかもしれません。
ただし、問題もあります。
現段階では、コンテンツへのアクセシビリティを、クローズドなメンバーに限定することは難しいと思いますので(Kindleストアで公開されたものは、すべてのサイト訪問者に見られ、買うことができるのですよね?)、コンテンツの内容を「隠したい」場合には、たぶん、このメリットはありません。
もし可能であるならば、今後、コンテンツの登録の際に、「このコンテンツは、このURLを知っている人しか購入できません」というようなオプションとして選択できると、いろいろな「流通」が可能になると思います。
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というわけで、以上は、Amazon kindleを一度も触ったことがなく、かつ、「Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング」で一度も本を出版したことがない、ドシロウトの妄想でした。おつきあいありがとうございます。多少、「こうなりゃいいな」という「願望」らしきものも混じっているような気もしますが、あまり気になさらないでください。
いずれにしても、それで何が可能になるかどうかはいまだ詳細につかんではいませんが(笑)、駒場の僕と重田さんの授業「メディア創造ワークショップ」で、現在、学部生らが開発している電子書籍「東大発2013」は、今年はAmazon kindleストアで無償配布いたします。
そんなこんなもありますし、年明けあたりから、少しずつ触っていきたいと考えています。まずはね、自分で使い倒す。そこからでしょう。
東大発2012 – 昨年の作品(学生たちのインタビュー集)
http://www.he.u-tokyo.ac.jp/2012/04/2011itunes_u.html
あ、ちなみに今日の話は、行きがかり上、Amazonで話しましたが、小生は、Amazonだろうが、コボチャンだろうが、ibookだろうが、実はあまり違いはわかってないし、詳しいことは知りません。プラットフォームに特にこだわりはありませんので、あしからずご了承ください。
「僕的に、学びの観点から、面白いこと」ができれば、それで嬉しい事です。
そして人生は続く。
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Happy Christmas!
I wish you have great holiday!
小生、しばらく山に籠もります。
そっとしといてください(笑)。
またお会いしましょう!
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上田信行 × 中原淳(著)(2012)「プレイフルラーニング:ワークショップの源流と学びの未来」こんな方々に読んで頂けると幸いです。経営学者・金井壽宏神戸大学教授をお招きした鼎談を収録。金井先生曰く「僕は、もう、ゾクゾクしましたね。10年に1度くらいのインパクト!」
●ひと味違った研修・ワークショップのデザインに興味をお持ちの方
●学びのデザイン研究に関心をお持ちの方
●勉強会、交流会などを主催することに興味をお持ちの方
●ワールドカフェ、オープンスペーステクノロジーなどの組織開発に興味をお持ちの方
●学習空間デザイン、学びの場の建築、家具などに興味をお持ちの方
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