2010.8.4 17:15/ Jun
この世は、Unhelpful help(他人を助けようと思ってなされているものの、全く助けになっていない支援)に満ちあふれている!
こう喝破したのは、「Helping」を上梓した組織行動論の泰斗「エドガー・シャイン」です。昨日の授業では、金井壽宏先生から「支援」という概念について、サーバントリーダーシップとからめて、ご講義をいただきました。「支援」は、僕自身の研究に、最も関連が深い概念のひとつであったので、非常に興味深く聴かせて頂きました。ありがとうございました。
▼
私たちは、支援という言葉を安易に使います。
しかし、言うまでもなく「支援」というものは本当に難しいものです。
小橋(2000)によれば
「支援とは、何らかの意図をもった他者の行為に対する働きかけであり、その意図を理解しつつ、行為の質を維持・改善する一連のアクションのことをいい、最終的な他者のエンパワーメントをはかること」
であるとされています。
このセンテンスを下位分解していくと、支援の難しさがおわかりいただけると思います。
1.「何らかの意図をもった他者」というくだりから読みとける支援の難しさ
1−1.意図を持たぬ他者は支援できない。ゆえに、そういう他者をまずは探さなくてはならない
1−2.相手の意図を聴かなくてはならない。しかし、多くの場合、相手は意図を意識していないので、それを対話の果てに見いださなくてはならない
1−3.相手の意図を理解しなくてはならない
2.「行為の質を維持・改善する一連のアクション」というくだりから読みとける支援の難しさ
2−1.動くのは「支援される側」であり、支援する側が動いてはいけない。支援される側が動き出すのを待たなければならない。あるいは動き出すことを自ずと促さなくてはならない。
2−2.どのような支援をすれば行為の質が改善するかを理解していなければならない。
2−3.行為の質を改善する、支援のレパートリー(アクションや介入の種類)を、たくさんもっていなくてはならない。自分の引き出しをたくさんもっていなければならない。
3.「最終的な他者のエンパワーメントをはかること」というくだりから読み解ける支援の難しさ
3−1.他者をエンパワーする、モティヴェーターでなければならない
3−2.最終的には支援は解除され、独り立ちさせなければならない
3−3.「ショートケーキのイチゴ」を食べてはいけない。最終的な便益の享受は、支援される側になくてはならない。
うーん、難しいよね。
つーか、難しい。
どれもこれも難しいんだけど、特に、僕なんかは1−2が難しい。つまり、「聴く」ということです。
「聴くこと」には、時間も必要だし、精神的余裕も必要だと思うんです。でも、ついつい、支援の根本原理である「What can I do for you?」という発想を忘れてしまい、しゃべくり倒してしまうか、「要するに、一言でいうと、何なの?」「ワンワードで言うと、何なの?」と言ってしまいます。困ったなぁ、、、、自分の提供している支援が、Unhelpful helpになっているんじゃないかなぁ、と思いました。
あなたの提供しているHelpは、Helpful helpですか?
それとも
Unhelpful helpですか?
—
■2010年8月3日 中原のTwitterタイムライン
Powered by twtr2src.
—
■2010年8月2日 中原のTwitterタイムライン
Powered by twtr2src.
—
■2010年8月1日 中原のTwitterタイムライン
Powered by twtr2src.
最新の記事