2011.10.24 08:15/ Jun
先日、玉川大学IB(国際バカロレア)クラスと学術研究所・心の教育実践センターを訪問させていただきました。
玉川学園国際バカロレアクラス
http://www.tamagawa.ed.jp/ib/index.html
玉川大学学術研究所・心の教育実践センター
http://tap.tamagawa.ac.jp/
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第一に、国際バカロレアクラスとは、スイスジュネーブに本部をおく国際教育団体が認定する全世界共通の教育資格で、海外大学の多くはその資格を高卒資格と認めています。
国際バカロレアクラスの一般的コースには、3歳~10歳を対象としたPYP(Primary Years Programme)、11歳~16歳を対象としたMYP(Middle Years Programme)、高等学校の最終2学年を対象としたDP(Diploma Programme)があります。が、玉川大学では、このうちMYP、DPを現在運営しています。授業は国語などをのぞき、英語です。
授業はとても興味深いものでした。
先生は外国人で、当然ながら、英語で授業をします。当日は、高校の化学の授業だったのですが、「イオン」を「アイオン」、「マグネシウム」を「マグネジウム」と発音されると、ほほー、英語では、そう発音するのか、と、なぜか感心してしまいました。
そういう授業が日本で実施され、日本の子どもが受けている様子を見て、興味深く感じました。
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玉川大学学術研究所・心の教育実践センターは、「アドベンチャー教育の理念と実践法」を研究・実践するセンターです。
実践事例
http://tap.tamagawa.ac.jp/practice/index.html#practice06
詳細は、上記の実践事例をご覧頂ければイメージがつきやすいかと思うのですが、ロープ渡りや、集団でのシーソーなどの「アドベンチャー」を通じて、コミュニケーションや集団間の信頼などを考えるきっかけを提供しています。当日、私たちもいくつかのアドベンチャー教育を体験させて頂きました。
「アドベンチャーを通じた学習」に関する、僕なりの解釈はこういうことです(いくつか難波先生からお聞きしたキーワードをおりまぜて解釈します)。
「アドベンチャー」への挑戦は、参加者からみると日常の空間よりも「リスクが高く」見えます(percieved risk)。
実際は「アドベンチャー体験」は指導者の先生方によって注意深くファシリテーションされていますので、リスクは少ないのですが、参加者によって知覚されたリスク(percieved risk)は高くなります。私たちは、日常、コンフォートゾーン(comfort zone)を生きていますが、リスク下における行動は、さしずめ「ストレッチゾーン(stretch zone)」「ストレスフルゾーン(stressful zone)」ということになります。
この「知覚されたリスク」が集団間で共有されると、日常生活ではそれほどでもなかったとしても、このリスク下においては、集団間が協力せざるを得ない状況、集団間がコミュニケーションせざるをえない状況が生まれます。つまり「必然性」が生まれます。そして、そこで生まれた協力、コミュニケーションを通じて、アドベンチャーをクリアする。
その上で、このアドベンチャーをクリアするプロセスにおいて「今、ここで」起こった「出来事」「クリティカルインシデント」を用いて、「日常」を投射します。
「アドベンチャー下での協力・コミュニケーション・信頼」を「リソース」として、日常の生活場面での「協力」「コミュニケーション」「信頼」といった物事について「リフレクション」を行う、ということでしょうか。
いったい協力とは何か?
信頼とは、どういう状態で生まれうるのか?
私たちには、どんなコミュニケーションが必要なのか?
ですので、ポイントは、アクティビティではなく、アクティビティが終わったあとのリフレクションに、あるのだと感じました。難波先生は、このプロセスを「What(何が起こったのか?) – So what(それはどういうことだったのか?) – Now what(今、これから何をなすのか?)」とよんでおられました。
ですので、この学習は、いわゆる「経験学習」の系譜に位置づけられるものだと思います。 もちろん、アドベンチャー教育がこの種のプロセスをとるのではないと思います。また、上記はわたしの勝手な解釈に過ぎません。
(ちなみに、ダイアローグ・イン・ザ・ダークも、カリキュラム構造としては、非常にこれに類似すると思います。ダイアローグ・イン・ザ・ダークは、”圧倒的な暗闇”ということで、知覚を剥奪し、参加者の知覚リスクを高め、同種の舞台をつくりあげます。時間の都合で論じませんが、ですので、アドベンチャー教育は、理論的、かつ、カリキュラム構造的には、組織開発の一系譜に位置づけることも可能だと感じました)
当日、当センターの難波克己先生のご厚意で、私たちはアドベンチャーをいくつも実施させていただきました。難波先生のファシリテーションは、とても面白く、また人を元気にさせるもので、私たちは大変素晴らしい時間を過ごすことができました。
非常に興味深かったのは、我々が第一の課題を終えたときに、難波先生がおっしゃったひとことです。
「この課題をやると、この集団がどういう集団なのか、誰と誰の関係に問題があるのか。ふだんはどうやってコミュニケーションしているのかがある程度わかってきます。この状況を見て、次の課題をどうするのかをきめていきます」
つまり、「今、ここ」で起こっている現象・出来事を通じて、次のプログラムをアドホックに構成しているということですね。アドベンチャー教育におけるファシリテーターとは、そういうものなのか、と興味深く感じました。
ちなみに、難波先生によりますと、経験学習の学会が来月にあるらしく、そこにはアドベンチャー教育をはじめ、様々な体験・経験を通じた学習を実践する実務家の方々が集まるそうです。面白いですね。世界には、そんな学会もあるんですね。
Association for Experiential Education
http://www.aee.org/
最後になりますが、IBをご案内いただいた常盤さん、心の教育実践センターの難波先生には、大変お世話になりました。またわたくしと一緒にアクティビティに参加頂いた皆様も、お疲れ様でした。この場を借りて感謝いたします。本当にありがとうございました。
そして人生は続く。
追伸.
アドベンチャー教育に関しては、これまで下記の書籍がでています。
追伸2.
一緒に参加した方が、「こういう教育、5・6年前に企業でも流行りましたよね」とおっしゃっていたのが気になりました。それがどういうものかは知りませんが。この種の学習の場合、体験や教育そのものよりも、いかにそれをセンスメイキングしたり、リフレクションするかが重要になるのだと思います。
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